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29. 野外試験5

感想、評価よろしくです!(^-^)/

ふぅ、ちょっと危うかったけど倒せた。まさか幽霊(ゴースト)なんて魔物がいるとは.......ちょっと勉強不足だったかな。

まぁ、今回、聖碑と聖域結界を学べたし、今度また遭遇しても大丈夫かな。


「リサ、2人もありがとね」


「「いやいや、知っててもユイナがいなかったら俺たち死んでたし」」


「そうよ! やっぱりユイナちゃんがいると助かるわぁ」


この場にいるのも気が引けるからと、元来た道を戻る。

ん?


「どうしたの?」


岩場の隅になにか.......。

近寄ってみると、黒猫?

周りに転がっている岩をみれば、これらに当たって怪我を負ったみたいだ。

横たわる黒猫の口元に手を翳してみると微かに空気が動いている。


「まだ生きてる.......!」


「「ユイナ? どうしたんだ?」」


駆け寄ってきた3人に、黒猫を見せると、3人は痛々しげなその姿に顔を歪ませる。


「酷いな.......」「やべぇ」


「ねぇ! さっきの出来ない?! あの傷を治してくれたやつ!」


治癒空間(ヒーリングエリア)のことか、そっかそれなら!


治癒(ヒール)っ!」


さっきの治癒空間(ヒーリングエリア)ほど、広範囲にしなくていい。目の前の黒猫に対象を絞り、イメージする。


「.......!」


全員が緊張して、ヒュッと息を飲む。

黒猫が緑色の優しい光に包まれ、傷が癒えていく。


「んにゃぁ.......」


黒猫のか細い鳴き声と共に、ぼんやりと開かれていただけの瞳に光が戻った。


「頑張ったね」


リサが、艶やかさの戻った毛並みを撫でる。温かいよ とほっとした様子で座り込んだ。

双子も はぁ~ と止めていた息を吐き出した。

黒猫はゆっくりと立ち上がると、怪我のあった脇腹を見る。流れた血と砂ぼこりの混じった血糊を嗅ぎ、驚いたように「にゃう!?」と眼を丸くする。


「治したよ」


「んにゃあっ!?」

辺りをぐるぐると忙しなく見ている黒猫に声を掛けると、何故か驚いたのか飛び上がった。

そのまま硬直している。


あれ? この猫何処かで見たことがあるような?

何処だっけ?

ジンに抱かれて硬直が解けた黒猫がジタバタするのを抑える。


「とにかく、まだ完全には治ってないから暴れないで」


人間のゾンビはいても猫のゾンビのCGは流石に知らないから、完全には治せてない。猫のからだのつくりなんて、知ってたら逆に怖いし。

細かいところは黒猫の自己治癒力に頼るしかない。


とりあえず、黒猫は全員で面倒を見ることにした。仮の名前は黒猫らしく クロ に決定。丸みを帯びた体躯と、さらさらとした毛並みが抱き枕を思い起こさせるのか、リサがずっと抱いて放さない。

私のしっぽみたいにならないといいけど.......。

時折、リサの腕の中から聞こえる潰れたような鳴き声に、心配になる。


日はすっかり横から射して、徐々に赤くなっていく。暗くなって足元が見えなくなる前に岩山から下山した。

岩山の下に簡易キャンプをつくり、いつもどうり私が夕食を作る。

今日は、肉団子入りスープと定番の肉串だ。あとは、クロ用に薄切りした肉のしゃぶしゃぶ。

食べてくれるかと心配だったけど、かなりの量をおかわりしてくれた。具合は大丈夫そうだった。

寝るときにはリサの抱き枕にされて、半ば気絶したようだったけど、ちゃんと回復してる。良かった。









その日の夜。

いつものように襲ってきた黒大蝙蝠(ダークメガバット)の群れを叩き落としてストレージに収納。それなりに大きいから、帰ったらシーアに捌いてもらって巨大唐揚げでも作ろうかな?

考えていたらお腹が空いてきたから、ストレージから買い溜めしておいた噴水広場の白パンをかじる。

やっぱり、柔らかもちもちしてて美味しい。

ついでに果実水も出して喉を潤す。


「んにゃ」


カサカサとリサの毛布を掻き分けて現れたクロ。フルフルッと体を振るわせる。毛布で毛が絡まっちゃったのか。

ゆっくり抱き、軽く鋤いてやると、ゴロゴロと気持ち良さそうだ。


「クロはオリジナにいた猫だよね? どうしてこんなところにいるの?」


思い出したのはついさっきだ。

この黒猫は、オリジナのシーアの家の外でみた猫だった。確か餌をあげたこともあったかな?

でも、いくらなつかれたからって、此処まで付いてきているのはおかしい。


「不思議な猫だよね、クロは。魔力を持ってるのに魔物じゃない」


クロの耳がピクッと反応する。

クロから感じる魔力や脳波、感情の波はまるでムーンやルーンみたいなかんじ。

そんな普通じゃない動物が、此処まで付いてきた理由。


「私をつけてきたってことだよね?」


そこまで言ってやっと黒猫は動いた。

スルッと私の膝の上から飛び降り、目の前で平伏する。


「そうですにゃ。にゃーはユイにゃを観察するためにずっと付いてきたのにゃ」


そう顔を下げたまま黒猫は告白した。

やっぱり。


「で、何で私を観察してたの?」


「それは、ユイにゃがにゃーたちの希望だからにゃ。にゃーはユイにゃが敵にならないか確かめるためにずっと観ていたのにゃ」


「希望ってどういうこと? あまりはぐらかされるの嫌なんだけど?」


不安そうにいちいちおずおずと口を開く黒猫の頬っぺたをつつくと、観念したのかちゃんと前を向いて座り直す。


「にゃーは、マルピチャと言うにゃ。にゃーは〈境界〉の四守護獣の命を承けて、次期〈境界〉の魔王になる素質があるユイにゃを観察し、諜報する観察猫にゃ」


そう黒猫マルピチャは、覚悟を決めたかのように一気に言葉を紡いだ。


「へぇ」


が、予想外に軽い私のリアクションに「にゃ!?」とマルピチャの方が面白いリアクションをする。


「にゃんでにゃ!? もっと普通驚くとこにゃよ!?」


「だって、信じられないでしょ。猫に魔王になる素質? があるとか言われても」


「猫じゃにゃいにゃ! これでも命をうけた「だからそれがまず信じられないの」.......にゃぁ」


もしゃもしゃ ごっくん。


白パンの最後の一口を咀嚼し終わり、木のコップに果実水をストレージから直接出して注ぐ。


「にゃ.......、じゃあどうしたら信じるのにゃ」


困ったように んー! と唸るマルピチャ。


「1番手っ取り早くさ、マルピチャに命を下したっていう四守護? と話をさせてくれない?」


「にゃにゃ!? 」


「いきなり魔王にされても困るし。〈魔界〉なんて行くのやだよ?」


「魔王じゃにゃいにゃ!〈境界〉の魔王 にゃ!」


「細かいなぁ.......」


「ただの魔王と〈境界〉の魔王は全然違うのにゃ! 細かくにゃい!」


「そうなんだ、へー」


「だから反応薄すぎるにゃー!」


プンプンと地団駄をふむマルピチャ。しっぽが激しく振られてる。


「にゃらもう教えてやるにゃ! 空間接続魔法!」


吹っ切れたのか勢いよく立ち上がったマルピチャの目の前の空間が歪んだ。渦を巻くように景色が歪み、円の中心からなにかが見えて.......


「んにゃぁっ?!」


マルピチャがひっくり返った。


「ま、魔力が回復してにゃかったにゃ.......」


魔力切れか。

しょうがないなぁ.......


「ん」


マルピチャの肩に手を置いて、私の魔力をマルピチャに流れる魔力の流れ合わせてに送る。


「ユイにゃ!?」


「続けなよ」


驚きながらもマルピチャは空間接続を続行する。空間が大きく歪んで中心から別の景色が見えてきた。

リサたちがもし起きたら面倒くさそうだから、3人にラノベ風イメージ睡眠魔法をかける。これで大丈夫でしょ。今夜、何かありそうだと思って結界も防音&ダミー音声&ダミー映像を流しておいたし。

歪みが更に大きくなり、丸い姿見みたいになる。

もちろん見えているのは自分ではなく別の景色。なんか白いな。


「白虎様! にゃーにゃ!」


「マルピチャ!? どうして生きて.......!?」


向こうから現れたのは白い虎。


「隣のは.......」


「どうも、〈境界〉の魔王候補? のユイナです」


白虎とマルピチャに呼ばれていた白い虎は、なにか察したのか、


「マルピチャを救ってくれたようだな、感謝する.......」


と頭を下げた。そんな白虎に、マルピチャが慌てたように「顔をあげてにゃ!」とにゃんにゃん鳴く。

顔をあげた白虎はしっぽを回して区切りをつけるように雰囲気をかえた。


「ユイナ。マルピチャに聞いたかも知れないが〈境界〉の魔王になって欲しい」


「頼むにゃあ」


「強制はしないし、急に言ってすまないと思ってる。だが、此方としては早く〈境界〉の魔王にいて欲しいんだ」


白虎が必死そうに、少し早口で言う。


「気持ちはわかったよ。なら、一から説明してもらえるよね、君たちのこと」


白虎とマルピチャは、頷いた。














ついに〈境界〉の魔王への目処がたってきました!


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