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休息

休息、取れていますか?

私はこの前書きを書いている時間が休息になります。

ゆっくりと、一週間かけて、前書きを書いています。

 鳥海が逃げることを諦めてから一時間ほどするとこれまた彼を探しに来ていた姉に発見された。

 彼女によると発見された時、四人全員が寄り添って眠ていたという。

 揉み合いになったのは最初の数分くらいで後は大人しくしていたからそんなに騒いだわけでもなかったので彼は眠ってしまった。

 実際のところこの状況は寝ても覚めても天国に近いのである。柔らかくて暖かいものに包まれているのだからそれはそれは寝心地が良いわけで、さらに彼自身も抵抗する気も何か行動しようとする気も起きなかったので、寝てればいいやと楽観して自分を取り囲む少女達に身を預けてしまったのだ。

 眠ってしまった彼を起こすのはどうも忍びないと思った彼女達は、お互い睨み合うのを止めて目の前の寝顔を注視した。

「えっと、これは……完全に眠ってしまっておるの」

「ええ、眠ってますね。ぐっすり眠ってますね」

 そう言いながらミアは頬を軽くつついた。

「止めんか、殿も疲れておいでなのじゃぞ」

「そうね。カイくん、いつも頑張ってるからね」

「そうですね。マスターは頑張り屋さんですから」

 とりあえずリーとミアは体に纏わりつかせていた腕を各々近くにあった彼の腕に絡める。しばらくただ無言で寝顔を眺める。

「カイくんの寝顔、かわいいなぁ」

「…そうじゃな、見とるこっちまで眠くなってくるわい」

「もういっそ皆で寝ちゃいましょうか」

 その言葉を最後に全員が眠りについた。


「まったく、何やってたんだよお前らは……」

 仲良く四人が身を寄せ合って眠っているのを呆れた様子で見ていた彼女の元に男衆が現れた。

「あれ、姐さんこんなところで何やってんです」

 全く状況を知らない秀明が声をかける。

「あ、ああ。いや、どうしようかなって」

 珍しく姉貴分が困ったような声を出すので視線の先を見てみると、先ほどの光景が広がっているのである。

 この場にいる全員がどうしようか悩んでいると残りの機動小隊のメンバーが集合した。全員、二日ほど前から姿が見えない彼を探しに来たのだが結局のところここにいるだろうという結論に至ったわけである。

 もちろん正解。彼がここにいること自体は間違ってはいなかった。

「あ、ヒデ!やっぱりここなんだねって、どうしたの?」

 吹雪の問いに彼氏はどう返そうか少し困る。

「いや、どうしたもんかな」

 全く状況が掴めない五人も同じように皆が見ている方に視線を向け……デジャヴである。


 とりあえず、どうしようもないので全員で彼らが起きるまでここで昼休憩としゃれこむ事にした。

 あの日から今日で一週間経つ。色々な事が同時に起きた過ぎた。宗一郎も加わった年長組はそれなりの体力があるがまだまだ成長途中の少年少女には少々荷が重かったのである。

 この時間に外で訓練している兵士が一人もいないほどキャンプ内は人や物が行ったり来たりを繰り返している。将官達も作戦会議よりも部隊の部屋をどこにするのかを決めたり資料や報告書を作成したり等の方に力を注いでいる。

 事実上このキャンプの警備としてまともに動くのは憲兵隊くらいである。

 こんな時に敵でもやって来たらなんてベタなふりを振ったところで敵が本当に来るわけでもないのだから少し休憩くらい入れても大丈夫だろう。

 これほどまでのんびりした軍隊など祖国でやれば誹謗中傷の嵐が吹き荒れることだろうが本人達は気にも留めないのである。

 会社に休みがあるように、人間が休息を求めるように、彼等にとって当たり前の事を当たり前のようにやっているだけに過ぎず、それを非難される筋合いはない。

 かといってこのままここに居続けるのもどうかと思うのだがそこまで時間はかからなかった。

 彼が目覚めたのだ。

 目覚めたのはいいが辺りを見回してみると意味不明な光景が広がっている。

 まず自分の周りを取り囲んでいる少女達が寝ている。仲良しなのか違うのか、なんにせよ普段からは想像もつかない。

 そして元々鳥海と比叡、榛名しか知らなかったはずのこの丘に機動小隊全員が集合している。いつバレたのか分からないがどうせ誰かがしゃべったのだろう。

 周りの皆はおしゃべりしたり、くつろいでいたりしていた。どうでもいいがヒデと吹雪、タカと弥生は相変わらず仲が良い。どうしてこんなに平和に見えるのだろうか。

「おっ、カイ、起きたのかい」

 見ると姉がこちらに向かってきた。自分が起きたことに気づいたようだ。

 もちろん、自分を囲んでいる少女達も目覚めるが周囲の状況を理解できていない。

「ふぁ、おふぁよう、カイくん」

「んむぅ、殿、起きたのかえ」

「んぅ、ますたぁ」

 一人まだ寝ぼけているみたいだが耳元で甘い声で囁きながら右腕を持ってかれるだけで大した問題があるわけではない。もっと言うと全く身動きが取れない状況なのは寝る前から変わっていないので問題がないように感じているだけであって周りからすると彼には仕事に戻ってもらいたい――いい加減皇国に還る為の準備、装備や国境を越える手段などを検討し始めなくてはならないのでこれ以上ここにいられても――ので動けないというのは非常に困った問題なのだ。

「とりあえず、装備管理室にでも行こうか。長旅になるのは確実だし、道中の治安とか人権の安全なんかは当てにならないからね」

「それはいいんだけど姉ちゃん、ミアはどうする」

「うーん、カイから離れないとなると運んでいくしかないんじゃない?」

 それを聞いた瞬間に二人が驚いたようにこっちを見るがお構いなしに続ける。

「まあ、良いんだけど」

 運ぶのは全然問題ないのだがどう運ぶかが問題となった。

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