十四話 VS冒険者狩り
俺はマリー達が逃げた方向に立ち塞がるように位置取りをする。
「おい、ガキンチョ。お前1人でわしら3人と相手しようと言うのか?」
現在前には冒険者狩りの3人がいる。
1人は俺達に話しかけて来た若い男。
おそらく、『シーフ』系のジョブだろう。
もう1人は中年の男。
軽装や杖を持っていることからおそらく『魔法使い』系のジョブだろう。
最後の1人はわからない。
体全部を重装備で埋めている為、判別がつかない。
しかし、声からして一番年寄りかもしれない。
「聞いてるのか?」
俺は無視して指を奴らに向ける。
そして、構わず発砲するが、重装備の男が前に出てガードする。
「硬いな。」
銃魔法が貫かなかったとなると相当硬い防具だろう。
「今攻撃したな?」
「次は俺達の番だぜ。くらえ!フレイムボール!」
魔法使いの男が火炎球を飛ばしてくる。
俺は横跳びでそれを避ける。
「お前達はこいつの相手をしろ。わしは小娘どもを追う。」
「わかった。」
「了解だ。」
そう言って、若い男が俺に向かってくる。
そして、魔法使いの男が後ろで魔法を用意する。
「そう簡単に行けると思うなよ?」
俺は完全誘導弾を5つ同時展開し、3つを重装備の男に誘導モードで飛ばし、2つを空中で待機させる。
「なんじゃ?この玉は?」
重装備の男が言う。
そして、完全誘導弾は重装備の男に向かって真っ直ぐ飛ぶ。
重装備の男は意外にも俊敏な動きを見せ、それを避ける。
しかし、完全誘導弾は男が避ける前の場所で停止し、急速に加速して男に飛んでいく。
「なに⁉︎」
流石に驚いたようだ。
男は咄嗟に盾で防御する。
完全誘導弾はそのまま盾に突っ込んでいき、爆発を起こす。
しかし、盾は熱で変形さえしたものの男は無傷だった。
俺はその様子を見て、完全誘導弾の熱量をあげ、残りの2つを重装備の男に飛ばす。
そして、若い男をさばきながら、魔法使いの魔法を避ける。
だが、2人の連携により若い男に決定打を与えられず、重装備の男は完全誘導弾を避け続けているため、このままではジリ貧だった。
流石に3人相手は厳しいと判断した俺はARIAシステムを起動する事にした。
ARIAシステムを起動するために俺は若い男と距離を取る。
「お、どうした?もう懲りたのか?命乞いでもするか?ま、命乞いしても殺す事に変わりはないがな。」
男がそんなことをほざいている間に明確な敵を認識する。
ARIAシステムは明確な敵を認識しなければ、暴走してしまうかもしれないからだ。
(俺の敵は目の前の3人。)
そして、敵を認識した瞬間ARIAシステムが起動する。
自分の脳が自分から離れ、感覚が鋭敏になっていくような感覚がする。
急に立ち止まった俺を見て、若い男と魔法使いの男は不思議に思いつつも、チャンスと思い、各々攻撃態勢に入っている。
俺はそれを認識した瞬間動き出す。
まず、若い男に向かって走り出す。
若い男は当然迎撃してくる。
「くらえ!」
若い男の剣の軌道を完全に予測しながら剣をかわす。
そして、魔法使いの放ってきた火炎球を着弾する前に銃魔法で撃ち落とす。
「なっ⁉︎」
若い男は驚いているようだった。
その驚きの瞬間を逃さず、若い男の首筋に向けてナイフを投げつける。
しかし、若い男は良い反応を見せ、ナイフを払いおとす。
「戦闘中に自分の唯一の武器を投げるなんてな。愚策だぜ。」
武器を持っていない俺に対して、接近戦なら有利と考えたのか若い男が接近してくる。
俺は重装備の男の方をチラッと見て、完全誘導弾を追加で撃ちながら、若い男の対処を開始する。
若い男が振ってくる剣を避けながら、魔法使いの男の魔法が発動する場所にあらかじめ銃魔法を撃ち、発動を阻害する。
そして、若い男が放った少し大振りな剣を避け、鳩尾に膝蹴りを一発入れる。
「くっ!」
若い男は後ろに向かって飛び、ダメージを軽減したようだ。
「お前……強いな。でも、これならどうだ?」
若い男はそう言うと魔法使いの男の方を見る。
すると、魔法使いの男は魔法を詠唱しているようだった。
俺は詠唱の邪魔をしようと指を魔法使いの男に向けるが射線に若い男が入ってくる。
「これなら、撃ってもこいつに当たらないだろ?」
どうやら、銃魔法を少しは理解したようだった。
銃魔法は基本真っ直ぐにしか飛ばない。
少しくらいは曲げて追尾する事ができるが、人をかわして後ろの人に当たるような芸当はできない。
仕方ないので撃たせることにした。
「くらえ!ヘルファイヤ!」
マグマのような塊が飛んでくる。
相当な熱量だろう。
しかし、ARIAシステムを起動させた俺の敵ではない。
俺はその魔法を即座に読解し、同じ魔法を無詠唱で放つ。
「なんだと⁉︎」
同程度の魔法はぶつかり合い弾け飛んだ。
弾け飛ぶマグマの弾丸を避けながら2人の男達に近づいていく。
「バカな……。俺の最強の魔法が……。」
俺は落ちている自分のナイフを拾い、若い男に向けて再び投げる。
ハッと我に帰った若い男は再び俺のナイフを防ごうとする。
「だから、愚策だって言ってるだろうが!」
俺のナイフを剣で払いおとした若い男の手を銃魔法で貫く。
「ぐぁぁぁぁ!」
痛みで咄嗟に傷口をおさえた反対の手も銃魔法で撃ち抜く。
そして、痛みで悶絶としている男の両足を撃ち抜き、跪かせてから額に指を突きつける。
「うぁぁぁーー」
ビチュンッ!と男の頭を銃魔法の弾丸が貫通する。
そして、俺は魔法使いの男に近づいていく。
「ひっ!やめてくれ!お前に手を出した事は謝るからやめてくれ!」
俺は無表情のまま指を向ける。
そして、魔法使いの男は顔を手で隠す。
しかし、男に銃魔法が撃たれる事はなかった。
重装備の男が来たからだ。
重装備の男はどうやら完全誘導弾を全て斬ってきたらしく、剣が熱で変形している。
「随分とやってくれたようじゃの、小童。」
重装備の男はアイテムポーチから槍を出す。
俺は再び銃魔法で男を撃つがやはり鎧に弾かれてしまう。
「きかぬわ!大人しく絶命の音を聞かせろ!」
重装備の男が槍を突き出してくる。
速い突きだ。
おそらく剣術よりも槍術の方がスキルLVが高いだろう。
ARIAの未来予測が無ければ避けきれず攻撃を受けているだろう。
俺は避けながら腕や足といった、防具が薄そうな部分に銃魔法を撃っていく。
しかし、それでも無傷のようだ。
それならと俺は銃魔法を指先に待機させ、時空魔法をかける。
そして、重装備の男が槍を突き出した瞬間それを避けつつ、肩に時空魔法で強化された銃魔法を放つ。
すると、ドッバーンと大きな音を立て、銃魔法が男の肩に当たる。
その衝撃で男は後ろに大きく吹き飛ばされていた。
肩を見て見ると、貫通はしていないものの肩からは血が出ていた。
「わしの鎧を砕くじゃと?小僧一体どんな魔法を使った?」
俺は無視してもう一発銃魔法を作る。
そして、距離を置いてから撃つが今度は槍に防御されてしまう。
鎧は砕けていたが槍は砕け落ちなかったようだ。
「この槍は龍の牙から作った龍槍よ。そんな魔法では砕けはせんわ。」
そう言って、重装備の男は近づいてくる。
再び俺は槍を避けることに専念する。
時空魔法で強化された銃魔法でさえも致命傷を与える事はできなかったので、俺は回避しながら考える。
そして、俺とARIAで最適解をだす。
俺は再び銃魔法を生成する。
すると、重装備の男は距離を取り、警戒する。
俺は時空魔法を銃魔法にかけつつ、接近を試みる。
しかし、槍でさばかれ微妙に距離を詰められない。
俺は完全誘導弾を出し、更に追い込みをかける。
そして、遂に接近する。
「それを待っていたんじゃ!」
重装備の男がそう言うと槍を持っていない方の手が動き、懐から小刀を出し、俺に向けて突き出してくる。
俺は攻撃に集中しているので絶対に避けられない角度だ。
俺は咄嗟に時空魔法を自分にかける。
そして、人体では出せない速さで小刀を回避し、男の鉄仮面に指を当てる。
ドッバーン!と再び大きな音がして、重装備の男は後ろに倒れた。
男を確認すると鉄仮面が真ん中から大きく凹み、血が流れ出ているので間違いなく死んでいるだろう。
MP切れで大きな疲労感が襲ってくる。
しかし、それをARIAに預け、俺は魔法使いの男に近づく。
俺達の戦闘を呆けて見ていた男は俺が近寄ってくる事に気づき、怯える。
「ひっ!こ、この、化け物がぁぁ!お、俺に近寄るなぁぁ!」
魔法を連打してくる。
俺は無理に動かしすぎた体の痛みに耐えながら、魔法を避け、男に近づく。
「やめてくれ!助けてくれ!命だけは!」
俺はARIAを解除して言う。
「そのセリフは殺したことのない奴だけが言っていいセリフだ。俺やお前達の様な輩が言っていい言葉じゃない。死ね。」
俺はその男の頭に思いっきりナイフを突き立てる。
頭からナイフを刺された男は絶命した。
俺は3人の絶命を確認してからその場に倒れこむ。
流石に体に無理強いをさせ過ぎた様だ。
「ソラ!」
そんな声が聞こえた様な気がした。
今回はタイトル通り冒険者狩り戦となっております。
冒険者狩り一人一人名前を考えても良かったのですが、普通名乗らないだろうと思いやめました。
決して名前が思いつかなかった訳じゃないです。
決して違います。
次週の更新は不定期になります。
来週はちょっと用事が多いので……。
平日は忙しいですが休日は大丈夫だと思いますので、もしかしたら休日の一回だけかもしれません。




