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32. 試験終了

試験終わりです

次回は裏話。そのあとから〈境界〉前編はいります!

また建物に戻ってきたみたいだ。光が落ち着くと広間に立っていた。

前と違うのは、それぞれのテーブルに沢山の料理があることだ。あっ、あれ食べてみたい!

既にほとんどのパーティーが席に移動している。リサに手招きされて、隣に着席した。

料理長さんが労いの挨拶と、料理の紹介をする。なんとこの肉、任務で私たちが狩った魔物らしい。

食べて良いとのことで、みんなの一斉に皿またはスプーンなどを手に取った。


あむっ


凄い美味しい.......! シーアやリアーナさんたちにも食べさせたいくらいみんな美味しいし、豪華だ。あ、ムーンには無理かな、調味料が足りないかも.......。

隣のリサたちも、脇目もふらずに料理を掻き込んでいる。ハムスターみたい.......。


食事も一旦落ち着き、デザートの果物とお茶が配られる。

桃みたいな果物を食べていると、ギルド職員のお姉さんが出てきた。


「1週間、お疲れさまでした! 無事に試験終了です!」


ギルド職員のお姉さんに、こちら側から拍手が沸き起こる。1週間、長かったもんね。

拍手が止んだところで、お姉さんが口を開く。


「では、合否結果をお知らせします」


ザワッ!


きた!

一気に広間に緊張が走る。唯一、あのバカ貴族ズが余裕そうに机に脚を乗っけたりしている。高そうな服を着てる以外、貴族とはいってもただのチンピラにしか見えない.......。


「では、発表します!」


場の空気が張りつめる緊張の一瞬。

変なことはしてないし、あのバカ貴族ズも怪我しないように吹き飛ばすだけにしたから暴行とかにはなっていないはず.......。

もしもと考えたら、冷や汗がこめかみを伝った。


お姉さんが手元の紙を見る.......!


「全初心者冒険者パーティー、合格です! おめでとうっ!」


ワァァァァ!!!


やっったー! よかったあ!


「「おっしゃー! 俺たちスッゲー!!!」」


「やったぁ! やったよ!」


「しゃあぁぁ!」


「うおーっ! スゲー受かったぁ!」


「や、やった!」


「ラタ! よかったぁ!」「チコぉ~!」


「ふん、当たり前よ!」


「「素直に喜べよー!ww」」


「そうだよツカサ! スズノ、私落ちたかと思ったぁ!」


「私もよ。ホント、良かったぁ」


抱き合う双子に、そこに突っ込むリサ。そして、引っ張り込まれて一緒に抱き締められてる私。

ちょっと苦しい.......。

ガッツポーズのカインに、ミシェールの全身から喜んでいるような万歳を真似したのか、ちょっと遠慮がちに喜ぶラフトア。

鼠人族(ラット)たちはそういう文化があるのか尻尾を絡ませる。 ツカサはツンデレらしい。ヒナミとリサから弄られる。楽しそうにスズノがほわほわ和む。


「受かった全員、全パーティーが任務もいくつもこなしています! 評価点は高く、今までの試験でトップ10に入る成績でした! 本当におめでとうございますっ!」


ワァァァァ!!!

歓声と拍手のなか、貴族ズはやっぱりニヤニヤと煩い。


「こんなことで諸手を上げて喜ぶとは、受かって当然だというのに」


「頭の中身が心配になりますよ」


「そうだな、綿でも詰まっていなければいいがな」


「いえいえぜストレス殿、本当に綿かもしれませんよ? 庶民はパンにジャムも塗れない貧相な暮らしぶりだそうですから、頭から中の綿が出てくると売って暮らしているのでしょう。ほら、髪を売る と言うではありませんか。きっと綿ぐらいでなければ儲からず、頭の中身は綿に進化したのでしょう」


ふはははは! と嗤う貴族ズ。

バカにして.......蹴りたい。

私だけじゃなく、ほかの冒険者たちも同感らしい。握られた拳を押さえつけてる.......。


「はいはい、落ち着いてくださいね! では初心者冒険者改め一般冒険者たちは、上に部屋を用意してあります。出発は明日の朝ですから、遅れないように下に降りてきて下さいね!」


「「マジか! やったあ!」」


「アザっす!」


「部屋数が少ないので、男女別に大部屋を1部屋ずつですので、そこは各自お願いしますね!」


「「はいっす!」」


「うおー! 雑魚寝か!?」


「ミシェール、それは俺が嫌だ」


「えー?! いーじゃんなんか楽しいじゃん!」


「俺はかまわないよ」


「「俺らも大丈夫! やろーぜ!」」


「だってよカイン! おっしゃ遊ぶぞー!」


「枕投げか?」


「みなさん、あまり騒ぐと放り出しますよ?」


「「「「はーいっ」」」」「ったく」


ゾロゾロと男子組が移動していった。

男の子って凄くない? 出逢ってまだ1週間目だよ? それも実質2日ってとこだし。

つか、ミシェールのコミュニケーション能力高っ!


「女子は二階の奥の部屋ですよ。ちゃんと簡易ベッドがあるので安心して下さいね」


「了解しました。行きましょう」


「うん! なんか凄いね!」


「ほら、ユイナちゃん来なよー!」


「う、うん」


まさかの大部屋に一緒に泊まるなんて.......。流石に引きニートには辛いって!

でもしょうがない。大丈夫、寝るだけだから.......! 端に行こう、端に。

リサに連れられて部屋にはいれば、なんか病院の相部屋みたいな感じ。カーテンあった、良かった.......。

無事、窓側のベッドに決まった。隣はヒナミで向かいはラフトアになった。

あ、良い機会だし、ヒナミに聞いてみよ。このくらいならやれるはず!



女子というのは、一回打ち解けるとすぐに仲良くなる社会性の富んだ生き物らしい。女子が集まって話すことといえば恋話なのは、なぜ、どの世界でも共通なのか.......。


「ね、ラフトアはカインとミシェールどっちがいいの?」


ぐいっと迫るリサに、ラフトアが驚いたのか私の影に隠れようとするが、勿論ムリだ。

私は恋話には興味はないけど、リサに引っ張られ、ヒナミに押され、こうしてガールズトークに加わっているのだった。

ラフトアは私が同類だと気付いたようで、質問に困るとこっちに目線が来る。

いや、私もわかんないよ.......。


「〔竜牙〕はさ、カッコいい系とかわいい系どっちもじゃない、ね、付き合うならどっち?」


「え、えと.......」


「私ならカッコいい系。やはり第一印象は顔よ」


「わかるわ!」


ツカサは見た目が良いのか、リサも賛成らしい。シュピッ! と漫画なら付きそうな擬音語が敬礼ポーズに似合いそう。


「え? 中身が1番でしょう?」


反対派は〔三の太刀〕のスズノ。さらに鼠人族(ラット)のチコ

だ。


「性格は顔に現れやすいから、私はどちらかと言われるとかわいい系ね」


「私もそうかな」


二人はミシェール系が良いらしい。

選んでいない残りは私とヒナミとラフトアの3人となった。

私は別になんとも思ってないから、答えようがないんだけど.......。


「ね、どっち?」


「ヒナミとか明るいし、親しみやすい感じだから、もう誰かいたりして.......?」


しかしそれは無かったらしい、全力で首を振るヒナミ。


「でも、気が合う人がいいかな。私、運動好きだから付き合ってくれると嬉しい!」


「そうね。ヒナミらしいよ」


「あはは.......」


「で、二人は?」


リサから再び。ラフトアはなにか言いかけているのか、口を金魚みたいにパクパクしている。


「私は考えたことなかったから分からない」


全くありません。


「え? そうなの?」


「ユイナなら結構コクられてそうなのに.......」


以外だ。とヒナミとリサ。

それ以上口を閉めた私から、ラフトアに注目が集まる。

パクパクしながらも、細い声で.......


「あ、あの、私っ...は....」


「「「私は.......?」」」


「つっ.......付き合ってる人がいるので.......!」


ピシリ


まさかの告白に、女子部屋から絶叫が響いた。

勿論、怒られた。










読んでくれてありがとうございました!

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