森林戦闘訓練
前回からそこそこな日にちが開いてしまいました。
感想、ご意見等がありましたら気軽に。
3日後、キャンプ・ラムシュタイン内森林訓練場入口
60名の少女達が森の前で整列し、前に立つ少女の言葉を受け止めている。
「いいか、お前たち!本日は大井閣下方が訓練を視察なさっている!一層訓練に励め!」
「「「「「イエス、マム!!」」」」」
教官の鋭い激励に対し訓練を行っている特殊部隊候補生、通称『戦乙女』達が声を張り上げて答えている。
ここには森林の中に自然に偽装した様々な障害物が設置されており、指定されたルートを通り森を一周する訓練施設だ。
もちろん舗装された道はなく目印もないため、時折遭難者が出るような場所である。――その度にアルファ小隊が教導隊約200名を指揮し捜索させているほどに広い――しかし全ての障害には必ず2人の教官がおり、緊急時には対応できるようにしている。
そんな過酷な訓練だが、今日は教官の言う通り鳥海と隆盛、秀明が視察としてきている。3人ともいつもの制服ではなく戦闘服に身を包んでおり、しれっと最後尾に並んでいたりする。この訓練は3人一組で行われるためチームの結束力も試される。
この訓練を受ける者全員にSCAR-Hが支給されている。
SCAR-H、全長899mm、重量3,580gのフル/セミオートマチック小銃で共和国軍の標準装備でもある。今回は訓練のためゴム弾を用いている。
この訓練は班が作られ、役職と権限が与えられる。簡易的ではあるが『班長』、『偵察』、『潜入』の役職が与えられ、班長の権限は部隊の生存に関わり、偵察は仕掛けの状態などを調査でき、潜入は仕掛けを支給された様々な道具を用いて攻略する。
「さあて、ヒデ、タカ、どうする?」
軽く腕を伸ばしながら鳥海は2人に問いかけた。
「どうってよぉ、そりゃあ、最速目指すんだろ?タカはどうすんだ?」
こちらも準備運動しながら秀明が返してきた。
「自分は、師匠の後についていけるように頑張るっス」
手足をほぐしながら隆盛も返した。
「そうか、さて、そろそろやるぞ」
そう言い終わらないうちに3人は駆け出した。
この森林には20の障害がありそのすべてを正しく回らないともう一度やり直しになる。
まずは3つの高さの違う壁だ。1の壁は1人、2の壁は2人、3の壁は3人が協力しないと上ることができない高さになっている。
鳥海はまず1の壁の手前で跳躍し、自身の『速さを変える』能力を以て2の壁まですっ飛んでいった。彼の能力は自身から200m以内の物体の速度を自由に操れるといったものだ。
その後ろを正規のやり方で秀明、隆盛が越えてきた。
3の壁に到達するとまず秀明が壁に背中をつけ腰を落として両手を重ねて前に出した。その手に向かって隆盛が走り、跳躍して右足を乗せた。それと同時に秀明は自身の能力を発動した。
刹那、隆盛は3の壁より高い位置に飛ばされた。
「やりぃ、うまくいったな」
秀明は自信満々に言い放った。彼の能力は『物体を反射する』というもので自身から100m以内なら3個まで好きなところに最大で半径200mにも及ぶドームを生成できるのだ。そのドームは秀明の任意で反射できるものを2つまで選択できる。今回は手のひらにドームを出し、隆盛を反射させて飛ばしたのだ。
そのまま秀明が地面と自身を反射し跳躍したがギリギリの所で3の壁の上面に手をかけられた。
3の壁の上面に乗った隆盛は即座の手を伸ばし秀明をつかみ引っ張り上げた。
「助かる」
隆盛の力を借りて登り切った秀明はそのまま2の壁の方を向き鳥海をいつでも引っ張れるように準備した。
「ヒデ先輩!あれが来ます!」
隆盛は叫ぶとともに自身の視界を2人に『共有』した。
彼の能力は『視界を共有する』もので指定した人物(複数可)であればどこにいても自身の視界を共有出来る。
共有された彼の視界には、銃を構えた教官達が映っていた。彼女らは壁を登っている戦乙女達に向かってゴム弾を発射した。――いかにゴム弾といえど当たれば痣ができるほど痛い――
壁を登ろうとしても弾幕に頭が出せずに次々と撃ち落されて行った。
それはすでに壁を登った秀明達も例外ではないが、流石はアルファ小隊というべきか。
秀明がドームを展開しゴム弾を反射させ、隆盛が持ち前の狙撃スキルで逆に教官達を倒して行った。
その隙を見計らって戦乙女達が次々と登っては銃を乱射し教官達を制圧していった。
秀明に引き上げられた鳥海はそのまま下へと飛び降り2人を引き連れて先へと進んでいった――




