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二十四話 作戦演説

「今から今回の作戦における総指揮官を発表する!」


俺は一応作戦を考え、ギルド長を呼びつけ、冒険者を街の広場に集めた。


「総指揮官はこの子ソラ君だ!」


そう言って俺を指差すギルド長。

俺はギルド長の目を見て頷き、叫ぶ。


「俺が総指揮官のソラ・サトミだ!今から作戦を発表する!」


案の定ざわざわとしている冒険者達。

俺はそんな事御構い無しに作戦を発表する。


「冒険者を7つのグループに分け、そのうち3つのグループにはこの都市の3つの門を守ってもらう!他の4つのグループは休みだ!そして、半日経ったら3つのグループと余りのグループが交代し、それを繰り返して5日耐え切る!」

「残り1つの門はどうするんだよ!」


と冒険者達の中から声が上がる。


「最後の門は俺が1人で守りきる。」

「できるわけねえだろ!」


俺は炎魔法を出す。

皆が驚くような特大なやつだ。

天高く炎魔法を打ち上げ、破裂させる。

できるだけ大きく、目立つように。

そして、ウォルを呼ぶ。


「残りの一門は俺とウォルで守る。異論のある者はさっさとでてこい!俺と戦って死んでもいいという覚悟あるやつだけだがな。」


冒険者達の顔が引きつっているのが見える。

この勢いで一気にいってしまおう。


「もちろん、この作戦は自由参加だ!逃げたい奴は逃げればいい!だが、もし俺たちが生き残って逃げた奴が再び王都にいるのを見かけたら、俺がそいつとそいつの親や子供、妻に至るまで全て根絶やしにしてやる!」

「横暴だ!」


最前列の男が叫ぶ。


「横暴だと?人数が減ればどのみち死ぬ命なんだ。道連れが増えたくらいだろうが。」

「道連れだと?お前、人の命をなんだと思ってるんだ!皆……大切な人を生かそうと必死なんだぞ!」

「人の命なんか軽いさ。死ねば何も変わらない。残るのはただの亡骸だけだ。命なんて物はそこには存在しない。だから、戦え!全てを生かしたければ戦って勝ち取って見せろ!」


とりあえずだいぶ感情論で言ってみた。

あとは冒険者達の出方次第なのだが……


「仕方ねえぜ、皆。ギルド長が決めた代表なんだ。それだけの実力はあるって事なんだよ。だったら戦って、皆生き残ろうじゃねえか!」

「そうだな。つべこべ言っても仕方ない。逃げ切れない人だっているんだ。どのみち守るしかないよな。」

「やるぞ!」

「「「「オー!」」」」


どうやら上手くいったようだ。

しかし、なかなか無茶な作戦だ。

7つのグループが終始交代しながら、5日間戦い続けるのだ。

当然ゆっくりとした休息は取れないだろうし、犠牲者も増え、グループの数も減るだろう。

そうなった時は仕方ないので、この街を諦めることにしよう。


「やあ、見事だったよ。」


俺が冒険者達に詳しく作戦を説明し終えたところでギルド長が話しかけてくる。


「そうですか?すこし派手にやってみただけですけど。」

「いや、良かったよ。でも、君はああいう感じのタイプではないと思ったんだが?」

「あれは、キャラを作ってみたんですよ。リーダーっていうのは少し強引くらいが良いですから。それに、あれなら混乱している頭でも聞きやすいでしょう?」

「確かにそうだな。怒りは意識を向けやすいからな。それじゃ、頑張ってくれ。」


取り敢えず、俺たちは残った1日という時間で準備をすることになった。

もちろん他の冒険者達も準備がいる。

そのために、夜もう一度集まることにし、解散したのだ。

マリーとリアも俺の演説を聞いていたようで、俺が広場からでてくると寄ってくる。


「ソラ!良かったよ!」

「普段とは少し違う。」

「少し変えてみた。それより、今から準備を開始するから、2人とも一緒に来てくれ。」

「うん。」

「わかった。」


そうして、2人を連れて来たのはドーリの店だった。


「ドーリ、あれできてるか?」

「おお、あれか。できとるぞ。」

「「?」」


2人ともわからないようだが、放っておいてドーリに取りに行かせる。

そして、奥から出て来たドーリが持って来たのは白色に輝く短剣と先に水色の宝石のついた杖だった。


「これは?」

「これはソラが迷宮のモンスターの素材から取った銀狼の牙の短剣じゃ。切れ味はお主がいつも使ってる短剣とは比べものにならないほど良いぞ。」


マリーが短剣を受け取る。


「じゃあ、こっちは?」


今度はリアが杖に食いつく。


「そっちもソラが迷宮の宝箱から取ってきた魔玉を先につけた杖じゃな。水魔法がほぼ倍の威力で打てるはずじゃ。」

「なぜ水魔法?」

「辺りに一番被害がないからだそうじゃ。」


リアが杖を受け取る。

そして最後にドーリが懐から赤いナイフを出す。


「これがお主に頼まれておったナイフじゃ。」

「それは?」


リアが興味深そうに尋ねてくる。


「サラマンダーの鱗から作ったナイフだ。」

「そう、これはサラマンダーのナイフじゃ。サラマンダーは鱗にも熱を持っているため切りつけた相手に炎のダメージも負わせることができるのじゃ。正直、サラマンダーのナイフなど打ったこともなかったなのじゃが、出来はどうかの?」


俺はナイフを左手に持って振り回す。

ヒュッという風切り音と共に赤い軌跡がナイフから出る。

かなりの高温のようだ。

重さは問題ない。

試しに道端の石を蹴り上げ、ナイフで思いっきり切り裂く。

石は真っ二つになり、断面からはほのかに赤くなった表面が見える。


「良い出来だ。」

「そうか、そうか。ほら、お嬢ちゃん達も使っておくれ。直すところがあったら遠慮なく言って欲しい。それのせいでお嬢ちゃん達が死んでしまったら意味が無いのじゃからな。」


マリーとリアも新しい武器を試しだす。


「安心しろ、マリーとリアは戦線に出ない。」

「「え?」」


新しい武器を試していた2人が、手を止めてこっちを見る。


「どういうことソラ?」

「言葉通りだ。お前達は戦わない。」

「私の魔法ならオークぐらい倒せる。」

「お前達には別の仕事をやってもらう。」

「別の仕事?」

「2人とも白魔法を覚えているから怪我人の治療をしてもらいたい。」

「……わかったわ。私はソラに従うって言ったものね。」

「……納得できないけどわかった。」


取り敢えずこれで、マリーを危険から離せた。

今、俺が守るべき命はマリーだけなので、これが最善だと思う。

その後は街で色々と買い物をしたり、マリー達が冒険者達との交流をしたりした。

そして、俺たちは宿に戻る。

夜になるまではお互いに休むことにしたのだ。

俺は1人になった部屋でひたすら目を閉じて集中力を高めていく。

今から確実にARIAを長時間起動しなければならないので、脳を少しずつ負荷に慣らしていく。

これでも焼け石に水のようなものなのだが。

そうして、俺は夜を迎えた。

今回は短めになっております。

次回かその次の回が長くなる予定ですのでご了承ください。

今回は準備回です。

次回は土日の予定です。

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