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十六話 お礼参り

「ん、ここは……。」


起きた俺は気づくといつも寝ている宿で寝転がっていた。

体を起こそうとすると、少し違和感を感じ、周りを見て納得する。

俺の腕にマリーが乗っているのだ。

どうやら付きっきりで看病してくれたらしい。

俺がマリーを起こさないように起きようしていると、


「んっ……。あれ?……ソラ?……ソラ!」


マリーが目覚めて、俺に抱きついてくる。


「どうした?マリー?」

「どうした?じゃないよ!ソラ、丸一日起きなかったんだよ!」

「丸一日か。意外と長かったんだな。」


俺があっさりとそう言うとマリーは俺の胸をぽかぽかと殴りながら、


「軽いわよ!私がどれだけ心配したと思っているの!また、大事な人を失くしちゃったかと思って……。」


そう言ってマリーが少し涙目になる。

流石に泣かれては敵わないので、俺はそっとマリーを抱きしめる。

俺はアリアにこうやってもらうと安心したのでマリーにも効くんじゃないかと思ったからだ。


「ソラ?」


キョトンとした顔のマリーを放ったまま、抱きしめたまま頭を撫でる。


「悪かったな。心配かけて。でも、これが最善だったんだ。わかってくれ。」

「そんなことわかってるわよ。私は事実足手纏いだもの。でも、一人で死のうとはしないで?」

「死のうとはしてないさ。俺はこういうやり方しか知らなかっただけだ。」


そう言ったままマリーの頭を撫で続けているとだんだんマリーの顔がトロンと蕩けたようになってきたので切り上げる。

マリーは少し物足りなそうだったが、放っておいて別の話題を振る。


「そう言えば俺はどうやってここまで来たんだ?マリーが運んで来たのか?」

「いいえ、ジョナサンさんが運んで来てくれたのよ。」

「あいつが?」

「ええ、私が助けとして呼んだの。ソラが一人でやっちゃってたみたいだけど。」

「……そうか。襲ってきた奴らの処分は?」

「それは必要ないってジョナサンさんが言ってたわ。あの辺りはモンスターが勝手に死体を処理してくれるんだって。」

「そうか。あいつらの装備はどうした?ちゃんと持って帰ったのか?」

「ええ、使えそうな装備だけ持ち帰ったわ。あんまり死体から装備品剝ぐのって良い気持ちしないんだけどね。」

「でも、必要なことだからな。我慢してくれ。」

「でも、どうするの?サイズ合わないよ?」

「ドーリに再構築させる。基本はマリーの防具とリアの防具だな。」

「ソラのは?」

「いつも通りいらない。……あ、龍槍は残しておいてくれ。あれは使う。」

「わかったわ。」


そして、マリーのアイテムポーチから龍槍だけをだし、俺のアイテムポーチにしまう。

そういった朝を迎えた俺はまずリアに会いに行く。

会いに行くといっても宿は同じだから、食堂に行けば会えるのだが。


「ソラ。元気になったの?」

「ああ。心配かけたな。」

「問題ないならいい。」


俺達三人は朝食を摂り、次にギルドに行く。

取り敢えず、受付に行く。

俺達の番になるとミーシャさんが心配した様子で体をペタペタと触ってきた。

その時、少しマリーとリアが、ムッとした表情をしていたがよくわからないのでスルーした。


「ソラさん。大丈夫ですか?怪我とか隠してないですか?」

「そんなに心配してなくても大丈夫ですよ。怪我も隠してないです。」

「そうですか。良かったです。でも、大変でしたね冒険者狩りなんて。」


心底安心した様子で話しかけてくるミーシャさん。

本当に良い人なんだなと思いながら、


「そうですね。冒険者狩りが弱くて助かりました。」

「弱かったんですか?」

「マリーとリアを逃がせたんで弱かったですね。一人で三人を相手できましたし。」

「……そうですか。今日は何の用事で来たんですか?」

「ジョナサンはいますか?」

「ジョナサンさんですね?」


ミーシャさんが二階に確認しに行ってくれる。

数分後帰ってきて言う。


「いませんね。どうやら鍛冶屋に行ったらしいです。」

「鍛冶屋ですか。ありがとうございました。」

「今日は迷宮に行かれないんですか?」

「夜は行きますよ。」


そう言って俺はギルドを去り、ドーリの鍛冶屋の下に行く。

ジョナサンに会った後に行く予定だったので好都合だった。

商店街のはずれの少し廃れた通りの奥にある鍛冶屋に着く。


「ジョナサンさん、いますか?」


マリーが鍛冶屋で聞く。

すると、奥から酒瓶を片手に持ったジョナサンとドーリが出てきた。


「おう、お前らか。ソラも起きたんじゃの。良かった良かった。」

「昼間から酒とは良い身分。」


リアがツッコむ。

リアはジョナサン相手でも物怖じせずいける性格のようだ。

単なるバカなだけかもしれないが。


「良いんじゃよ。今、ちょうどお主らの話をしていたところだ。少し話していかんか?」


ジョナサンが俺を見て言う。


「好きにしろ。」


俺がそう言うとドーリとジョナサンは俺たちを奥の居間のような部屋に連れて行く。

そして、少し酒に酔った二人の相手をする。(主にマリーが)


「それにしても、ソラはすごいのう。どうやって彼奴らを倒したのじゃ?」

「魔法で。」

「あの魔法か。なんとも不思議なやつじゃ。そう言うやつじゃからこそわしは負けたのかもしれんがな。」

「「「えっ?」」」


マリーとリアとドーリの声が重なる。


「ジョナサンさん、ソラに負けたんですか?」

「ん?おう。ソラが初めてギルドに来た時に勝負をふっかけたんじゃが見事に返り討ちにされてしもうたわ。」

「おいおい、マジかよ。この坊主、お前に勝っちまうほど強いのかよ。そりゃ冒険者狩りなんて相手にならんわな。」

「ソラ、凄い。」

「へ〜、ソラってそんなに強かったんだ。」


ジョナサンの発言にそれぞれが思い思いの発言していく。


「ジョナサンって有名なのか?」

「え?ソラ知らないの?ジョナサンさんって言ったら破壊屋とか喧嘩屋とかなんか危ない通り名で有名よ。一番マシなので銀鎧の騎士かな?」

「そうなのか。」


俺はジト目でジョナサンを見てから、


「ま、破壊屋っぽいな。」

「フハハ、否定はせんぞ!」


そんな他愛もない話をして、本題に入る。


「で?ソラは何しにここに来たんだ?」


ドーリが俺に聞いてくる。


「一つは、ジョナサンに礼を言うためだ。もう一つは、ドーリに新しい防具と武器の新調を頼みたい。」

「武器はこないだ作ったろ?」

「これを見ろ。」


俺は自分のナイフを差し出す。

俺のナイフを受け取ったドーリは驚いた顔をしていた。


「このナイフこないだ作ったばかりだろ?なんでこんな風になるんだよ。」


そう、俺のナイフはもうナイフと言えぬほど刃こぼれしていた。

理由は単純で龍槍と打ち合った時、龍槍を受け止めたりしたので、ボロボロになったのだ。


「素材はこの龍槍からで頼む。」

「は?龍槍⁉︎」


ドーリが驚く。


「防具の素材はミスリルだ。いつも通りこいつら二人に軽装備で頼む。」

「ミスリルなんて素材どこで手に入れたんだ?」

「冒険者狩りを、殺して手に入れた。」

「……そうか。わかった。また一週間後に来てくれ。武器はそれでできてるはずだ。防具はもう少しかかるな。」


なんとか落ち着いたドーリは約束する。


「わかった。それで良い。」


俺は去り際にジョナサンを呼ぶ。


「ジョナサン、いろいろマリーが世話になったな。」

「おう、良いってことよ。」

「マリーが困ったらまた助けてやってくれ。」


俺がそう言うとジョナサンは少し意外そうな顔をしていた。

今回は少々短めになっております。

割と色々なことに挑戦した回でもあります。

少し書き方を変えて見たりしました。

次回は木曜から日曜です。

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