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二十二話 いつもの日常と予感

今日もいつもの様に迷宮に入る前にギルドにやってきている。

もうそろそろFランクを制覇できるところまで2人は来ていた。

詳しく言うなら18階層といったところだ。

そうして今日も迷宮に入るのだが、何故だか今日は割と騒がしいのだ。


「おはようございます。ソラさん。」

「おはようございます。ミーシャさん。何故今日はこんなに騒がしいんですか?」

「これはですね、王様が他国に向かうらしいんですよ。それで、Cランク以上の冒険者達に護衛の任務が出されたらしいんですよ。だから、今から任務に行く人達に他国のお土産とかをねだっているらしいんです。」

「なるほど、王様が他国へですか。ジョナサンも行くんですか?」


こう言う行事には不干渉っぽいジョナサンの名前を出してみる。


「当たり前ですよ。ジョナサンさんは王都騎士団の人間ですからね。」

「そうなんですか?」

「え?知らないんですか?」

「はい、興味が無かったもので。」

「何気に酷いですね。ジョナサンさんは王都騎士団というところに所属しています。王都騎士団とは文字通り王都の騎士団であり、基本は自由です。ただし今日みたいに重要な出来事があると、一番に呼び出さます。ジョナサンさんはその中で2番手の副団長というのをやってますね。」

「ジョナサンがそんなすごい職を持ってるなんて思ってませんでした。」

「普段はあんなですけど、いざという時は頼りになる人ですよ。」


ジョナサンが意外な事をしているのには驚いたが、俺達とは直接関係なさそうなので置いておく事にした。

そして、俺とミーシャさんの話が終わるのをギルドの椅子で座って待っているマリーとリアの2人のもとに帰る。


「待たせたな。」

「今日は結構長かったけど、何話してたの?」

「王様が他国へ行くらしい。それでこんなに騒がしいそうだ。」

「確かに、今日は騒がしいね。」

「うん。うるさい。」


リアは少しこの空気が苦手そうだった。

ギルドの外に出ると外で待機していたウォルが俺の足に頬を擦り付けてくる。

そうしていつも通り、俺たちは今日も迷宮に入る。

マリーは最初こそゴブリン相手にも手こずっていたが、飲み込みが早いので今ではかなり早めに倒せている。

リアはもともと俺たちがあった時からゴブリンは相手になっていなかったので簡単に倒して行く。

2人とも倒す速度が上がったので着々と階層を降りていける。

今では10階のボスでさえ、5分もかからない。

そうやって順調に進みものの1時間ほどで15階層にやって来た。

ここからはモンスターの種類が大きく変わる。

10階層まではゴブリンやダークウルフなどの敵だったが、15階層まで来ると、ボーンナイトやゴーストなど死霊系の敵になる。

この辺りで死んだ冒険者の肉体や魂がそのままモンスター化しているらしい。

普通のモンスターは自然発生か繁殖だが、死霊系のモンスターは例外で現実にあるものや人の怨念などがモンスター化する事で実体を得たりするらしい。

つまりもともとは実態のなかった物なので、ゴースト相手には物理攻撃は効きにくい。

だが、全く効かないというわけではない。

ゴーストを物理で倒す方法は相手が存在している事実が無いくらいに細切れにしたり、完全に消し飛ばしたりするとゴーストは死ぬ。

魔法による攻撃はほぼなんでも効くので、魔法で倒すと効率的だ。

そして、ボーンナイトは真逆だ。

ボーンナイトは魔法耐性が高く、ほとんど魔法の威力を減衰させる。

逆に、物理攻撃には弱く、物理攻撃で骨が砕けてしまえば再生することができず、そのまま崩れ去る。

これらが連携を取らない16階層まではとても楽な道のりなのだが、17階層からはこいつらが連携を取り、魔法をボーンナイトが、物理をゴーストが庇い合い中々良い連携を取って来るので一気に倒しにくくなる。

俺は銃魔法という物理と魔法を組み合わせた魔法を持っていたのでなんら問題はなかったのだが、2人はもちろんこんな魔法を持っていないのでとても良い訓練になるだろう。


「むっ。あのボーンナイト邪魔。」

「ゴースト、邪魔だなあ。」


こんな感じで少しずつ進むのでまだ18階層までしか達していない。

俺はというと2人が危なくなった時用に完全誘導弾(フルガイドミサイル)を空中に待機させつつ、魔法の練習をする。

現在ではMPが3000近くまで来たので、魔法の練習にもだいぶ長い間出来るようになった。

MPを使い切ろうと思えば、時空魔法を使えば良いので効率よくMP上げが出来ている。

現在は雷魔法を練習中だ。

雷魔法は色々と工夫ができそうだ。

例えば、掴まれた時に自分の体に電流を流すことで相手にダメージを与えたり、水魔法と組み合わせて使って威力を増したりと、割と範囲攻撃に使える魔法のようだ。

ただし、炎魔法ほどの威力は無いので、使いどころを考える必要のある魔法であると思う。

そうこうしていると、18階層に着く。

ここからはマリー達は油断できない戦いになる。

単純に数が増えるだけと言っても2人で相手するには限度があるのだ。

一斉にかかってこられたらさすがに持たないだろう。

その時はなんとかするが、極力は2人にやらせて俺は魔法の練習をすることにする。


「リア!魔法お願い!」

「わかった。」


リアが無詠唱で氷の弾丸を生成する。

氷の弾丸はかなりの速度でゴーストに迫って行くが、ボーンナイトが盾で防御する。

しかし、リアはニッと笑うと


「マリー、今!」


そう言うとマリーがボーンナイトに突っ込んでいく。

咄嗟に盾を戻そうとしたボーンナイトだが、盾から出た氷によって左腕全般が動かないようだ。

リアの作戦だろう。

マリーは思いっきりボーンナイトに剣を振り下ろす。

まだまだ大降りだが、その剣はボーンナイトの骨を打ち砕き、ボーンナイトはパラパラと崩れ落ちた。

ゴーストは相棒を失ったせいか少しずつ後ろにフワフワと浮いて後退していく。


「逃さない。」


リアはそう言うと、雷の槍を空中に一本生成し、ゴーストに向かって発射する。

雷の槍は高速でゴーストに向かっていき、突き刺さると同時に雷を放出して、ゴーストを消滅させた。


「出来た。出来た!」


どうやらリアは新魔法を試していたようだ。


「やったね!リア!」


マリーも喜んでリアに抱きつく。

いつの間にか2人はかなり仲良くなっていたようだ。

リアは俺の方に


「すごいでしょ。」


とピースサインをしながらやってきた。


「……いいんじゃないか?」

「……褒められた?初めてソラに褒められた!」


珍しくテンション上がり気味のリアだった。

そうして俺たちは今日もいつも通りの日常を過ごしていた。




ーーーーー???ーーーーー


ここはDランクの迷宮。

そこでオークに囲まれながら、


「フフフ、ハハハ!やっとだ!やっと準備が出来た!これであのお方のために動くことができる!待っていてください!全てはあのお方のものとなるのだ!」


そう叫ぶものがいた。

今回は少し短めになっております。

一応ここから新しいお話となっております。

この話はウォルと会ってから3ヶ月ほど時間が経ったお話となっております。

次回は土日になると思います。

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