表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/82

7.街来たーっ!そして早速ライバル?!

1/28 少し書き加えました。

広くて深い森と草原をムーンに乗って抜けること2日弱、私たちは人間の街、オリジナ市に遂に到着した。


城壁を抜けて、街に入る。街といっても、ここらは畑など、のどかな田園風景が広がっている。

建物は僅かで、所々といった感じにしかない。

オリジナ市って、農業が盛んな街なのかな?


敷石は城門までだったらしく、草の生えるいなか道を歩いていると、遠くに再び城壁が見えてきた。あの城壁の向こうが街なのかな?


私たちの他に歩いている人はいなく、のんびりと歩いていると、横を流れる水路にルーンが飛び込んでしまった。

綺麗に整備されてて底が見えるほど澄んだ清水だけど、それって農業用水じゃないの?

農薬とか入ってるんじゃ.......って、ここは異世界でしょ、農薬ないって。

私、思ってたよりバカみたい.......。


「きゅうっ!きゅきゅっ!」


ルーンは気持ち良さそうにバシャバシャと流れながら遊んでいる。さながら、流れるプールって感じ?

流れていたら、水草に脇腹を撫でられたらしく、悶絶しはじめた。

ムーンも、私の横をてくてく歩きながらチラチラ見てるから、もしかしたら遊びたいのかも?

パシャリ

前足で水を飛ばしたムーン。私が見ているのに気づくとばつが悪そうにまた歩き始めた。


しばらく歩くと、女の子が前を歩いていた。

ファンタジーなローブに魔女帽子、たぶん冒険者かな。赤い水晶の長杖がゲーム感をだしてる。


「あら、あなたも冒険者かしら?随分ふざけた装備をしてるけど。」


私たちに気付いて振り返った彼女は気の強そうな感じで、多分私と同い年くらいの少女だった。

気になるのか、私の猫耳としっぽをチラチラ見てる。


「こんにちは、あなたは冒険者ね。私は冒険者になる予定のただの一般人。」


私、こういう気の強い人って、あんまり仲良くなれない印象があるんだよ.......。

私みたいなダラダラしたい系からすれば、対極の存在というか何というか......。


「ふーん、そう。」


なんかめんどくさそう.......早く切り上げたいけど、許してくれなそう.......。

物珍しい私たち(多分、レア動物のムーンたちと従魔契約してることもプラスされてる.......)に興味を持ったらしく、どうも見逃がしてはくれなそうだ。


「あの.....「私は、炎の魔女ことマナリア!ソロの冒険者として、誰にも劣るつもりはないわ!」.......う、うん。」


途中で割り込まれた.......。それに、その一方的にライバルにする感じ、苦手だわ~。

私の苦い顔に気付いたのか、「あら、どうしたの?」と聞かれた。

ぐ.......。


「所で、あなた名前は?私だけ名乗ってあなたはしないなんて、ライバルとしてなってないわよ?」


こいつ~。誰があんたのライバルに何時なったっての!?

呆れた顔したいのはこっちだから!


「ユイナ、じゃあ名乗ったしもういい?私たち、もう行きたいんだけど。」


自己紹介も終わったし、横を通ろうとすると、止められる。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!あなたたち、街に行くんでしょ?私も向かってるんだけど、あなた弱そうだから一緒に行ってあげるわ!」


ふふん と偉そうにいいながらも、下心が見え透いていてなってない。

さっきからルーンたちを見ては口が緩んでる。触りたいなら言えばいいのに.......。

それに、ソロプレイヤーだって自慢げに言ってたけど、ほんとは一人が寂しいんじゃないの?

しかもこいつ、妄想癖なのか勝手に興奮しだしてるんですけど。頑張って表情筋抑えてるけど、バレバレだからね?

さっきからマナリア?だっけ?の心拍やら意識の波が跳ね上がりまくって煩いんだけど......。

そんなに私たちと行きたいのかな?


「私は良いけど、ライバルなんでしょ?一緒に行動していいの?」


「い、いや、良くないわよ?!今はライバルになった初日でしょ?!あなたまだ冒険者じゃないんでしょ?!だから、まだカウントされないのっ!」


テンパってる......。


「まだライバルじゃないし、一般人なあなたを冒険者の私がまっ、護ってあげるって言ってるのよ!悪い話じゃないでしょッ?!」


「まあね、じゃあ行くよ?」


素直じゃないな......こいつ。

ムーンたちも呆れたのか、早く進もう?と行きたがってる。


「う、うん!じゃあ出発よ!魔物は任せなさい!」


明らかに興奮してから回ってるのか、いきなり石に転んだ。

それからも、ムーンのふわふわに気をとられて木にぶつかったり、水路を流れるルーンにふらふらと寄っていったと思ったら、水路に落ちるし、ショボくれて後ろを歩きだしたと思ったらいきなりしっぽをつついてくるし.......。


こいつ、邪魔しかしない........。


一緒に歩き出して30分、いまだに弛んだ表情をしながら歩いているあいつは、畑から飛び出した角ウサギの集団が襲ってきて、やっと通常運転に戻った。

炎の魔女とかなんとか通り名があるように、ファイヤボールをまとめて放ち、劣勢を一気に互角まで押し上げた。

続けて炎を放つも、角ウサギは反応が速く、避けられやすいため、数が減らない。


「ルーン、援護するよ!」


段々押されぎみになってきたから、ルーンと魔力弾を射ち、援護する。

小石サイズの魔力弾が、赤い光の糸を引きながら飛び、角ウサギを撃ち抜いた。

振り返ったマナリアが、驚いたように目を丸くさせる。魔力弾って、驚くようなものなのかな?

魔力弾で近づこうとしてきた魔物を射ち抜き、近距離にいるやつは長剣で脊椎を切り、戦闘不能にする。

血が飛び散るのってやっぱり嫌だ、ゲームなら消えるけど、異世界消えないじゃん?

束になって襲ってくる角ウサギに魔力弾を連続で放つ。

しばらくルーンと魔力弾を放っていたら、角ウサギの集団は全壊し、魔物に勝利していた!


「あなた、何なの?!というかバカなの?!あんなに沢山、魔力弾を射つなんて!下手したら死んじゃうわよ?!」


振り返ったマナリアが ?! の嵐を投げ掛けてきた。うぐぅっ.......耳いたい。


「魔力弾は自分の魔力を射ち付けてるのよ?!沢山射ったら魔力過剰使用でショック死しちゃうこともあるのよ?!」


え?そうなの?

ルーンが普通に射ってるから、魔法の基礎みたいな簡単なやつかと思ってた。


「魔力弾は魔力消費が半端ないのよ?一流の魔法使いでも、10発射てたら凄い!って感じで、そのあとショック死しちゃった人も多いのに、あなた、一体どれだけの魔力保有量なわけ?!」


10発でショック死.......?!まじか、旅の間、1日100発は射ってたよ.......。

あ、でも、これだけ射ってれば魔力も大分少ないんじゃない?

でも死の危険どころかいたって普通だ。

ラノベとかだと、魔力がある程度減ると倦怠感が現れてるけど、私には無いから、大して魔力は使ってなかったんだと思う。

ってか、そうだとしたら何?私は、魔力の化け物かなにか?


私が考え込んでいるのに焦れたマナリアは、とりあえず行きましょと歩きだした。あ、待ってよ、ムーンを連れてくな。スルッと間に割り込んでムーンから離す。


「まあ、何とあれギルドに行きましょう。冒険者に登録したら、ギルドカードにあなたのステータスが刻まれるから、それで確認すればいいわ。」


へぇ、ギルドがあるの。ゲームとかラノベでハマってた異世界転生&転移だったけど、これは楽しくなりそうだね。でも、戦闘とかはあんまりかな、異世界に来たなら、観光とかしてスローライフしたい。

まぁ、旅のお金を稼ぐには、まずは冒険者になってしばらくは狩りをするつもりだけどね。


「あ、見えてきたわね。あれがオリジナ市の街門よ!」


マナリアが指差す所に視線を移すと、立派な外壁と、馬車で混み合う大きな観音開きの門。


長いいなか道を歩いた先に、目指すオリジナ市の入口が見えてきた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ