二十八話 新居
オーク戦が終わってから数日が経った。
オーク達の死体は非戦闘員により数日にわたって片付けられた。
俺がギルド長に相談した内容通り報酬は冒険者達で山分けとなった。
今回稼いだ額は白金貨50枚分。
大体1人金貨30枚ほどの計算で分けられる。
「うお!こんなに貰えんのか⁉︎」
報酬を受け取った冒険者達が驚いたようだ。
「お、ソラじゃねえか。お前さんのおかげでオークどもも倒せたし、こんなに報酬も貰えたし、本当ありがとうな。」
「……。」
「なんだ無視かよ。」
「すみません。ソラはあんまり人と話したがらないんです。」
マリーが俺と男の間に入る。
「そうか。ま、この歳で冒険者やったんだもんな。色々あるか。」
そう言って男は去っていった。
最近、俺はおっさん達にモテている。
よく話しかけられるのだ。
面倒なので基本は無視している。
こういう風にマリーが仲裁に入ってくれることも最近は多い。
そんなマリーだが、こちらは若い冒険者にモテている。
オーク戦で怪我をしたもの達を治療したことから、マリーに人気が出たらしい。
それはリアも同じなのだが、リアの場合は少し特殊で若い男なのだが、なんだか少し変な奴が多い。
「あ、マリーちゃん!今度一緒に食事しようよ!」
「お断りします。」
マリーが通りすがりの男に声をかけられる。
そして、マリーはお辞儀をして断っている。
「リアちゃん!罵って!」
「キモい。」
リアにも男が話しかけていたが、明らかにマリーとは内容が違っていた。
俺はそんな2人をギルドで待たせて俺はいつものようにミーシャさんのところに行く。
「おはようございます。ソラさん。」
「おはようございます。」
「ソラさん、遂に見つかりましたよ!」
「あ、見つかったんですか。」
「はい。ソラさんの希望に合う家って結構少なかったんですけどやっと見つかりました。」
「じゃあ、これから案内して貰えますか?」
「わかりました。少し待ってて貰えますか?準備してきますので。」
「ミーシャさんが案内してくれるんですか?」
「はい。」
「ありがとうございます。」
少し待ってミーシャさんの準備が出来たのでマリー達と合流する。
「あれ?ソラ、なんでミーシャさんがいるの?」
「家が見つかった。」
「家?」
「あれ?リアには言ってなかったけ?」
「言われてない。」
リアが俺をジトーと見てくる。
「リアは住まないだろう?」
「む、私も住む。」
「ソラ、リアにも住んでもらおうよ。その方が楽でしょ?」
俺は少し考えるが、考えてみれば今とそれほど状況は変わらないと気付いた。
「マリーが良いなら俺は良い。」
「ふふ、じゃあ良いわね。」
「ソラは素直じゃない。」
「あのぉ、そろそろ行きませんか?」
会話についていけず、置いてけぼりになっていたミーシャさんが言ってくる。
「そうですね。行きましょう。」
そうして、俺達は家に向かった。
俺が出した家の条件は、貴族の家から遠いこと、貸主が顔を出してこないこと、家の前にウォルを置いても何も言われないことの3つだ。
そして、その条件に見合った場所が、街の外の俺がよくゴブリンを狩っていた森の中の家だった。
「すみません。街の中ではないんですけど、ウォルさんが自由にできるならこの方が良いかと思いまして……。」
ミーシャさんが申し訳なさそうに言う。
ウォルはオーク戦で活躍したとはいえ、銀狼だ。
恐怖の対象であることに変わりはないし、今回のオーク戦でその強さが示されたので余計に怖がる人も出ているのかもしれない。
だから、こう言う場所になってしまっても仕方ないのだった。
「いえ、いいです。ここで。」
「え、いいんですか?」
「はい。」
「皆さんはいいんですか?」
マリーとリアの方を向く。
「ソラが良いって言うなら私に文句はないわ。」
「私も。」
「こう言うことなので手続きをお願いします。」
「わかりました。」
そう言ってミーシャさんとギルドに戻り、手続きを済ますともう昼を過ぎていた。
そして、俺たちは一旦宿に帰り、荷物を持ち出す。
「あんたたち、出て行くのかい?」
「はい。ソラが家を買ってくれたので。」
「そうかい、そうかい。頑張りなよ。」
おばさんがマリーと話している。
そして、マリーと大体話終わったのか俺の方にやってくる。
「あんた、ちゃんとこの子たちを養ってやるんだよ。」
「はい。」
おばさんはその一言で宿番に戻った。
俺たちは宿を出て、自分たちの荷物を持って新たな家に向かう。
マリーとリアの荷物はウォルに括り付けている。
「ソラの荷物少ない。」
リアが話しかけてくる。
「そういえばそうよね。私が初めてあった時も殆ど荷物持ってなかったわ。」
マリーとリアに見つめられる。
「武器と着替えしか入ってない。」
「「……。」」
2人とも黙る。
しばらくしてから、
「よし!今度また買い物に行きましょう!」
マリーが言い出す。
「いや、別に服は足りてーー」
「足りてるって言っても2枚でしょ?普通はもっとあるのよ。私も買いたいものがあるからついてきてね。」
「……わかった。」
マリーが言うので仕方なくついて行くことにした。
「私も行く。」
「わかったわ。今度3人で買い物に行きましょう。この家の家具も必要だしね。」
「ワン!」
「あ、ウォルにも何か買ってあげるからね。」
マリーがウォルの頭を撫でる。
こうして俺は買い物を約束を取り付けられた。
家に着くと、ひとまず荷物を中に置き、各々行動を開始した。
マリーとリアは自分の部屋を作りに行ったようだ。
俺はこの家周辺に罠を仕掛けることにする。
まず、前もってドーリに作ってもらったトラバサミをそこらへんに仕掛ける。
これでもゴブリンくらいなら引っかかるだろう。
次に、木と木の間に細い糸を張っていく。
いわゆるワイヤートラップで知らずに通ればその瞬間に死んでいるだろう。
知能の低いゴブリンにはこれくらいで十分なはずだ。
人間はウォルがいる間は大丈夫だろう。
ウォルがいない間は俺が完全誘導弾をこの周囲に待機させておく。
とりあえず罠はこのくらいで良いだろう。
俺は家の中に入り、部屋の位置を確認し、家の構造を頭に叩き込んでおいた。
暇になったのでマリー達が夕食を作り出すまで外に出てウォルと遊ぶことにした。
俺が外に出るとウォルは寄ってきて尻尾を振っている。
犬との一般的な遊び方など俺は分からないのでとりあえずそこらへんの枝を拾い、思いっきり遠くに投げる。
すると、ウォルはその枝を追っていき、咥えて戻ってくる。
俺はその枝を受け取る。
すると、ウォルは何かを待っているようだった。
再び枝を投げるが枝の前に何かをして欲しいらしく、戸惑い気味に待っている。
とりあえず、俺はウォルの頭を撫でてやる。
すると、ウォルは走って枝を取りに行ってまた待っている。
俺はまた頭を撫でる。
どうやらこれが正解だったようだ。
1時間ほどウォルと遊んでいると中から
「そろそろご飯にするよ。」
とマリーが言ってきたのでウォルとの遊びを切り上げ夕食をとった。
オーク戦が終わったので少しやんわりした話になっています。
更新が遅れてしまって申し訳ありません。
色々と現実の方で用事が重なっているため、次回も遅くなるかもしれません。




