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止まらない、勘違いが、止まらない

自分がなんで小説を書こうと思ったのだろうか当時の自分に聞いてみたいですね、1年前の話ですが。

 少し遡る。

 作戦司令室から飛び出したユリアは真っ先に司令棟に走った。

 自分の武器を取るわけでもない。銃ならある。ならなぜか。

 答えは彼女の大声にあった。

「憲兵さーん!」

 憲兵の詰所は収容区画にある。前にも説明した通りそれは居住棟の奥地にあり、ここから叫んでも到底聞こえるわけがない。

 しかしユリアが押し掛けたのは憲兵本部、先の憲兵隊長を始めとしたエリート集団が利用している部屋が司令棟にあるのだ。

 突然の来訪者に本部にいた10名程度の憲兵がなんだなんだとやって来た。

「どうしたのです、武器調達官殿がわざわざ」

「調達官ですって?」

 声が聞こえた方向にその場にいた憲兵全員が向き、敬礼をした。

 そして彼らが道を開けると呼びたかった彼女が姿を現した。

「良かった、憲兵隊長さん!訓練施設G棟に誰かが入ってきて、監視カメラがさえぎられて、それで隊長が」

「とにかく落ち着いて、情報を整理しましょう。それと私はケーニヒと呼んで」

「う、うん。ケーニヒさん、あのね」

 かくかくしかじか、状況を説明していると後ろが何やら騒がしくなってきた。

「…分かったわ。すぐに向かいましょう。何人か付いてきなさい!」

 了解、という声と共に5人の憲兵が小銃で武装してやって来た。

「案内して頂戴」

 そうしてさらなる勘違いが広がっていくのであった。


 G棟に着いた一行はまず扉の周辺を確保して、彼らが出てくるのを待つことにした。

「どうして、突入しないの?」

 ユリアの疑問は最もだがこういう仕事は憲兵の領分の為従っている。

「閣下が中にいらっしゃるのなら、もしかしたら人質として出てくるかもしれないでしょう。我々としても彼を喪うのはごめんだわ」

 どれくらい時間が過ぎたのだろうか、いや実際は会話を終了させてから数分も経ってないのだが張り詰めた緊張感というものが一秒というものを引き延ばす能力を持っている訳だ。

 その一瞬に耐え切れなくなろうかというとき不意に、ドアが動いた。

 急に世界が動き出したような感覚と共に全員がドアを囲むように半円状に立ち、各々の銃口をそちらに向ける。

 そして出てきた人影に向かってケーニヒが叫んだ。

「動くなっって、え?」

 目の前に現れたのは金属製の木偶人形――最早これを木偶人形と呼んでいいのかどうかはさておきこれを他にどう形容すればいいのか分からないのでそうなのだろう、きっとそうだ。

「おい、なんで止まった?」

 後ろから知っている声がする。

「さあ、この廊下が狭いのではないですかな?」

 はっはっはと笑う声が聞こえる。男性の声だ。

「いや、そんなに狭くはないはずなんだが。ああそうか、つまりは手遅れってわけだ」

「どういうことですかな、閣下。小官には全く心当たりがありませんので」

 姿は見えないが、暗闇の中から声だけがよく聞こえる。

 こちらの状況を見ていない向こうは悠長に話を続ける。

「そうだな、まず現状を説明しようか。時雨、お前はあの空間に何をした?」

 時雨と呼ばれた女性の声が返ってくる。

「えっと、朧ちゃんが全体を暗闇で覆って……あ!まさか」

 どことなく榛名に似た響きを持つ声から驚きが上がる。

「まあ、そうだよな。俺も銃を向けながらここに来たのが映っていたんだろうな。それでこれを異変と捉えたユリが憲兵を引き連れてやって来たってところだろうな」

 まったく正解を引いたというのに何一つ状況が解決しないのだがとりあえず彼らが敵ではないことを伝えるとこの場は一旦終息した。

「では、そのお二方は閣下のご友人方であるというわけですね?」

「ああ、間違いない。俺自身、ここまで来るとは思っていなかったのでな」

「左様ですか。して、この人形は?」

「この二人も能力者でな、こっちの大男の能力で生成されたものだよ」

「ええ、これは確かに小官の能力によるものです。補給品を輸送させる以外の能力はこの一体を除きありませんのでご安心ください」

 そう言いながら大男、秋津洲は先ほど見た人形を手の甲でゴンゴンと叩く。確かに彼の隣にいる木偶人形とは材質も見た目も違う。

 そもそも木偶人形の手はミトンの様に親指だけしかないはずなのだが、この金属製は合衆国のハリウッド映画に出てきそうな近未来ロボットに似ている。実際は胴体や顔などは別段リアルに作られているわけでもないし、素材を抜きに考えればこれは手がしっかりあるだけの木偶人形なのだ。

 それだけに疑問が生まれる。

「なぜその一体だけ違うのです?」

「これは閣下専用のものなので護衛役も兼ねているのです」

「では武装も可能と」

「もちろん」

「よろしい」

 なにが良いのかさっぱり分からないが多分、安全だという事が証明出来たのだろう。

「閣下」

「どうした、ケーニヒ隊長」

 言ったことは無いのに名前を知っていた事に内心驚きつつ、彼女は続ける。

「お二方の件、了解致しました。しかしよろしいので?小隊の構成員として編成されるには部隊を細分化なさらねばなりませんが」

「その事についてなんだが、考えがあってな。後で少し相談に乗って貰いたいのだが」

「私でよろしければ構いません」

「助かる」

 さてとこのまま一旦作戦司令室に向かおうかとした時、たまたま辺りを見回していた憲兵が叫んだ。


憲兵の持っている小銃はFN SCAR-Hです。7.62×51NATO

ユリアとケーニヒが持っている拳銃はM92になります。9×19パラベラム

合衆国のハリウッド映画:I'll be back.

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