25. 野外試験
試験の話なのですが、今一進んでませんm(__)m
ユイナの魔法に制限が出ました
シンたちに持ってきて貰った毛布にくるまって、交代で眠りについた一日目。
最初に見張りを引き受けた私は、焚き火に枝を加えつつ、時折襲ってくる黒大蝙蝠を長剣の面で叩き落としていく。
数が複数な以外強くないし、大きいから黒い蔦鶏でも狩っているように見えてきた。
肉質も良さそうだし、後でジンたちに解体してもらおうかな?
見た感じ、筋肉の付き方は鶏肉みたいだし、食べられないこともないんじゃないかな?
そんな事を考えていたせいか、ぱったりと 黒大蝙蝠は現れなくなってしまった。ちょっと残念だけど、これなら次の見張り番のリサでも安全かな?
一応、焚き火を中心として私たちをすっぽり覆う防御結界を張っておく。
この半年、ラノベやゲームの主人公及び登場人物たちが各種魔法を創ってきてくれたお陰で、引用&追加イメージで簡単に魔法を使えることがわかった。もちろん、言うほど簡単ではないし、猫感覚もフル活用している。
私をここに連れてきた猫神様には感謝だ。こんなに楽しいんだから。
防御結界に均等に魔力が行き渡っているのを確認して、リサを起こす。
リサは寝ぼけながらも交代に応じてくれた。
なんだか緊張した1日目、毛布にくるまったらあっという間に意識が落ちた。
◆
朝、〔花ノ木〕の3人に起こされる。私みたいなだらだら人間と違って、本物の冒険者は朝から元気みたい。
双子は少し離れたところで枝で素振りをしていた。毎日の日課らしい。
その間、リサが黒大蝙蝠を解体して串焼きと、昨日の残りのスープを温め直している。
地面で丸まって寝ていたからか、固まった身体を伸びをしてほぐしていると、しっぽを掴まれる。
「しっぽふわふわだ!」
リサだった。
スープをよそい終わったようで、顔を上げたらあったから掴んだというところかな?
撫でられるのが擽ったくて身をよじって逃れると、面白かったのか狙ってくる。んもうっ。
双子が素振りを終えて、4人で焚き火を囲って食べ終えた。
この試験では、始めに、任務をこなすと次の任務が現れるという魔道具 魔法石板が一人ずつに配られている。普通に1週間を生き残るもいいし、そこで任務をこなして点を稼ぐことも出来る。
という事で、これから任務に行こうということになった。
任務は個人でも共闘でもいい。でも、せっかくなのでパーティーで行動しようとのこと。
それぞれの任務は異なっているため、それぞれの任務を見せる。
「えーっと、スライム2体と、木葉鳥5羽、斑山羊1体、それと岩蜥蜴3体ね。この4種を主に倒していきましょ」
スライムと木葉鳥がDランク、斑山羊がC-、岩蜥蜴がC+だったかな?
このパーティーならどれも倒せる相手だ。スライムが少し心配だけど。
草原を歩き進むうちに、木葉鳥2羽とスライム1体を倒した。
どちらも〔花ノ木〕の3人の共闘で行われた。
せっかくパーティーに入ったのに、私が参加していないわけ。その理由は3つ。
1つ、3人の力量が見たかったから。
2つ、チームプレーが苦手だから
そして3つ、私の魔法だと味方ごと消し飛ばす危険が発覚したからだ。
どうしてわかったのかというと、ついさっき、久しぶりに視界の隅に メッセージアイコン が出現し、チャットを行ったから。
相手はもちろん システムを介した 猫神様 だ。あの分かりにくい言葉を、システムで補っているそう。
そのメッセージとは、
[言い忘れていたことを謝罪する。貴殿の攻撃魔法は我が趣味により全て高威力の範囲攻撃としてある]
とのこと。
ハァッ!? ふざけんなよーっ!!!
だから魔法が大振りなの!? 神様の趣味で決めてんじゃねーよ!
ということがあったから、魔法で攻撃が出来なくなりました。やろうと思えばどんな魔法でも超常現象でも起こせると思うよ? でも、どれだけ頭で計算してイメージしても、小規模に撃とうとすればするほど、攻撃規模決定の主導権が 猫神様 に移ってしまう。こうなると下手に攻撃魔法が使えない。
ということは、逆に支援魔法とか結界とかなら、私のやりたい放題ということ!
ってことで、これからの私の戦闘スタイルは、攻撃魔法で攻撃される前に敵を潰すゲームスタイルの逆にせざるを得なくなった。
魔法で攻撃出来ないとなると、通常攻撃しかない。まぁ得意だし問題ないかな。
接近する間に魔法を撃たれたら近寄れない。その問題もすぐに解決した。
魔法、使えなくすればいいんじゃないか?
てなわけで、現在、実験中なわけ。
ラノベやらゲームやらの非現実世界で私が学んだチート知識。これらと私の感覚を織り交ぜて.......
「魔法無効空間」
結界を展開し、敵の魔法効果を無効化する空間を創る。
今戦っているのは木葉鳥。鳩くらいの大きさのメジロって感じの魔物だ。翼から鋭い木の葉を突風と共に起こす固有魔法を持っていて、その風の威力と本体のスピードで倒すのに時間のかかるとされる。
が、今は違う。
魔物は動物が魔力を持って強くなったもの。その基礎は、何代目であっても元となった動物の体力や運動能力だ。それらを魔力で強化している場合が多い。
という訳で、魔法無効空間にいることで魔力での身体強化と固有魔法が無効化され、今や木葉鳥は只の鳥だ。
呆気なく、ジンの振るう剣で落ちた。
この戦闘中、支援魔法をメインとするリサの視線が痛かった。
その後、説明を求められたけど、イメージしただけとは言いにくく曖昧な答えしか出来なかったのは仕方ない。
そんな戦闘を繰り返すうち、スライム2体と木葉鳥5羽の依頼をクリア。新たに跳栗鼠3匹と白薔薇蝶を1匹捕獲するクエストが魔法石板に出現した。
白薔薇蝶はとても珍しい蝶で、リサ曰く高位魔法薬の素材らしい。白薔薇の翅を持つ希少種だからとても高価で、どのランクの冒険者でも一般市民でも捕まえられることから 安全な大金稼ぎ と密かに人気らしい。と、リサが教えてくれた。
蝶1匹で一攫千金ってことか。そりゃあみんな捕まえたいわけだ。
しかし、近年、姿を見ることも稀だそう。
この依頼は保留かな。
簡易キャンプ跡からだいぶ離れたのが、草原の丘から望める。
「あっ、あれ〔三の太刀〕じゃないかな?」
リサの指すほうには、確かに3人の和服冒険者たち。連携して闘っているのは両尾狼3体か。
交互に立ち位置を替わって機会を狙ってる感じ。
みんな鋭い攻撃で、両尾狼を追い込み、脚の健をチクチクと絶っていく。
そして、前にいた二人がクロスで斜めに太刀を振って、3体が避けてもつれたところに後ろの1人が、
「「動いた!」」
和服冒険者の1人、たしかスズノだったはず。が、後ろにひらりと回り、2体同時に倒す。パニックに陥ったもう1体はあっさりとヒナミに倒された。
手数が多くて、技術面が高いパーティーだ。
うちの〔花ノ木〕はちょっと時間が掛かるから、経験に差があるのかな。〔花ノ木〕は双子のコンビネーションとリサの支援で成り立ってる生粋のパーティーだけど、〔三の太刀〕は一人一人の技量が高い。ただ、魔法は使わないのかな?
「凄かったわね!」
「「俺らもあんな風にカッコよく倒してぇ!」」
目をキラキラさせながら振り返って私をガン見。えっ、なに?
「「なぁなぁ、ユイナも剣だよな!?」」
「まぁ、使うけど.......」
この流れって.......
リサもわかったのか、頭を抱える。
「「俺らもあれ、やらないか?!」」
やっぱりか!
ピッと同時に双子が指したのは納刀している〔三の太刀〕の面々。
この双子は突拍子も無いことを言うね.......。
読んでくれてありがとうございますっ!
何でも無限に出来ちゃうチート主人公だと、話がつまらないのでユイナには、攻撃魔法の制限と、体力があんまりないようにさせてもらいます!
こうすると私が 猫神様 みたいですね。




