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24. 最初からハード

あけおめです!

魔物との対戦シーンがあるんですけど、伝わりにくかったり誤字があったら教えてください!

試験初日、到着が夕暮れだったことから、最初っからピンチです。


転移された所は大きな岩と木々が疎らにある岩山地帯。

足場が岩だらけの非常に歩きにくいフィールドな上に、夕暮れ過ぎてどこに足を置いていいのかも曖昧。さらに悪いことに、早速、魔物のおでましです。


「グルオァァァ!!」


「「「うわぁぁぁぁっ!!!」」」


おでましというか、暗くて分かりにくい岩山を歩いていたら、たまたまジンが岩の隙で寝ていたベアー、正式名称苔岩熊(モスロックベアー)を踏んじゃったというハプニング。

現在、逃走中なわけ。


「ジン! 何とかしなさいよーっ!」


「無理だっての!」


「このバカァァァッ!」


「死んだらどうやって責任とるのよっ! 祟ってやるんだから!!」


「それは多分ムリだぜリーダー。な・ぜ・な・ら!俺らも一緒に死ぬからだっ!」


「ふざけんなジンっ!」


「もうイヤーッ!」


そこに御代わりの苔岩熊(モスロックベアー)


「「「「グルオァァァッ!!!」」」」


「「「ギャーッ!!!」」」


いきなり増えたし、何体いるの!?

岩山を駆け降りてきた私たちの背後、岩山からうじゃうじゃと苔岩熊(モスロックベアー)が現れ、襲いに来る!

恐怖で足が縺れたか、リサが転んだ拍子に双子も巻き添えを食らって地面に団子状態で倒れる。

地面に倒れ伏した3人は恐る恐る振り返って見ると、何十頭という数の苔岩熊(モスロックベアー)が、一斉に飛びかかってきた!


「「「ギャーッ!!!」」」


その時、3人の頭を過ったのは走馬灯。ではなく、ありとあらゆる思い残しだ。

その内容は人それぞれ様々な欲望。 屋台のおばちゃんが考案した新作の料理をまだ食べてないとか、やっと口説けた女の子とデートしたかったとか、一昨日買った服のトータルコーディネートを考えて、試験が終わったら着てみようと楽しみにしていたのに、とか、その他諸々、健全でないものもあったが一瞬で過った。

が、走馬灯(?)の後に見えたのは.......


バアンッ!


「「「へ?」」」


何かしらの魔法発動の発動エフェクトだった。

水色の魔法の光が消えると、目前まで迫っていた苔岩熊(モスロックベアー)たちが、一瞬で消えた。

いや、吹き飛ばされた。

その勢いはかなりあったのか、苔岩熊(モスロックベアー)たちは岩肌に叩きつけられて起き上がらない。


なにが起きたのか、パニックしながらも3人が周囲を見ると、突き出していた片手を下げたユイナがいた。

つまり、ユイナが苔岩熊(モスロックベアー)の集団をやったということだ。

ほっとして起き上がる3人、リサが安堵の息を吐く。


「.......助かったぁ」


「いや、まだだよ」


ユイナは即答で否定すると、再び片手を翳す。

苔岩熊(モスロックベアー)の姿はないけど、なんでまだなんだろう? リサ&双子の疑問。

もう倒したんじゃないの?


チッ! とユイナから舌打ちがして、魔法が再度展開された。


「防御結界っ」


再び水色の光が発せられ、続いて ダンッ! ドンッ! と鈍い音が一斉に響く。


「なっ、なに?!」


反射で屈んでいた頭を恐る恐る上げて辺りを見ると、全員が1つの半透明な水色の半球に包まれていた。ユイナが作った防御結界だ。

ビビって縮こまる3人の横には、感情のいまいち読めない表情のユイナちゃん。結界の維持をしているにも関わらず、しゃがんでどうしたのかと思えば私にキズ薬を差し出した。

いつの間に?! どこから出したの?!


「リサ、肘血が出てる、ジンたちも結構擦れてるから付けときなよ」


「?!」 「「あ、ホントだ!」」

私たち自信も気付いていなかったことをさらっと伝えて、再び立ち上がるユイナちゃん。

音は暫く止まず、砂埃で結界の外は見えない。

結界はびくともしていないから、このまま凌げそうだと思うのに、なんだかイライラしているユイナちゃん。どうしたの!?


「めんどくさい.......」


ボソッと呟かれた言葉、その瞬間結界の外側に爆風が起こった!


「「今度はなんなんだーっ!」」


ギャーギャーと騒ぐ双子。

とっさにそれぞれの武器を握りしめる。私も、無意識に短杖を両手で握る。

けど、そんな恐怖や不安は杞憂でしかなかったらしい。ユイナちゃんは不思議そうな顔を向けながら結界を解除した。


「熊っ! 熊がっ!」 「なんかさっき.......!」


頼もしい防御結界が消えて怖じ気づく私たちに、もう大丈夫だと告げるユイナちゃん。

さっきの貴族たちの言葉を真に受けるわけじゃないけど、見た目も加えて、ユイナちゃんは本当に人間なのかと思ってしまうほどの魔力量に、魔法式構築の速さ、というか詠唱していなかったから無詠唱できること、そしてあんな高度な結界を維持するのに要した集中力、攻撃の威力、どれも1人の人間がこなせることとは思えない。

実際、知識しかないけど、青色系の魔力の光は 聖 の力の色。物語に出てくる勇者が神から与えられるという物語中の魔法属性だ。

屋敷の書庫にあった本に、大昔の戦記があったのを記憶している。あの古書の表紙には勇者とその従者たちがユイナちゃんの魔力のような青系色の魔法で魔物を迎え撃つようすが描かれていたはず。

私の知らない言語だったし、何より古くて読みにくかったけど、今度読んでみようかな。

魔物に、そして宿敵とされる伝説の存在 魔王 に有効で唯一ダメージを与えられる 聖属性魔法。

それを使えるユイナちゃんが、どうして魔人の姿に類似しているのか、あの場所に行けばわかるだろうか。




岩山から降りて、移動を始めた一行。

今度は魔法で足元を照らしながら草原を進む。

今度はちゃんと周囲を警戒しながら、固まって歩く。


「「だいぶ離れたんじゃねーの?」」


息ピッタリに振り替えってリサに聞く双子。わざと会わせたわけではないから、同じ時に言い出したことに不満を言い合い始めた。

確かに、もう30分くらい歩いたかな? ちょっと疲れてきたかも。


「そうね、そろそろ拠点を造りましょ」


リサもわかっているのか、ここに拠点を築くことにした。

だだっ広い草原に、テントも無く一晩過ごすのだから、焚き火が1つあるだけで少し安心できる。

早速、周囲の枝や枯れ草を拾って1つに纏めると、リサが詠唱を始めた。


「〈赤き火よ、我が魔力を糧に現れよ〉火よ熾れ(ファイヤ)!」


ボッ! と音がして枝に火が付いた。

あれ? マナリアは詠唱しないで魔法を使ってたよね?

不思議に思って聞いてみたら、


「無詠唱出来るって凄いことなのよ!? 普通は詠唱して魔法陣を展開してから魔法を出せるんだから! 無詠唱ってことは、その魔法の魔法陣を一語一句間違えずに頭のなかで組み立てているってことなの! だからその友達が自慢げなのは当たり前なのよ!」


「へぇ」


「「それを無意識にしてるユイナもヤバいからな!」」


私は魔法陣なんて知らないから魔法のイメージしかしてないんだけど、これも無詠唱魔法なのかな?


まぁ、今はわからないし。

ストレージに入れておいた、さっきの大気圧縮イメージ魔法の余波で死んでいた角兎(ホーンラビット)を取り出して、よく分からない討論中のシンに差し出す。


「「「いつの間に!?」」」


「さっき」


詳細説明は面倒だからパスして、早速解体してもらう。


「ユイナって自分で解体しないのか?」


怪訝そうな顔のシン、まぁ冒険者なら自分たちでするのが普通だからね。


「血を見るのが嫌いだから」


「あぁ、そっか」


納得したらしい。

解体し終わったのを確認して、ジンの荷物の中から鍋を引っ張り出す。

昨日の顔合わせの後のミーティングで、荷物は男子勢に分担して持ってきてもらった。

食材は持ち込み禁止だか、調味料はOKとのことで、植塩水を持ってきてと頼んであった。

植塩水とは、内陸部の街で流通している塩の代用品だ。漢字の通り、 植 とあるだけに植物からとられた塩水で、若干緑色をした液体だ。

この植物は 塩豆 という豆化の植物で、前にシーアの家でそぼろを作ったときに、この豆から作った醤油を使ったりした。

今回はこの植塩水を使ってスープだ。兎肉入りの塩スープになるから、不味くはならないだろう。

ちゃちゃっとまず肉を炒めて、一回外す。出汁をとったほうが美味しい。

とするとあとは水か。

リサ曰く、魔法で作った水や、水に限らず物質は、魔物質と呼ばれるそうで、短時間で消滅してしまうという。

それって、水ってものしか考えてないからじゃないかな?

多分、元素から既存の物体をいじるようにイメージして、水素と酸素を会わせれば.......!


.......出来た!


魔法で見た目と質感のみを作った水と違い、本物の水を生成したから消えない。

あとは、鍋に入れて骨やらアラを煮て出汁をとる。

アラを外して肉を入れて、植塩水で味付けをすれば.......!


「.......出来た!」


「「「おおーっ!」」」


出来上がったスープを片手に焚き火を囲んでいれば、夜は段々と更けていった。
















読んできるてありがとうごさいます!

感想、指摘、などなど在りましたら、ください!

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