十五話 救援
ーーーーー マリー ーーーーー
私は今迷宮の中を全速力で走っている。
「ま、待って。マリー。」
体力の切れかけているリアが話しかけてくる。
「何言ってるの!ソラが今私達のために戦ってくれいるのよ!早く助けを呼びに行かないと!」
「それはわかってるけどもう体力の限界。」
振り返って見てみると今にもへばりそうなリアがフラフラしながら追いかけてきていた。
「早くして、リア!じゃないと、ソラが、ソラが!」
「落ち着いてマリー。ソラの実力ならそう簡単にやられたりしない。」
「なんで言い切れるの?」
「ソラは多分私達が知っている以上の実力を隠している。理由はわからないけど……。だから、ソラは大丈夫、少なくともすぐにやられる事はない。」
「……。でも、急ぐことに変わりわないでしょ?」
「そう、だから貴方は私を置いていくべき。」
「え?」
「私では貴方の体力についていけない。それに、ソラが抜かれて追っ手が来た時足止めする役が居なければ2人ともやられる。だから、ここで別れた方がいい。」
「そんな!私はもう置いていきたくないの!」
「大丈夫。ソラが簡単に抜かれるわけない。それに、回復したら私も向かう。」
「…………わかったわ。無茶しないでね。」
「うん。」
私はリアを置いて走る。
私は流石のソラでも3人を相手に立ち向かうのは無謀だと思うし、リアではあの人たちに敵わないと思っているので急いで迷宮をかけていた。
途中で出てきたモンスター達は走る勢いで切っていく。
それでも死なないモンスターは全て無視して最短ルートを走っていく。
3階層、2階層、1階層と進んでいって遂に迷宮から出られた。
私はそのまま街へと向かって走る。
途中で出てくるゴブリン達は無視して全力で走っていく。
そして、遂にギルドにつく。
私はギルドの扉をバンッ!と開けると、受付に並んでいる人をどかして、ミーシャさんの方に向かっていく。
普段なら順番の割り込みなど許さない冒険者達なのだが、私の剣幕からか皆素直に退いてくれる。
「ハァ、ハァ、ミーシャさん!」
「は、はい!何でしょうかマリーさん。」
少し緊張した様子でミーシャさんが言う。
「ジョナサンさんは何処ですか!」
「ジョナサンさんですか?二階にいらっしゃらなければわかりませんね。」
「二階ですね。」
「あ、ちょっと待ってください!二階はCランク以上でないと……」
私は聞かずに階段を登っていく。
すると、二階には冒険者たちがいた。
入り口近くにいた男が近寄ってくる。
「おいおい、可愛い嬢ちゃん。ここはCランク以上しか上がっちゃいけないんだぜ?そこんとこわかってるのか?」
「失礼は謝ります。ジョナサンさんはいますか?」
「い、いや。ここにはいないぜ。」
私の剣幕に負けて男は素直に言ってくれました。
「ありがとうございます。」
私はそう言って、一階に降り、ギルドを出ていく。
次に、ジョナサンさんが行きそうなところを考えてみるとドーリさんのところが思いついた。
私は急いで商業区域の外れにある鍛冶屋に走る。
「ドーリさん!」
「何だ何だ?って嬢ちゃんか。どうした?」
「ジョナサンさん知りませんか?」
「ジョナサンならさっきまで居たんだがな。丁度すれ違いで、酒場に行ったよ。」
「酒場って何処の酒場ですか?」
「ええっと……。」
私はドーリさんから酒場の場所を聞き出し、酒場に乗り込んだ。
「お?ソラん所の嬢ちゃんじゃねえか。こんな所にどうしたんだ?」
「貴方を探してたんです。」
「お、それは悪かったな。で?何のようなんだ?」
「ソラを助けてください!」
「は?」
「ソラがピンチなんです。お願いします。」
「ちょっと待て、ソラがピンチってどう言うことなんだ?」
「それは……。」
私は今日ボス部屋を攻略したこと、帰り際に冒険者狩りに会ってしまったこと、私が足手まといなのでソラに逃がされたことを説明した。
「そりゃ大変じゃの。おい、お前ら、今日は残念ながらわしは抜ける。ちょっと大事な用事ができたからの。」
ジョナサンさんが一緒に飲んでいた男の人たちに話しかけ、店を出る。
「行くぞ。」
「はい。」
私とジョナサンさんは走り出す。
街中から急いで迷宮を目指す。
私も流石に疲れが出始めていたが、そんな事が気にならないくらい私は焦っていた。
私はゼクス達とソラを重ねていたのだ。
彼らは私のために死んでいった。
今回はソラが犠牲になっていくのではないかと。
そうして私達は迷宮についた。
「何階層じゃ?」
「8階層です。」
「遠いな。急いで行くぞ。」
それからのジョナサンさんは速かった。
何せ走りながら向かってくる全ての敵を真っ二つにしていたからだ。
それも、そのスピードが生半可のスピードではない。
まるで、馬が走るかのようなスピードで走って行くのだ。
そのスピードで走り去って行くジョナサンさんを追って行くのは相当辛い。
リアの気持ちが少し分かった気がした。
4階層まで降りるとリアに会った。
「リア!」
「マリー?もう帰ってきたの?」
「うん、ジョナサンさんを呼んできたんだ。」
「ジョナサンってあのジョナサン?」
「どのジョナサンかはわからんがジョナサンはわしじゃよ。」
「マリー、暴れ屋ジョナサンと知り合いなの?」
「うん。結構良い人だよ?」
「そう、なんだ。」
「そんな事よりソラの方に向かった方が良いのではないか?」
「そうだった!行こう!」
リアと合流した私達は急いでソラのところに向かう。
そして、遂に8階層につく。
「そこをどけ!雑魚が!」
ジョナサンさんがさらに気合を出して、立ちはだかるモンスター達を倒していく。
「ジョナサンさん、ここを曲がれば、見えて来るはずです!」
私がそう言った時、ドォォォーン!と大きな音がなった。
「何⁉︎今の音⁉︎」
「ソラの方から聞こえた。」
「まずいかもしれんのう。」
私達はさらに敵を倒すペースを上げ、ソラの方に向かっていく。
そうしているとドッバーンと大きな音が響き、そして少し経ってから再びドッバーンと大きな音が鳴った。
「急ぐぞ!」
私達は急いでソラの方に駆け寄る。
そして、遂にソラの姿を視界に捉えた時、その惨状に絶句していた。
「何これ?」
「これは、なんという……。」
「……。」
なにせ、3人のうち2人が死んでいたのだ、それに、ソラはほぼ無傷である。
「相変わらず凄いやつじゃ。」
どうやら、ジョナサンさんは何か納得したようだ。
そして、少し見ているとソラが最後の1人に近づいて行く。
「危ない!」
男は魔法を連射していた。
私はソラに向かって駆け出したが、ソラはその魔法を全て避けていた。
そして、男に何かを語りかけ、頭をナイフで刺した。
「ソラ……。」
そんなソラを足を止めて見ていると、急にソラがフラフラしだした。
そして、ソラはそのまま後ろに向かって倒れた。
「ソラ!」
私は今度こそ駆け出してソラの下に行く。
「ソラ!ソラ!」
呼んでも返事がない。
しかし、呼吸はしているのでどうやら生きているようだ。
私は倒れたソラの頭を自分の太ももの上に乗せる。
「ソラ、ありがとう。生きて帰ってきてくれて。」
私はソラに感謝の言葉を伝えた。
今回は前回の時にマリーが何をやっていたかと言う話です。
マリー視点って結構難しいですよね。
次回は月曜から水曜です。




