18. 家庭の一片
お久しぶりです。
投稿がだいぶ遅れてすいませんm(__)m
前回の後書きで、なんだか言っていましたが、やはり文才が無いですね.......。
料理を綺麗にイメージさせてる作家さん方、尊敬します......。
追記、シーアの母親のリアーナの名前がリーアになっていたので、変更しました。m(__)m
トントントン.......
軽快なリズムで刻まれていくタマネギ、ニンニク。
そのそばで、魔力コンロにかけられたフライパンでは、挽き肉が軽くパラパラに炒められている。
そこに投入される野菜たち。
炒めていけば、タマネギはほんのりとあめ色に色付いていく。
フライパンからふわりと宙を舞った具は、再びフライパンに着地し、また宙に浮かぶ。
じゅるり.......
ユイナの手にいつの間にか握られているのは、黒い液体の入った瓶。
初めて見る.......なんだろう?
菜箸を止めずに、もう片方の手に握られた瓶のコルク栓を、一瞬延びた爪が弾き、封を開ける。
そのままぐるりと黒い液体が一回し注がれ、お腹がすく匂いが立ち込めた。
そして再び、炒められていく。
フライパンを眺めているうちに、黒い液体の入った瓶はいつの間にか消えていて、私の方へと伸ばされていた。
「シーア、深めのお皿くれる?」
食欲の注ぐ匂いの元凶を夢中になって見ていたら、ユイナさんの呆れたような、期待の篭ったような複雑な眼が合った。
「ふぁっ! は、はいっ!お、お皿ですね!?」
慌てて棚からお皿を取ろうと台に乗って背伸びをしたら、バランスを崩してお皿も手を離してしまった。
わわわっ!!
スローモーションみたいに、ゆっくりと落ちていくお皿と私。
ぶつかるっ!
「.......っと」
あれ? 痛くない.......?
がしゃーん って聞こえてこない? お皿は?
感じるのは、仄かに伝わってくる温かさ。
「危ないから、慌てなくていいよ」
「ユイナさん.......、私」
1メートルくらいの間だったとはいえ、ユイナさんはどんな反応速度を持っているのかな。私の足はまだ台の上で、身体もユイナさんに寄りかかっている程度。
私と20センチくらいしか違わない身長で、私を支えている上にお皿までキャッチしていた。
慎重なのか、単に凄いのか、魔力コンロの火も消されている。
「ケガない?」
「大丈夫です、すみません」
ならよかった と、ユイナさんは再びフライパンを握った。そして、お皿を側に置いて盛付け始める。
ふわっと、いい匂いが漂った。
お皿に盛られたポロポロしたあめ色のお肉と野菜たち。これは何の料理なんだろう?
ユイナさんは、奥で料理していたもう一方の鍋の火を止めて、そちらもお皿に盛り始めた。あっちもポロポロだけど、白くてくっついて纏まってる?
「うん、出来たよ」
それぞれ、小さなお皿に半分ずつくらい取り分けたところで、お昼になった。
「「「頂きます」」」
小さなテーブルに、ところ狭しと並べられた料理たち。3人分はギリギリ。
賄いや貰い物で済ませてきた今までのご飯に比べ、今日のご飯はとっても豪勢だ。
シーアにはわからない名前の美味しそうなお肉の料理と、白くて粒々したもの、そして沢山野菜が使われているスープ。
シーアの母のリアーナも、物珍しいようだ。
白い粒々をスプーンで掬ってみる。
あれ、くっついちゃってとりにくい.......?
「シーア、とりにくかったらお皿に押し当てて掬ってみて」
言われた通りに掬ってみると、少しとりやすい。
スプーンにペタペタくっついた白い粒々。 これはどんな味なんだろ?
はむっ
もちもち.......。
味はあんまりしないけど、もちもちしてて意外と美味しいかも。
「それはそぼろご飯にして食べるんだよ。ご飯にそぼろを掛けて食べてみて」
ソボロってお肉料理のことかな? これを白いやつにのせるの?
ユイナさんを見ると、もう掛けて食べてる。
「やっぱり砂糖がほしいかな.......、甘しょっぱくしたい」
なにか呟いてるけど、食べてるから多分美味しいんだよね。
ソボロが落ちないようにそーっとご飯にのせて、頂きますっ!
「.......!!」
これ、白もちもちに合う!
味のあんまりしない白もちもちに、塩気の在るソボロの食感がいい!
パクパクっ!
夢中になっていたみたいで、いつの間にかソボロゴハンは無くなっていた。
「おかわりする? まだあるから出来るよ?」
こくり
口一杯で返事が出来なかった。
2杯目も、あっと言う間に食べ終わると、お母さんとユイナさんが笑っている。
かあっ.......、顔が火照る。
思わず大食いしちゃった。ちょっと自分が恥ずかしい.......。
「気に入ってくれたならよかったよ。 リアーナさんも、どうだった?」
「あっさりしてて美味しかったわ。スープってちょっと雑味が在るけど、これは無いわ? いったいどんなレシピなの?」
いつになく顔が良いリアーナは、ここぞとばかりに食い付いていく。ユイナも、リアーナにこちらの世界のスープの作り方を聞き返したりと、愉しげだ。
ユイナさんと出逢ってから、家が明るくなった気がする。
話し合いで楽しそうにする二人を、片づけをしながら眺めるシーアだった。
皿洗いのために、井戸から水を汲みにバケツを抱えて歩くシーアのすぐ横の低木の下に、青みがかったやけに丸い黒色の猫が座っていた。
その毛の色が、猫耳を生やしたユイナと重なる。
「ユイナさんはお姉ちゃんみたいな色.......」
無意識にこぼれた心の声。
バケツを抱え直して井戸に向かおうと踏み出す。振り返ると、そこにはもう猫はいなかった。
◆
それからの1週間、1日の殆んどをシーアたちと過ごしたユイナ。
料理から掃除、遊びをあまり知らなかったシーアと、追いかけっこやかくれんぼ、花で冠を作ったりと、シーアの年相応の遊びをした。
そんな日々を過ごすうちに、シーアはユイナに敬語をやめていて、リアーナもユイナのことを家族のように思い始めた。
自分の娘のように自分に接してくれるリアーナ、慕ってくれるシーア。
厳しくて、嫌いなリアルの親とは違う。温かい家族に、心の重りが少し、外れた気がした。
ちょっと進行が遅いかなっと思ったので、これから色々イベント書きます!
読んでくれてありがとうです!次もヨロシクオネガイシマス!




