手紙
時刻は朝・・・ではなく昼。
比較的静かな清爽の森にある一軒の家では一人の少女がこの遅い時間に起きたのである。
「ふあぁぁ。」
布団から上半身を起こして背伸びをする恵瑠。そう、彼女はすっごく起きるのが遅い。時刻は10時半。遅いときは12時過ぎても起きないらしい。
まぁ、それは置いといて、恵瑠は布団から起き上がろうとしたが、何を思ったのかまた寝ようとした。だらしない奴だ。頭をドスンと落とすと、視界の端で薄っぺらいものが一瞬だけ浮いたのが見えた。
恵瑠は頭を横に向けて見ると、黄ばんだ色の紙があった。それを手に取ってみれば、それは手紙だった。
中を開けると、字が書いてある紙が一枚あった。
恵瑠は何で中身は黄ばんでないんだとどうでもいいことを思いながらその字をまだぼやける目で懸命に読んだ。
拝啓
白天恵瑠殿
天からお主らのことをずっと見ておりました。
お主は先祖から与えられた力を持っていると見ましたぞ。
お主らに頼みたいことがあります。
ぜひとも、神々の首都に来てください。
お待ちしています。
神より
「はぁ?神ぃ?」
と呟き、リビングに紙を持っていった。
リビングに行けば、翼と春香とミアがいて、仲良く茶でも飲んでいた。
「お、恵瑠。」
と、翼が恵瑠に気づいた。
「恵瑠ぅ~?なにその恰好?まさか、今起きたのぉ?遅すぎるわよぉ~?」
と、なんか酒に酔ったような感じでミアが言う。
「お邪魔しています。」
と、春香は相変わらず礼儀を忘れなかった。
「翼。まさかミアにお酒飲ましてないでしょうね?」
「ここに酒はない。」
「ならいいけど。」
と、まずはミアの口調に触れた。
「恵瑠ちゃん?その手に持っているのは何ですか?」
と、春香が手紙のことを指摘した。
「あ、これ?」
恵瑠は他の3人に手紙を見せた。
「なるほど、これが枕元に置いてあったのね?」
とミアは口調を戻して恵瑠に確認した。
「うん、置いてあった。」
と恵瑠は言う。
「嘘だろ?昨夜は誰も出入りしてなかった。誰か勝手に入ってきたらすぐ起きるんだが。」
と、翼は言った。
事実、翼は気配や気、空気に敏感すぎるため、気配を消して入ってもすぐ捕まってしまう。
翼が一人でもいる家はホームセキュリティが万全なのだ!
「いやアル〇ックか。」
「恵瑠?」
突然意味不明なことを言い出した恵瑠をミアは心配した。
「大丈夫ですか?」
と、春香。
「うん、なんか天の声が聞こえた気がしちゃって・・・。」
と恵瑠は言うが、
「医者呼ぶか?」
と、翼は尋ねる。
「いやいや、ほんとだいじょぶだから!」
恵瑠は必死に主張する。
「それより、翼さんは、この手紙の送り主については、何も思い当たらないということですね。」
「そうだ。」
と、話を戻した春香の問いに翼が答える。
「じゃ、マジで神?神ってマジでいるってこと?」
という恵瑠に、
「まぁ、時の神のウールがいたからなぁ。他にもいるだろうなぁ。多分。」
と、翼が答える。
「じゃあ神々の首都に行くとして、どこにあるのよ?」
と、ミアが言えば、皆が沈黙する。
「・・・・・・・聞いたことないですね。」
ぼそりと春香が沈黙を破る。
「私たちの住む土地の外は海で、その海を真っすぐ進むと、世界の反対側に出るでしょ?だから、この土地一つが私たちが住む世界ってことでしょ?で、私たちはこの前4人で協力して世界を回った時があるじゃない?あの、アールのことで。だから、私たちの中の誰も行ったことのない場所はないはずよ?」
と、ミアが長々と説明し、
「つまり?」
と、恵瑠が質問するとミアは
「もう!今ので分かりなさいよ!つまり、この世界に神々の首都って場所はないってことよ!」
と怒鳴る。
「そうだな。神々の首都があるとしたら、この世界とは全く別の所って考えられるだろう。」
と翼は言う。
「それは、その手紙の差出人は、この世界の住人ではなく、この世界の外にいる人なのですね。」
と春香が推測した。
「てことは、神々の首都に来いってことは・・・世界の外に出ろってわけ!?」
と、ミアはでっかい声で言う。
「よし、目的地は神々の首都!では、世界の外に行くべし!!」
と、恵瑠は叫ぶが、ミアは
「何が行くべしよ!?ばっかじゃないの!?どうやって外の世界に行くって訳よ!?」
と恵瑠の肩を揺らしていた。肩を揺らされながら恵瑠はミアたちにこんなことを言う。
「お、落ち着いてミア。心当たりがあるんだ。」
「心当たり?」




