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敵の敵は結局のところ自分の敵

ついに、アクセスしてくださった方々が500名を超えました!!

全ユーザに感謝です。こんな目の前すらも見えてないような小説にお付き合い頂いて。

そして全く気が付かなかったのですが第40話目となります(第一話は解説の為)

このような駄作を見てくださっている身としてはおこがましいやも知れませんが評価、感想がありますと励みになります。今後ともよろしくお願いいたします。

 最もな問題はどう運ぶにしても彼女が右腕から離れようとしないのである。半分寝ているからなのか話しかけてもうんともすんとも言わない――しかし、肩などを触ると身じろぎしながらマスター、ますたぁと嬉しそうに抱き着いてくるあたりほんとに寝てるのか微妙なところである――のだが右腕から離そうとしても華奢な見た目からは想像もできないほどの強さで絡まってくる。もはや立ち上がるのも困難なくらいに引っ付いているのでどうしようもない。

 背負うとしても右腕から離さないので出来ない。意地でも右腕から離れようとしない彼女に呆れた摩耶が提案をする。

「カイ、こうなったら横抱きにしてみるのはどうだい?」

 横抱き、俗に言うお姫様抱っこをして運ぶのはどうかという事だ。

 流石、経験が違う。いや、そうじゃない。彼にとっては大した問題にはならないがリーと榛名は驚愕のあまり目を見開いて固まり、他の女子はキャーキャーはしゃいでいる状況を客観的に見ると途轍もないくらいに混沌としている。主観的に見たところで混沌としている現状は変わらないが。

 勿論、それが異性的な方向で何を意味するのか全く理解していない彼としてはどうでもいいことだったので、なんとかして彼女をお姫様抱っこすると固まっていた二人が一斉に動こうとしたがリーはユリアに、榛名は時雨に捕まった。

 ユリアが部屋までの道のりを確保しながらリーをさっさと連れて行ったり、時雨も榛名と話しながら彼らの横を通り過ぎていく。

 年長組が後ろからさりげなく手伝いをしたりしているのだが当の本人はそんなことを気にしている余裕すらないのだ。

 なんせ戦闘中に女性を担ぎ上げる事は多々あったが相手が負傷者でもなければ緊急の用事でもない。さらに言えばお姫様抱っこなんてしたこともないのでこれであっているのか見当もつかないうえに、右腕が自由に動かせない状態で試行錯誤を繰り返している。

 とりあえず落ちないようには出来たが体が当たる度に腕の中で少女の感触が変化する。彼女のつけている香水の心地よい香りが鼻をくすぐる。

 真っ直ぐ進むだけでも一苦労しながら歩いていると右腕からきつく抱きしめるメイドの感覚が無くなりその細い腕は主の首に巻きつけられていた。

 不意に彼女の体が持ち上がる。

「おはようございますマスター。お手間をおかけして申し訳ございませんが、もしマスターがよろしければもう少しこのままでお願いしてもよろしいですか」

 周りの誰にも聞かれないように耳元で囁かれ、上目遣いで彼女にお願いされて断れる男子なんぞはほとんどいないのだ。

 しかし残念ながら彼は例外である。根本的に全ての判断が面倒かどうかに委ねられている彼にとって美少女の微笑みもどんなお色気作戦も通用しないのだ。

 ただし相手の心を読むことのできる彼女にとってそれはあまりに当たり前の反応だった。

 そして彼女は策略をめぐらせた。彼に絶対に首を横に振らせない方法でライバルとの差をつけようと図ったのだ。

「だめ、ですか?」

 うるんだ瞳で可愛げに見上げてくるが彼の首を振るのをためらうのに十分な状況を用意しているのだ。

 自分でも気づかなかったがあと少しで装備管理室に到着するのである。実際、先に走っていったユリアが見えるくらいには近い。

 ここで下ろそうとすれば彼女は絶対に抵抗することは分かり切っているので無駄に時間がかかってしまう。

 彼は彼女を連れて部屋まで行くのか、それとも抵抗するであろう彼女を無理やり下ろしていくのか。ただでさえ面倒くさいのに更に時間と体力を無駄に使うことを考えるのか、そもそもこの状態を客観的に見てみればわかるが恥ずかしい状況にいるのだ。

 腕の中の彼女が暴れれば体の色々なところが触れ合うし、首に腕を回されているのでちょっとやそっとでは下りないだろう。

 だったらこのまま行った方が良いと合理的に彼は諦めて、満足そうに微笑む彼女を抱いて装備管理室に入っていったのだが、これ自体も失敗だったのだ。

 本人、というか鳥海だけが全く気づいていなかった事だが腕の中の彼女と先ほどまでぎゃーぎゃー争っていた二人が先にこの扉の向こう側に到着していたのだ。

 お互い実にライバル意識が高いのである。誰かが出し抜けば他が別の方法で自分のものにしようとする。

 しかし最大の難関はその相手にあったのだ。

 彼女は誰かの様に常にそばに居たのでもなければ助けになれる便利な能力も持っていない。

 そして当の本人はこの状況を変えようとする以前に何が起こっているのか気にも留めずにのんびりと昼寝ができるほどのものなのである。

 彼にこの現状を伝える為にはこうするしかなかったのだ、という自己満足のもと半ば強制的に彼に抱きかかえさせて自分の魅力をアピールすると共にライバル達に差をつけようと考えたのだ。

 実際、彼にとって彼女自体の存在は理解している。いや彼女の質量がどうのとかではなく――むしろ軽くて驚いているほどである――彼女がいてくれるだけで自分に余裕ができたのだ。

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