54. 魔法大会予選 7
私情により投稿が遅れましたm(__)m
オリジナ予選決勝戦です。
客観視にして書いてあるはず....なんですけどね。
違和感や物足りなさがあれば感想、意見お願いします!
不敵に笑う死神狐に、瞳に炎を揺らめかせる魔女、猫耳の謎多い少女の3人が、丸い試合フィールドの3方向へそれぞれ別れて位置に着く。
フィールドの床は石畳ではなく、砂利を固めたコンクリートっぽいものに変わっていた。3人のうちの1人が、盛大に吹き飛ばしたための代償というか、結果というか。
決闘などの試合において、硬く崩れにくい足場は戦いやすい。塞翁が馬とも言えるかもしれない。
死神狐はキツネの顔を深く被り、いつの間にかそこに立っていた。ニヤリと笑い、大鎌をゆっくりとした隙のない動作で構える。
魔女は煌々と赤眼を輝かせ、つり目の目尻から眼をさらに細くする。口元は弧を描き、悠然とした態度で立ち、相棒の長杖を前に翳す。
猫は普段通り飄々と、軽い足取りで現れる。かといって油断は全くせず、広く鋭い五感で警戒を怠らない。
大広場、観客、ステージ、そしてフィールドに、緊張が走る。
賑わっていた屋台も、存在自体忘れるような静寂。
今日は晴天、風もほぼ無風。
秋らしい薄い青空が高く広がる晴れ日だ。
柔らかい風が1枚、街路樹から小さな葉っぱをさらった。
「始めっっ!!!」
とたん、観客の様々な声が沸き起こり、建物に囲まれた大広場に木霊した。
◆
「始めっっ!!!」
審判から開始が告げられた途端、まず2つの人影がフィールドから掻き消えた。死神狐と猫ことユイナだ。ほぼ不可視の速度で2人が撃ち合い、自在に動く。結界の外の観客の耳にさえ、風圧で空気がぶつかる音が続く。
ある程度広いフィールドの至るところで魔力の光が飛び散る。
マナリアは慌てず、近距離戦が得意であろう2人が狙いそうな自分の隙に炎を撃ち込む。
超高速接触魔法を叩き込もうとしていた人影は、マナリアをちょっと優れただけの魔術師だと思っていたようだ。1発で仕留めようと隙の多い斜め後ろを責めるが、ピンポイントで予測され驚き、速度が落ちて姿を顕す。少し金色の眼を見開き、しかしすぐにまたその姿を消す。
見切れない速さから再び繰り出されるのも、急所を狙った接触魔法。
マナリアも分かっているから、相手が予測しにくい急激な動作でギリギリで次を回避した。
しかし、魔法は優れていても身体能力は人並みのマナリアは、次は回避出来ないのを分かっている。体勢も整っていない状態とは、死神の鎌が首に掛かっているのも同じ。
踏み込みのために一瞬姿を現した死神狐の口元が、 仕留めた と動くのが見える。
再び掻き消える死神狐。気付いても体が反応できないマナリア。
でも、その鎌はマナリアを襲わない。マナリアの首は繋がったままだ。
代わりに、今にもマナリアに触れようとしていた死神狐の魔法を纏った細い手を受けたのは、清んだ水色の魔力光。
マナリアと死神狐の間に割り込んだユイナだ。
ぶつかり合ったことで、駿足の2人の姿が通常の時間軸に戻り、姿を現す。
「邪魔しないでくんない?」
死神狐のもう片方の手、背後に持っていた大鎌が振るわれると、ユイナの堅固な魔力障壁でも亀裂が生じた。
「っ!」
破られる。瞬時に責めに切り替えるユイナ。偽装用の魔方陣エフェクトを展開させると同時に複数の風刃が飛び出す。さらに、ユイナの身体で隠して作ったエフェクトの要らないシンプルな細かい魔力弾が雨のごとく一斉放射される。
対して死神狐も黒い魔方陣を複数展開させ、そこから撃ち出した暗黒槍がユイナの細かい攻撃の雨の中を突き進み、相討ちに。
当たる場所が悪ければ戦闘不能になりかねない風刃は全て大鎌で防いだが、魔力弾の雨で体表にダメージを負った死神狐。
自分の魔力光で迫る死神狐の魔法に気づくのが遅れたユイナは、槍の1本が当たり、星猫ローブのお陰で傷こそないが、左腕を打撲。
「ーっ!」
(...痛い!)
悶えた僅か0.5秒足らずの硬直状態を狙って死神狐が踏み込む。が、襲ってきた火球に阻まれた。
2人の少し遠くからマナリアの炎が吹き荒れ、迫る。
後ろへ跳び、回避する2人。が、1発目の炎の壁をブラインドに、複数の火炎が弾け、2人を追随する。炎の魔女の名に相応しく、炎は個々が生き物のように2人を追い続ける。
魔力弾で相殺し、素早く死神狐を追いかけるユイナと、いつまでもマナリアの魔法効果が切れないのに苛ついた死神狐が本体のマナリアに攻撃を仕掛けるも、大鎌は追ってくる炎の1つが爆発することで防がれた。さらに、追い討ちのユイナの風刃に一瞬動きが止められる。
その隙にマナリアの炎がキツネを焔の檻に閉じ込めた。内部から破ろうと暴れる死神狐に、ユイナの大量放出した超小型魔力弾が触れ死神狐を檻の真ん中に跳ね返す。が、死神狐は抑えられない。
一瞬、マナリアとユイナの魔法の撃ち合いがあったが、檻を破ったキツネの暗黒槍がフィールドを切り裂くように放たれた。
マナリアのとっさの対属性の光魔法障壁と、ユイナの聖属性の超小型魔力弾がそれを阻む。
手を黒い魔法光に包み、マナリアに肉薄する死神狐。対してマナリアは魔力を体内で収縮、濃縮していた。
「熱暴走!」
高熱の焔がマナリアから放たれ、近付いていた死神狐とユイナを吹き飛ばす。
マナリアの体表に赤白い焔が揺らめく。
正規の火魔法ではないマナリアのオリジナル魔法。
それは、超身体強化。
マナリアはワケ有りで敏捷に特化したユイナと、伊達にパーティーを組んでいたわけではない。ユイナの考えることはだいたいわかっている。
魔法本来の中距離攻撃では、魔法の速度より速い死神狐やユイナを倒せない。もちろん2人は超近距離で撃ち合いをする。そんな戦いの場に立つのなら、魔法で自身を身体強化させて挑む。
魔力を体全体に回し、身体の、特に脚の筋肉を無理にでもほぐす。さらには火の勢いまでも利用してマナリアは急激に加速し駆け出した。
死神狐の重い攻撃を魔力で受け流してかわしていくユイナ。隙さえあれば魔力弾ならぬ魔力刀を打ち込むところだが、ばらまいた風刃ですら魔結晶の大鎌が全て叩き切っていく。
長い高速戦闘にも、死神狐は全く体勢が崩れない。
描ける魔方陣の影響で、手数があまりないユイナ。魔力弾を駆使するが、死神狐も魔力を放出して相殺する。
なかなか決着のつかない乱戦。そこに飛び込んできた紅い一条の光。マナリアだ。
「でやぁぁぁっ!」
炎が近距離から放たれ、火の粉が髪を焦がす。死神狐も、鬱陶しそうに狐の頭から火花を振り払う。
強敵との戦い。死神狐の、ユイナの、マナリアに込み上げたのは歓喜。本気でしかその場に立つことが許されない闘い。気持ちが現れるように、さらに速く、強くぶつかり合う3人。強化されたはずの地面にヒビが入る。
赤、黒、青の魔力光が入り交じり、弾け、飛び交う混戦に、観客はその凄まじい衝撃音と、光、そして色に、言葉も忘れて魅せられる。時々姿が見えたかとおもったら、全く違う場所に現れる超高速戦闘。
民衆の中に、彼らの一挙一動に目が追い付く者は誰一人としていない。が、飛び交う魔法の光と迫力に、誰もが息をのみ、無意識に握られた手のひらに力がこもる。
時計塔から、高所恐怖症なのも頭の隅に押しやられるほどの激戦に、リサが戦慄する。
(地方予選のレベルじゃない....!)
そばに控える双子も、護衛任務など忘れて手すりから身を乗り出して食い付くように観ていた。
そんななか、リサたちに着いてきたムーンたちのみが、半ば呆れたようにのほほんと眺めている。すっかり、シーアも慣れたようだ。
家族で座っている領主一家も、その闘いにすっかり見とれていた。おてんばクレアもタミアに抱えられながらじっと見つめるほど、その闘いは激戦でなおかつ、美しかった。
もっと上手く書きたいんですけど、文才が無くてイメージ道理には出来ませんね...。
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