表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/82

18. 家庭の一片

お久しぶりです。

投稿がだいぶ遅れてすいませんm(__)m


前回の後書きで、なんだか言っていましたが、やはり文才が無いですね.......。

料理を綺麗にイメージさせてる作家さん方、尊敬します......。


追記、シーアの母親のリアーナの名前がリーアになっていたので、変更しました。m(__)m

トントントン.......

軽快なリズムで刻まれていくタマネギ、ニンニク。

そのそばで、魔力コンロにかけられたフライパンでは、挽き肉が軽くパラパラに炒められている。

そこに投入される野菜たち。

炒めていけば、タマネギはほんのりとあめ色に色付いていく。

フライパンからふわりと宙を舞った具は、再びフライパンに着地し、また宙に浮かぶ。


じゅるり.......


ユイナの手にいつの間にか握られているのは、黒い液体の入った瓶。


初めて見る.......なんだろう?


菜箸を止めずに、もう片方の手に握られた瓶のコルク栓を、一瞬延びた爪が弾き、封を開ける。

そのままぐるりと黒い液体が一回し注がれ、お腹がすく匂いが立ち込めた。

そして再び、炒められていく。

フライパンを眺めているうちに、黒い液体の入った瓶はいつの間にか消えていて、私の方へと伸ばされていた。


「シーア、深めのお皿くれる?」


食欲の注ぐ匂いの元凶を夢中になって見ていたら、ユイナさんの呆れたような、期待の篭ったような複雑な眼が合った。


「ふぁっ! は、はいっ!お、お皿ですね!?」


慌てて棚からお皿を取ろうと台に乗って背伸びをしたら、バランスを崩してお皿も手を離してしまった。


わわわっ!!


スローモーションみたいに、ゆっくりと落ちていくお皿と私。

ぶつかるっ!


「.......っと」


あれ? 痛くない.......?

がしゃーん って聞こえてこない? お皿は?


感じるのは、仄かに伝わってくる温かさ。


「危ないから、慌てなくていいよ」


「ユイナさん.......、私」


1メートルくらいの間だったとはいえ、ユイナさんはどんな反応速度を持っているのかな。私の足はまだ台の上で、身体もユイナさんに寄りかかっている程度。

私と20センチくらいしか違わない身長で、私を支えている上にお皿までキャッチしていた。

慎重なのか、単に凄いのか、魔力コンロの火も消されている。


「ケガない?」


「大丈夫です、すみません」


ならよかった と、ユイナさんは再びフライパンを握った。そして、お皿を側に置いて盛付け始める。

ふわっと、いい匂いが漂った。


お皿に盛られたポロポロしたあめ色のお肉と野菜たち。これは何の料理なんだろう?


ユイナさんは、奥で料理していたもう一方の鍋の火を止めて、そちらもお皿に盛り始めた。あっちもポロポロだけど、白くてくっついて纏まってる?


「うん、出来たよ」


それぞれ、小さなお皿に半分ずつくらい取り分けたところで、お昼になった。





「「「頂きます」」」


小さなテーブルに、ところ狭しと並べられた料理たち。3人分はギリギリ。

賄いや貰い物で済ませてきた今までのご飯に比べ、今日のご飯はとっても豪勢だ。

シーアにはわからない名前の美味しそうなお肉の料理と、白くて粒々したもの、そして沢山野菜が使われているスープ。

シーアの母のリアーナも、物珍しいようだ。


白い粒々をスプーンで掬ってみる。

あれ、くっついちゃってとりにくい.......?


「シーア、とりにくかったらお皿に押し当てて掬ってみて」


言われた通りに掬ってみると、少しとりやすい。

スプーンにペタペタくっついた白い粒々。 これはどんな味なんだろ?


はむっ


もちもち.......。

味はあんまりしないけど、もちもちしてて意外と美味しいかも。


「それはそぼろご飯にして食べるんだよ。ご飯にそぼろを掛けて食べてみて」


ソボロってお肉料理のことかな? これを白いやつにのせるの?

ユイナさんを見ると、もう掛けて食べてる。


「やっぱり砂糖がほしいかな.......、甘しょっぱくしたい」


なにか呟いてるけど、食べてるから多分美味しいんだよね。

ソボロが落ちないようにそーっとご飯にのせて、頂きますっ!


「.......!!」


これ、白もちもちに合う!

味のあんまりしない白もちもちに、塩気の在るソボロの食感がいい!


パクパクっ!


夢中になっていたみたいで、いつの間にかソボロゴハンは無くなっていた。


「おかわりする? まだあるから出来るよ?」


こくり


口一杯で返事が出来なかった。

2杯目も、あっと言う間に食べ終わると、お母さんとユイナさんが笑っている。

かあっ.......、顔が火照る。

思わず大食いしちゃった。ちょっと自分が恥ずかしい.......。


「気に入ってくれたならよかったよ。 リアーナさんも、どうだった?」


「あっさりしてて美味しかったわ。スープってちょっと雑味が在るけど、これは無いわ? いったいどんなレシピなの?」


いつになく顔が良いリアーナは、ここぞとばかりに食い付いていく。ユイナも、リアーナにこちらの世界のスープの作り方を聞き返したりと、愉しげだ。

ユイナさんと出逢ってから、家が明るくなった気がする。

話し合いで楽しそうにする二人を、片づけをしながら眺めるシーアだった。


皿洗いのために、井戸から水を汲みにバケツを抱えて歩くシーアのすぐ横の低木の下に、青みがかったやけに丸い黒色の猫が座っていた。

その毛の色が、猫耳を生やしたユイナと重なる。


「ユイナさんはお姉ちゃんみたいな色.......」


無意識にこぼれた心の声。

バケツを抱え直して井戸に向かおうと踏み出す。振り返ると、そこにはもう猫はいなかった。











それからの1週間、1日の殆んどをシーアたちと過ごしたユイナ。

料理から掃除、遊びをあまり知らなかったシーアと、追いかけっこやかくれんぼ、花で冠を作ったりと、シーアの年相応の遊びをした。

そんな日々を過ごすうちに、シーアはユイナに敬語をやめていて、リアーナもユイナのことを家族のように思い始めた。

自分の娘のように自分に接してくれるリアーナ、慕ってくれるシーア。

厳しくて、嫌いなリアルの親とは違う。温かい家族に、心の重りが少し、外れた気がした。






ちょっと進行が遅いかなっと思ったので、これから色々イベント書きます!

読んでくれてありがとうです!次もヨロシクオネガイシマス!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ