番外編. プレゼント
引ケット一周年です!
9/17 に投稿したものを移動させました。
20/11/7 挿し絵を撤去しました。
ある日のこと。
「あら、ユイナちゃん朝からどこ行くの?」
ベッドから半分起きたリアーナさんと朝食をとったユイナはいそいそと身支度をし始めた。
「あぁ、エルさんに緊急クエストで呼ばれてて。じゃあ行ってきます!」
「あら、行ってらっしゃい」
今回はムーンを連れていけないため、謝りながら丘を下っていくユイナ。入れ替わりのようにシーアは目を覚ました。
「おはようシーア」
「おはよ」
昨日はユイナとの狩りのあとに解体場のディーンからヘルプを頼まれて夜遅くまでかかってしまったのだ。お陰でいつもより寝坊した。
「きゅう」
「ルーンたちもう食べた?」
「ええ、ユイナちゃんが」
「そっか。私も食べよ」
ユイナが作り置きしているスープとパンの朝食をのんびり食べ始める。と、リアーナが
「シーア、ユイナちゃん来てから大分経つでしょ。私もシーアもお世話になっているし、なにかお礼したいの。ね、みんなでユイナちゃんにプレゼントを送りましょうよ」
「プレゼント?」
なになに? とルーンとマルピチャがベッドに飛び乗る。窓の外からは話を聞き付けたムーンの顔。
「贈り物。ありがとうって気持ちで何かをあげることよ」
「きゅう!」「にゃあ!」
なるほど! と2匹。
「ちなみに、私からはもう用意してあるの。シーアたちもなにか考えてちょうだい」
まだ内緒ね。と見せはしないリアーナ。
う~んと考える
「ユイナお姉ちゃんだったら、お肉が1番じゃないのかな?」
「「きゅう」」「にゃあ(そうだにゃ)」
と、言うことでシーアは集落の皆に美味しいお肉はなにか聞いてみた。
「牛系はどれも美味だよ」
「鳥はいいわよ。食べやすくって」
「昔、月鯆を食ったなぁ、ありゃあうめぇぞ」
シーアたちがよく食べるものや、手に入らないものばかりだ。シーアとしては、ユイナが食べたこと無いようなものをあげたいのだ。
「あ、なら緑宝鳥がいいでねぇか? 今の時期、越冬でここらにきてるはずだで? あれは幻の食材でうんめぇって聞いたで」
「「「!」」」
それだ!
「ありがとうおじさん!」
「やぐにだっだが?」
「うん!」
早速シーアはムーンのもとへ。移動や狩りにはムーンが必要不可欠だからだ。
ムーンは裏の丘で昼寝をしていた。
「ムーン! お願いがあるの。一緒に緑宝鳥を探してくれない?」
「きゅう?」
なに? と半目を開けるムーン。
「ほら、ユイナお姉ちゃんへのプレゼント! 美味しいんだって」
「きゅう」
いいよ と立ち上がるムーン。シーアたちは早速行こうとムーンに乗ろうとするが、ふわふわ艶々の毛でうまく登れない。
「きゅ」
ムーンがしっぽをシーアの足場にして上への足ががりを作ってくれた。
「ありがと!」
「きゅう」
いえいえ とムーン。
「じゃあ行くにゃ!」「きゅーっ!」
マルピチャとルーンものせて、ムーンはゆっくり歩き始めた。
丘陵地帯には所々森や池がある。そういった場所は動物や魔物が集まるから、順に回っていくことにした。
「いないね」
「にゃう(そうにゃね)」
既に何ヵ所も見てきて、そろそろ諦めかけていたその時。
「きゅ!」
ルーンが小さく鳴いて、指で指した先には...
緑色の鳥が地面に落ちた果物をつついている。緑宝鳥だ。
「素早いらしいからみんなで一斉にいこう」
「きゅう!」「にゃ!(了解にゃ!)」
散会してじりじりと距離を積めていく。
目配せをして....一斉に飛び出す! が、
「クェェッ!」
警戒されていたのか、飛び立つ緑宝鳥。素早いムーンの追い討ちもかわされ、緑宝鳥は彼方へと飛んでいってしまった。
しょぼくれるシーアを慰める幻獣たち。
あっ となにか気が付いたようにルーンとムーンが駆けていった。すぐに引き返してきた2匹が持ってきたのは緑宝鳥が食べていたのと同じ種類の果物。
「きゅうん」「きゅー」
「これって食べられるの?」
「「きゅ!」」
肯定する2匹。
シーアはちょっと心配しながらかじってみた。
「あっ、甘い!」
みずみずしい甘い果汁が口の中に溢れ、果肉がとろける。
ムーンたちがユイナに出会う前、森でよく食べていた果物だった。
「緑宝鳥はとれなかったけど、これなら美味しいしプレゼントになるよ!」
「きゅう!」「きゅっ!」
本命ではないがシーアたちからのプレゼントは決まった。手分けして付近を探してみると、いくつか集まった。
気がつけばもう夕方。
これ以上は暗くなって危ないからとムーンはシーアたちを促して帰途についた。
シーアたちが家に帰ってリアーナに今日の出来事を伝えていると、ユイナが帰って来た。ギルド長のエルからの依頼で盗賊狼の群れの討伐に言っていたようだ。
「シーア、途中で鳥の魔物狩ったから捌いてくれる? 今日は鳥鍋にしよう」
なんか雉みたいな魔物だから多分美味しいよ とユイナ。
ストレージから出したのは...
「あっ!」「きゅうっ!?」
シーアたちが逃した緑宝鳥だった!
「帰る途中でこの鳥の魔物が急に目の前に飛び出してきたから倒しちゃって。綺麗な羽だよね」
「う、うん」「きゅー」
驚いて声が出ないシーアに、どうかしたの? と聞くユイナ。
シーアとルーン、途中からマルピチャもまざって話し終えると、ユイナはクスッと笑う。
「そっか、それでこの果物ね。ありがとねシーア、みんなも」
くしゃくしゃとユイナに頭を撫でられるシーアとルーン、マルピチャ。
「きゅうー!」
ムーンも! と窓から鼻面を突っ込むムーン。
ありがとね みんなとまとめて撫でていると、
「ユイナちゃん。これ、私から」
リアーナがユイナに差し出したのは紺色と青をベースに編まれたカーディガン。裾の模様は可愛らしく肉球マークだ。
「ありがと....!」
ユイナが嬉しさでカーディガンを抱き締めていると、ベッドに飛び乗って来たのはルーン。
「きゅう!」
ポケットよろしくふわふわの毛の中から取り出したのは四つ葉のクローバー。
「いいの?」
「きゅう!」
もちろん! とユイナにクローバーを手渡すルーン。それに触発されてか、マルピチャからはもふもふ猫じゃらし、ムーンからはどこからか取り出した枝つきのベリー。
みんなからの思わぬプレゼントにユイナの顔が綻ぶ。
「ありがと..! お礼ってはなんだけど、夕飯豪華にするから!」
「「きゅう!」」「にゃー!」「やったぁ!」
照れ隠しか、背を向けてキッチンに立つユイナ。くすくすと笑いながらシーアは流しを使って緑宝鳥を捌き始める。
その日の夕飯は宣言通り豪華なもので、星が輝く夜闇のなか、家からは暖かい光と笑い声が溢れていた。
おしまい
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今日で引ケット一周年!
読んでくださる皆様、ありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いします! p(^-^)q
引ケット1年たちました!(*´ω`*)
読んでくださった方々、現在進行形で読んでくださっている方々、ありがとうございますっ!o(^o^)o
これからもよろしくお願いいたします!m(__)m




