閑話~昼前の男たち~
微妙なサブタイトルだという事は自覚しています。結論は『これは閑話だからそこに更に情報をつけても意味ないでしょ』となりました。
最近ますます世界が冷え込みますね。やけどには注意なきゃ
大人数で食べるのだからフードコートで良いだろう、ということで女子だけで買い物に行き男どもは席取りと言う名の除け者にされてしまった。
そりゃあ十三人もの人が離れないように座るだけの席が必要だったのだから四人席のテーブルを一人一つずつ確保しなければならない。開いた席は全て買ってきたもので埋まるだろう。
昼食までまだ余裕がある為席自体は確保できたが腹は減らず買うものもない彼らは色々な施設があるここに相応しくないほどとんでもなく暇そうに駄弁っていた。
「そういえばカイ、お前は結局のところあの六人の内誰が好きなんだ?」
暇すぎて死にそうな秀明が遂に彼の本音を聞こうとする。六人もの少女達に囲まれていつまでも持ちつ持たれつの関係を保ってはいられない。というより彼が全員に対して淡泊過ぎるのだ。そんなわけで本音を聞いてみたくなった。
「俺もそれ気になるっスね。別に女子には言わないっスから教えてくださいよ」
隆盛もそれに賛同する。こんな機会滅多にない。宗一郎に関しては何も言わずにただニヤニヤしているだけだ。一番たちが悪い。
「そうだな……」
全員の視線が集中する。数分、珍しく本気で考え続けた彼が下した結論はこうだった。
「みんな好きだな」
「「「……」」」
真顔で言われると流石に何も言えない。彼は本気でそう言っているのだ。彼を茶化せないまま会話が終了するかと思いきやこの男が話を進めてきた。
「成程。それで彼女達のどこがお好きなのですかな」
年長者なだけあって一筋縄ではいかない。子供の誤魔化しは効かないのだ。
しかし忘れないでほしい。なんでやけに踏み入った話をするのかと言うと全員、彼のことを信じているし幸せを願う優しさからなのだ。決してこのまま話が終わるとつまらないとかいう理由ではない、のだ。
「そう……そうだな。ハルは、昔から一緒にいて何かと世話を焼いてくれるし、レイと時雨は戦闘訓練の相手になってくれたりして、警護にも来てくれるから助かる。アレは知らない奴に囲まれると案外肩身が狭くなるもんだからな。ミアには工作員として世界を飛び回ってもらっていたから感謝しているし今は傍に置いておいて安心する。気遣いが出来るという事は秘密主義の俺たちにとっても都合がいいしな。ユリはいるだけで俺達の小隊全員が明るくなるんだ。俺には出来ないがそういうやつも一人は欲しいだろ」
決心した少年は勢いをそのままに本当は当人たちに向けるべき言葉を、彼女達に言いたいことを全部言った。
時折、大声で話せないような内容も入っているが基本的に彼の好きという感情は感謝が元になっているという事になる。
そして意外にも小隊のことを見ているようだ。まあ、隊長なんだからそこそこそれなりには見ていると思うがそうだったとしたらあの鈍感具合は単純に恋愛に興味がないのか、もしかしてそれは演技なのか。正直結論付けることは難しい。演技ならミアが見抜かないはずがない。
「意外に考えてるんだな、皆のこと」
なんだろう、予想と違った。彼らはそれが嬉しいと思う反面、ちょっとどうすればいいのか分からなくなってきた気がした。
本当は彼に何かを求めてはいないのだろう。誰も。
ただ、彼に何かを与えることを目的としてしまっているのだ。幼い少年に役割を与えた彼らが想定し得なかった未来を彼が築き始めたのだ。
そう考えると少し、悪いことをした気分になる。
「あ、ああ……」
言ってて彼も気恥ずかしくなったのだろう、少し顔を隠した少年はそれ以上自ら口を開こうとはしなかった。なんだかしんみりしてしまった。ほんの数か月前まではまさか彼がこんなことになるなんて予想もしなかった。
そのままゆっくりと時が流れているのをただ感じていた。




