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5.もふもふな獣 2匹目

5話目です!

相棒(?)の雲獣、ルーン&ムーンが仲間になります!


ブクマ、ありがとうございました(^∇^)

これからもよろしくです。

では、どうぞ!


森の中で遭難していたら、いろいろあって、もふもふな獣の雲獣、ムーンと 絆 で結ばれるほど仲良しになった。

猟師さんたちが捕まえていた動物は、ムーンの仲間だったみたいで、ムーンは猟師さんたちとその仲間の子を助けに、岩に囲まれた窪地に飛び込んでいった。

私も、ムーンに続いて飛び降りる。

猫足のおかげか、着地の衝撃もなく窪地の底に降りる。


「ヒイイッ!」


突然目の前に現れた私に驚いたのか、囲んでいるウルフやボアや熊、ベアーに怯えているのか、はたまた、捕まえた雲獣の仲間が再び現れたのに恐怖にかられたのか、猟師の一人が後ずさる。

手に持っていた短剣は、ガクガクと震えて構えている意味を成していない。


「じょ、嬢ちゃん逃げろ!何で来たんだ?!」


近くにいた別の猟師さんが、足を震わせながら私を庇おうとする。

私より自分を心配しなよ。


ムーンは、私たちの前に背を向けて立ち、魔物の集団に牙を向く。


「「「グルオオオッ!!!」」」


ウルフ3体がまとめてムーンに飛び掛かる。

狭い窪地では、ムーンはあまり動けず、ウルフの繰り出す爪や牙を食らう。

だか、大型犬より一回り大きいウルフの攻撃も、しっぽを除いて体長5メートルはあるムーンからすれば大したダメージにもならないみたいだ。

というか、もふもふすぎる毛のせいで、ムーン本体には何も当たっていない。

噛みついたウルフも、口の中を埋め尽くす毛玉を一生懸命吐き出そうとしている。なんか凄い!(ムーンの毛が。)

ウルフはなんとかしようと頑張るも、ムーンのもふもふの短足から高速で振るわれた長く鋭い爪で、いっぺんに切り裂かれる。

バシャッと血が飛び散るも、ムーンにかかった血飛沫は、最高品質の艶々もふもふの毛並みに弾かれて、その白い毛を染めずに地面にシミをつけた。

ウルフが倒され、次だと言わんばかりにボアが土煙を上げて突進してくる。

ジ●リのもののけ姫の猪のようにデカいボアの太い牙と、低く構えたムーンの角が衝突する。

ドゴッ!っと、重い音がし、力勝負が始まる。

その奥で、今まで動かなかったベアーが、逃げ出そうと固まってそろそろと移動しようとしていた猟師さんたちに攻めていく。

ムーンは横目で私を見た。え?私に倒せと?


「グオオッ!」


3メートルはあるベアーに、猟師の一人が挑むも、太い腕に凪ぎ払われて吹き飛んで木に激突した。こわっ!

ベアーは障害物の木々をものともせずに残り2人に突進していく。


「きゅうう~!」


袋のなかの雲獣は、恐怖を感じたのか、しきりに鳴いて暴れだした。そのせいで更に慌てる猟師2人。

私は、木々を飛び越えながらベアーに迫り、長剣を振るう!


がっ!


.......っ!速いっ!

私の剣は、ベアーを掠りもせず地面を抉る。

ベアーは私の垂直斬りを、数歩のステップでかわし、私を標的に替えてそのままカウンターを仕掛けてきた。


「グオオ!」


ベアーの迫ってきた前足を、後ろに体を沿って紙一重でかわす。そのまま、重心を後ろにした状態でジャンプし、数メートルの間合いをとるが、ベアーはすぐに間合いを詰めてきた。

私は、圧されて木の太い枝に飛び移る。まずい。

チラッとムーンの方を見ると、太い角でボアを掬い上げ、もふもふパンチで殴り飛ばしたところだった。ボアがまだムーンに挑んでいくみたいだったから、ムーンが戦い終わるまでもう少し掛かるだろう。

ベアーに視線を戻す。私がいる木は結構太いせいか、ベアーは今までのように幹をへし折れないみたいだ。巨体のため、木も上れない様子。

これは、チャンスだね。攻撃の届かない距離から叩く戦闘法は、ソロプレイヤーの十八番だもん。魔法をバンバン打って.......あ、今、魔法使えないじゃん。

まさか、攻撃手段が無いなんて.......。ここにいてもどうしようもない。ムーンが来るのを待つくらい.......いや、そうもいかないみたい。

ベアーはガリガリと幹をむしりとって、倒そうとしている。

.......やるしかないみたい。


バッとジャンプして地面に降り、すぐさま駆け出す。

後ろから、ベアーが破壊音ととも追ってくる。猫足に力を込めてフルスピードで走って、あっという間に距離を離していく。

異世界にきて、リアルの私になっていて、ひ弱な私かと思ったけど、今までのゲームキャラの全ステータスが注ぎ込まれたように、今の私になっていた。

スピードをだせば、ベアーの速さを軽々と凌駕する。

そうだ、今の私は決して弱くないんだった。

ベアーは私に追い付こうと大きく手足を動かして一歩を大きく走ってくる。

私は、いつものゲームをするように、ではなく、リアルの私がいつもするように相手を見る。

煩くて嫌だった両親を絶対に怒らせまいと細心の注意をはらって機嫌をとってきた日々。その過程で得た能力であり技術の《スキル》。

ベアーを見据え、感じる。足音、地響きの先、もっと細やかな音。リアルの私より研ぎ澄まされた、この猫耳で。

感じ取ったベアーの呼吸、心音、そして、脳波は激しく荒れている。

そんな状態じゃ、絶対に勝てないよ。


私は、長剣を握り直し、一歩踏み込む。

不規則な足並みで、興奮しきった様子で走ってくるベアーの前に跳躍し、興奮して反応が鈍ったベアーの眉間に長剣を突き立てる。


「グ.......ァァ.......。」


大きく上下する脳波が、最高潮に達したときに、私の長剣の切っ先が頭蓋骨の僅かな隙間を通り、脳を破壊する。

悲鳴も上げず、ほぼ即死でベアーは崩れ落ちた。

神経が残っていたのか、ピクピクと痙攣している。戦闘不能のベアーを後ろに、私は地面に降り立った。




倒した!

嬉しさが込み上げるが、それを上回る精神的疲労。ちょっと色々ありすぎた.......。


「.......づかれた......。」


振り返ってみれば、腰を抜かしてへたりこんでいる猟師2人。

片方が持っているずだ袋から、モゾモゾとふわふわの毛玉が這い出してくる。

か、かわいい!ムーンよりちっちゃくて白いふわふわ。

つんつんとつついてみるとやはり柔らかくてもふもふだ。


「きゅうう~!」


小さな手をパタパタと動かすも、短すぎて空振りしている。もう、何なの?!可愛すぎる~っ!

くすぐったそうにくりくりな眼を細め、暴れている。

ヤバい、かわいいっ!


「きゅう。」


ボアとの戦いを終えたのか、ムーンが側に来た。

仲間の小さな雲獣と鼻面を合わせ、じゃれあう。もう一匹はぬいぐるみ位しかないから、ムーンのふわふわふかふかな毛に埋もれて見えなくなっている。

嬉しそうに 「きゅるる。」と鳴き合っている。癒しだ......!


「良かったね、ムーン。」


「きゅう。」「きゅーっ!」


2匹は毛玉から顔を上げて返事をした。同時にそれは萌える~っ!


「きゅきゅっ!」


小さな雲獣が毛玉から飛び出して、私に頬を擦り寄せた。や、柔らかいぃ~っ。

目線を移して見てみれば、くりくりの青い目が近くに......!


「きゅうっ。」


じりじりと服を登り、遂に頭の上に到達したもふもふは嬉しそうに鳴くと、体長と同じくらいあるもふもふなしっぽにくるまって丸くなった。


〔雲獣:ルーン と 絆 が結ばれました〕


再び来た絆の通知。

この子はルーンと言うらしい。ムーンと似た名前だから、ムーンの子か、弟かな?


「きゅるる。」


ムーンは私に頭を擦り付け、じゃれる。大きいけど、ムーンたちは驚くほど軽かった。

ふわふわと柔らかい毛が気持ちいい。


「「っ、うわあああっ!!」」


今さら、と言うように遅れて逃げ出す猟師たち。

あっ、街が何処か聞きたかったのに......。

2人はあっという間に去ってしまった。


その様子をじっと見ていたもふもふ2匹。

私が残念がっているのに気付いたのか、「きゅる?」と首をコテンと傾け、聞いてくる。


「二人は街への行き方を知らない?」


「きゅう。」


首を縦に振るムーン。知ってるみたい。


「きゅうっ!」


ムーンは立ち上がると、しっぽの先を器用に使って私を持ち上げると、背中に乗せた。


「連れていってくれるってこと?」


「きゅうっ!」


ルーンがそうだ、と鳴く。


「ありがと!」


ルーンは私がお礼を言うと照れたようにもじもじしだした。

ムーンは当たり前だと言わんばかりにしっぽを振った。


「ホントにありがとね。」


ムーンのふわふわの毛並みを撫でると、ムーンも照れたのか少し笑ったように見えた。


「きゅう!」


ムーンが駆け出す。

会ったときはあんなに荒々しかった足音はなく、体重がないみたいに静かに、振動もなく、深い森を駆け抜けていく。


数十分後、私たちは森を抜け、草原に出た。







読んでいただきありがとうございました(^∇^)

ムーンたちが仲間になって、やっとはなしが動く予定です!


次話もよろしくです!

ありがとうございました(*^▽^*)

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