三十六話 レギオン 黒鉄の女豹
俺はあの爺さんと戦ったあと、その主人の貴族と会い、一応の協力関係を結ぶことにした。
「いや〜、君みたいな優秀な冒険者が味方をしてくれると嬉しいよ。」
このゆるい感じを醸し出している男はレイヴン・ステイメン。
爺さんの主人だ。
「味方などしない。ただの協力関係だ。」
「それでもいいんだよ。僕の敵にならないということは味方に近いということなんだから。」
ゆるい雰囲気を醸し出しては居るがこの男はなかなか侮れない。
常に腹の奥底の方で考えているタイプだ。
「それでね、早速ソラに頼みたいことがあるんだ。」
「何だ?」
「ちょっと調査に行ってもらいたいんだよ。」
「調査?」
「ああ、僕の所有する土地に迷宮が現れてね。それがどうやら難易度の高い迷宮らしくて、おそらくなんだけどBランクくらいなんだ。」
迷宮が突如現れるというのは珍しい話ではないらしい。
基本的にいつのまにかというのがセオリーで、迷宮が出来たところを見たものは何故かいないらしい。
一説では光が満ちてとか、神の恩恵とか言われているがどれもパッとしない。
「行ってもいいが、まだマリー達にはBランクの迷宮は早いから。行くなら夜になる。」
「いや、昼に行ってくれないか?」
「何故だ?」
「それはーー」
そうして、レイヴンから説明を受け、初回ということで特別に了承した。
俺はその足でギルドに向かった。
そこにマリー達を待たしているのだ。
「ソラ、どうだった?」
「まぁ、明らかに悪いやつではなかった。だが、まだ警戒はしておくべきだよ。」
「ソラが大丈夫って言うなら大丈夫。」
リアが自信を持ってそう言ってくる。
俺を信用しすぎではないだろうか?
まぁ、どうでもいいことなので敢えて注意はしない。
それよりもマリー達に今回受けた依頼を説明しなければならない。
「えっ!私達もBランクの迷宮に行くの?」
「ああ、仕方なくだ。俺はお前達には早いと思っている。だから、辞退したいならした方がいい。」
「私は行く。私は強くなってソラを越してみせる。これはまたとないチャンス。」
リアが真剣に言う。
「私も行くわ。手っ取り早くレベルを上げるチャンスだものね。それに、危ない時はソラが助けてくれるのよね?」
「勿論だ。マリーの命だけは何があっても守る。」
「うん。でも、無理はしないでね。」
「それともう一つーー」
俺は今回の依頼に俺たちが選ばれたもう一つの理由を説明した。
それから3日後。
俺達はギルドの端の席で約束の時間を待った。
そうしてしばらく待っていると
「あんたたちが探索について来るメンバーかい?」
という少し低い声が後ろから、聞こえてきた
ふりかえるとそこには4人組の女性がいた。
一人は気の強そうな雰囲気を醸し出し、4人の中で一番筋肉質の女性。
おそらくこいつが話しかけてきたのだろう。
そしてその後ろにいるのが優しそうな雰囲気、お姉さん感といった感じだろうか?そんな雰囲気を纏った女性が一人。
さらにその女性の後ろでこちらをにらんでいる少し小さめの女性が一人。
そしてその隣にこちらを見てはいるが興味を示していない女性が一人いる。
「はい、そうです。それを聞いてくるということはあなたたちが?」
マリーが礼儀正しく対応する。
「ああ、私たちがレギオン 黒鉄の女豹だ。レイヴン候に頼まれてきた。」
「リンさん俺はやっぱり反対だよ!男なんかと探索に行くのはさ!」
俺をにらみつけていた女が口を開き、俺たちに話しかけてきた女に抗議する。
「そんなこと言っても女だけのチームなんてこの街にはないんだからしょうがないだろう?」
「でも」
「でもじゃない。それにレイヴン候に頼まれてるんだから言っても仕方ないだろ?ほらさっさと挨拶するよ。」
そしてこちらに向かって一列に並ぶ。
「まず私がこのレギオンのリーダーをやってるリン・カーディナルだ。ランクはB。主に盾役兼、アタッカーをしている。短い間だがよろしく頼むよ。」
続いて、お姉さん感を醸し出している女性が話し出す。
「私はレシル・バーナードです。ランクはBです。役割は回復役です。子供は大好きだから、普通にお姉さんかお母さんみたいに接してね。」
とニコニコしながら、自己紹介をしていた。
そして、その次はこちらに興味を示していなかった女性だ。
「私は、アリン。アリン・ワイズマン。主に索敵や罠の警戒をしている。ランクはC。」
必要最低限の情報しかしゃべらずにアリンは次に順番を譲った。
次は問題の俺をにらみつけていた女だ。
「オレはリーリスだ。ランクはC。アタッカーをやってる。オレはお前が探索について来るなんて認めないからな。」
俺を指さしながらそう言ってくる。
「こらこら、すまないね。私たちは見ての通り、女だけのパーティだからね。男が苦手というか言い寄ってくるのが多いからあまりいいイメージがないのさ。」
そう。
これが俺たちが呼ばれたもう一つの理由だ。
この街には女のみのパーティは存在しない。
だから、男は俺のみである俺たちのパーティが選ばれたというわけだ。
「では今度はこちらの紹介ですね。私はマリー・ラネイアです。私たちのパーティでは主にシーフをやってます。これからしばらくの間よろしくお願いしますね。」
マリーがにっこりとしながら簡単な自己紹介をする。
「私はリア・マーレイ。後方から魔法を打っている。一応回復魔法も使える。よろしく。」
リアがマリーとは対照的に不愛想な挨拶をする。
「私はエルミア・カレンです。遠距離射撃をやってます。至らないところもありますが、よろしくお願いします。」
エルミアは丁寧な自己紹介をしたようだ。
最後は俺の番のようだ。
「俺はソラだ。役割は特にない。」
「ああ?それだけかよ。」
リーリスとかいう奴が、突っかかてくる。
「まあまあ。すまないね。こいつがうるさくて。でも私たちももう少し情報がもらえるほうが信用できるから教えてもらえんかね?」
「回復魔法も攻撃魔法も使える。主な武器はナイフだ。このくらいでいいか?」
「ああ、十分だよ。それにしても、一人でいろいろできいるんだね。」
「ああ、そうでなければおれにいみなんかないからな。」
「どういう意味だい?」
「そのままの意味だ。」
「……。」
言った言葉が伝わらなかったのか、それとも理解して何か考えているのか黙ってしまったが、少し経つと、
「よし!自己紹介も済んだことだし、さっそく出発しますか!」
「そうですね。そろそろ行きましょう。」
マリーが賛同する。
そうして俺たちは新迷宮に向かって出発した。
新迷宮の場所は遠く、片道3日かかるため、俺たちは食料を備蓄と現地調達で得なければならなかった。
「私たちは飯を持ってきてるけど、あんたらはどうするんだい?」
リンが聞いてくる。
「マリー。」
「何?ソラ。」
「今から取ってくる。」
「うん。分かった。いってらっしゃい。」
「ご主人様、私も。」
「わかった。ついてこい。」
そうして俺は、道を外れ、森の中に入っていった。
「マリーっていったかい?ソラ達はどこへ行ったんだい?」
「ご飯を取りに行ったんですよ。」
「なに?あんたたち現地調達してるのかい?」
「はい。そのほうが健康にもいいですし、何よりソラがそうしたいらしいんです。」
「ほう。それで進めるのかい?私たちは移動してるんだよ?」
「ええ、ソラなら大丈夫ですよ。空は亥年ながら狩りをしてるので。」
「……どういうことだい?」
そうリンが聞くと、隣の茂みからガサガサという音が聞こえた。
「魔物か!」
リーリスが叫ぶ。
「いや、違う。」
しかし、アリンが即座に否定する。
その茂みから現れたのはソラとエルミアだった。
「取ってきたぞ。」
俺はアイテムポーチを前に出してマリーに言う。
「この短時間に取ってきたのかい?」
「当たり前だ。でなければ移動に支障をきたすだろう?」
「それはそうだけどねえ、一体どうやってーー」
「それをお前が知る必要はない。」
「お前!」
リーリスが吠える。
「まあ、確かにに知る必要はないかもしれないけどね、少しは情報共有する必要がーー」
「それよりもこちらの手の内を明かす危険のほうが高い。」
「まあまあ、ソラもそんなムキにならないで。」
マリーが止めに入る。
「ああ。すまなかった。」
「私からも謝るよ。確かに冒険者間での能力の詮索はタブーだったね。」
こうして俺たちの旅路は少し険悪な雰囲気で始まった。
ペースが速くなるとか言っておいて遅くなってしまいすみません。
パソコン変えたりいろいろあったのです。
言い訳です、はい。
内容はと言いますと、今回から新章に入ります。(章の区切りとかつけてませんが)
これからはしばらく女豹の方々と旅をすることになります。
意外と女豹の人たちの名前を考えるのは簡単でした。
次はもう少し早く投稿できるよう頑張ります。




