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二十話 使い魔の実力

使い魔登録を終えた俺はマリー達のいる宿に戻る。

戻るまでにも結構街中では騒がれて居たが、ウォルは気にして居ないようで俺の足元をくるくると回りながら歩いている。

時々、物珍しそうに子供が寄ってくる。


「ねえ、お兄ちゃん。この子、触っても良い?」

「構わない。」


わぁ!と目を輝かせた子供はウォルの頭を撫でる。

後ろで止めようとしている親が見えたが、この子は聞く気はないようだ。

さしものウォルも子供相手に警戒はしないようで、大人しく頭を撫でられている。

ウォルは頭がえらいので、もしかしたら善人と悪人を見分けているのかもしれない。

もしそうだとするならば、リアは悪人という事になるが、リアの場合はなめられたのだろう。

狼にも狼のプライドがあるんだろう。


「ウォル、そろそろ行くぞ。」

「ワン!」

「じゃあね、狼さん。」


そう言って、子供は親の元に帰っていく。

そんな光景を見て、俺は親の元に帰るなんて、した事がなかったのを思い出した。

少し微妙な心持ちになるが、今日はやる事があるので、先を急ぐ事にする。

目立ちながら宿に着くと、マリーの部屋にいく。

ウォルには取り敢えず玄関で待っていてもらう。

マリーの部屋の前に立ち、コンコンとノックをする。


「はい。」


マリーが返事をして、ドアを開く。


「ソラ。終わったの?」

「ああ、ちょっと驚かれたな。」

「でしょうね。これからどうする?」

「いつも通りだ。迷宮に行く。今日はウォルの実力を見ることも兼ねる。」

「わかったわ。リア!迷宮に行くから準備して!」


マリーが自分の部屋の中に向かって叫ぶ。


「中にリアもいるのか?」

「うん。今、二人で話してたんだ。」

「そうか。」

「今から準備するからちょっと待ってて。」

「わかった。」


俺は宿の外に出る。

女の子の着替えは長いので、俺はしばらくウォルと遊んで待つ事にした。

前世では動物と遊んだ事など無かったので、取り敢えず頭を撫でてみる。

ウォルは気持ちよさそうに唸り、顔を俺の手に擦り合わせてくる。

頭を撫でていると耳がピコピコと動くので面白い。

色々な撫で方を試していると、耳の裏を撫でた時、一際大きく耳が動く。

少し反応が大きかったのでそこを重点的に撫でてみる。

すると、


「クゥーーン」


と鳴くのでどうやらここが気持ち良いようだ。

しばらく撫でているとマリー達が宿から出てくる。


「ソラ、何やってるの?」

「ウォルを撫でてる。」

「私もやって良い?」

「ああ。」


マリーは俺の横に屈み、ウォルの頭を撫でる。

ウォルは気持ちよさそうに目を細める。


「私もやりたい。」


リアがウォルを撫でようとすると、ウォルは急に立ち上がり、ガルルルと唸る。

やはりリアにはまだ心を許していないようだ。


「何で私だけ。」

「まあまあ、ウォルにも何かあるのよ。そんなに気を落とさないで。」


マリーがリアを慰める。

そして、いつも通り迷宮に行く事にした。



俺たちはいつも通り迷宮着いたのだが、誤算だった。

ウォルとモンスターとの実力差があり過ぎたのだ。

俺が普段潜っているCランクの迷宮ですらウォルは群を抜いて強いのだ。

普段みんなと行っているFランクの迷宮など相手にすらならないのだ。

ウォルが一振り腕を振るうだけで、ゴブリン5体ほどが同時に死ぬ。

しかも、その爪の切れ味は鋭く、ゴブリン達は綺麗に三枚おろしになっていた。


「ウォル、止まれ。」

「ワン!」


立ちはだかってくるゴブリン達を切り捨てて、俺の元に走って戻ってくる。

ちなみにゴブリンしか切っていないのは、ダークウルフの方は種の上位互換なので、逆らえないようだ。

そのため、知能の低いゴブリンしか、寄ってこない。


「ウォル、もういい。今からはマリー達のサポートに回れ。」

「ワン!」


やはり俺の言葉を理解しているようだ。

ウォルは俺の後ろの位置を守ったままついてくる。

ウォルが前からいなくなった事で、ダークウルフ達も襲ってくるようになる。

ゴブリンやダークウルフはマリー達でも対処は余裕になってきたので、俺は戦闘をマリー達に任せ、魔法のLV上げに勤しむ。

取り敢えず、光魔法を上に打ち上げる。

光魔法も少しずつ、持続時間や光度が上がってきているのだが、まだフラッシュグレネードのように使うのは難しいようだ。

つぎに、銃魔法の練習を開始する。

銃魔法はMP消費が少ないので使いやすいのだが、最近は威力不足が目立ってきたので、ウォル戦に使った回転のイメージを付与する練習をする。

回転のイメージはMPの消費が少ないので、少ないMPで高威力を期待できるだろう。

取り敢えずは回転のイメージを付与した弾を壁に向かって撃ってみる。

すると、壁に穴が空く。

ここまでは普通の銃魔法でもできていたが、穴をのぞいて見ると、穴の長さが伸びていた。

ただし目視なので正確なものはわからないが、明らかに威力が上がっているようだ。

銃魔法の弾は魔力のため、風の影響は受けないので、回転は必要無いと思っていたが、どうやら威力の面では活躍するようだ。

そこから何発か試して行く。

始めの方はバァン!とか音がしていたが、今は音はなく、ただ穴が空くようになっていた。

回転も安定してきて、最初の頃ほどMPの消費が激しく無い。

これで銃魔法の威力不足も少し解消ができただろう。

俺がそんな実験に耽っていると、俺の後ろにいたウォルが走りだす。

どうやらリアの後ろにゴブリンが潜んでいたようで、襲いかかろうとしていたようだ。

リアはそれに気づいていないようだが、ゴブリンが飛び出した瞬間ウォルがゴブリンを八つ裂きにする。

後ろでしたかなり残酷な音に驚いたリアはゆっくり振り向く。

そして、ウォルを見つける。

状況を理解したリアはウォルにお礼を言う。


「ありがとうウォル。」

「フン。」


リアは何故か鼻で笑われていた。

ウォルからすればリアは足元にも及ばないので、手間かけさせやがって、みたいな心境なのかもしれない。

どうやら、ウォルはリアを完全になめきっているようだ。

別に間違ったことではないので注意はしないでおくことにする。

そんなこんなでとうとう10階層に到着する。

10階層のボスはマリー達も倒しているので今日はウォルにやらせる事にする。

そうはいっても、ウォルにやらせれば一瞬で終わるので、俺は条件をつける事にした。


「いいか、ウォル。ボスを極力傷つけるな。ボスからは色々回収するものがあるからな。だから、八つ裂きも禁止だ。わかったな?」

「ワン!」

「よし、行こう。」


俺達はそうして、10階層に降りる。

すると、今回のボスはダークウルフの親玉だった。

他のダークウルフより一回り大きく、ウォルよりも少し大きいだろうか。

しかし、ウォルはそんな事御構い無しに、ダークウルフに襲いかかる。

ダークウルフは飛び込んでくるウォルに爪を立てようとするが、ウォルはそれを横に飛んで避け、大きく息を吸い込む。

そして、息をゆっくり吐き出してダークウルフの足を凍らせる。

ウォルは咆哮をしなくてもある程度、凍らせることができるようだ。

全ての足を凍らせたウォルはダークウルフの頭を肉球でパンチする。

すると、大きな衝撃にダークウルフはそのままその場に倒れた。

完璧な力加減でダークウルフを倒した。

所要時間は30秒。

条件をつけてこれなので本当に余裕なのだろう。

俺はウォルの頭を撫で、ウォルを労ってから、今日はもう帰る事に決めた。


「今日はもう帰るぞ。」

「そうだね。これはもう帰っていいね。」

「うん。帰る。」


取り敢えず、2人であれほど時間のかかった10階層をあっさりとクリアしたウォルに少しショックを受けているマリー達を慰めて帰った。

前回、前々回と結構長めの話でしたので今回は少し短めになっております。

ウォルの反応書くのが楽しくてウォルの反応多めになっております。

次回は土日の予定です。

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