十三話 中ボス戦
俺とマリーとリアの3人は現在迷宮に来ていた。
今の階層は9階。
ボス階層につながる転移結晶の前に立っている。
転移結晶とは触れるとボス階層に転移させられる結晶である。
ボス階層にはこの結晶でしか移動できず、先の階層に進むためにはこの結晶に触れ、ボス部屋を通ることでしか行けない。
ただし、ボスは一度倒されると少しの間湧かなくなるのでその間は直接11階層に飛ばされるようだ。
「手順をもう一度確認するぞ、まず、どんなボスだろうと俺とマリーが前衛、お前が後衛だ。」
「お前じゃない。私はリア。」
「最悪の場合は俺が囮になる。俺を置いて逃げろ。」
「私は反対だけどね。」
「反対だろうとなかろうと逃げてもらう。ついでにお前も逃げるんだ。」
俺はリアの方を見る。
「……わかった。」
「よし。じゃあ行くぞ。」
俺達は転移結晶に触れる。
すると体が光に包まれたかと思った次の瞬間にはボス階層についていた。
ボス階層は一部屋になっていて、柱が数本立っている以外にはボスとの遮蔽物はない。
「行くぞ。マリー。」
俺はここのボスを何度も倒しているので正直余裕だ。
ここのボスはゴブリンジェネラルである。
ゴブリンよりも大きく、力も強く、素早い。
ゴブリンの完全上位互換というところだろう。
俺はマリーに合図を送り、同時にゴブリンジェネラルに向かって行く。
ゴブリンジェネラルは予想通り俺たちの方に注意を向けてくる。
俺とマリーは二手に別れて撹乱する。
俺はゴブリンジェネラルに近づき腕にナイフを刺す。
ゴブリンジェネラルは180センチくらいの大きさなので人とさほど戦い方は変わらないのだ。
ゴブリンジェネラルは自分に傷を与えた俺に注意を向けてくる。
そして、俺に注意が向いた隙にマリーが攻撃をする。
俺はゴブリンジェネラルの攻撃をナイフで捌きながら、リアの方を見る。
リアの周囲にはいくつもの氷の弾丸が浮かんでいた。
俺はタイミングを見計らってゴブリンジェネラルから距離を取る。
それを待っていたリアの弾丸がゴブリンジェネラルに突き刺さる。
しかし、威力が弱かったらしく、血が流れる程度だった。
急に飛んで来た魔法攻撃にゴブリンジェネラルは驚いたが、すぐに撃ったのがリアだということに気づき、リアの方に行こうとする。
こういうところはゴブリンで知能が弱い。
近くにいる俺達を無視して後衛のリアを追いかけようとすれば俺達にやられる。
俺はゴブリンジェネラルのアキレス腱を切る。
すると、ゴブリンジェネラルはバランスを崩し、倒れる。
ここからはマリーに任せることにした。
俺はマリーに目配せをする。
「え?私?」
「ああ。マリーがやれ。」
「わかったわ。」
マリーがゴブリンジェネラルの隣に行く。
そして、ゴブリンジェネラルに向かって思いっきりナイフを振り下ろす。
しかし、そこで予想外の出来事が起きた。
ゴブリンジェネラルがマリーの手を掴み、ナイフを止めていたのだ。
足を切られ態勢を崩してはいたが、マリーのナイフを止めるくらいの力はあったようだ。
「くっ!この!」
マリーが手に力を込める。
しかし、ゴブリンジェネラルの腕はビクともしない。
どうやらマリーよりゴブリンジェネラルの力の方が強いようだ。
その事実にゴブリンジェネラルは笑っていた。
やはりゴブリンなのだろう。
ここには他に2人いることを忘れている。
俺は指を前に出して、銃魔法の態勢に入ったが、その前にリアの魔法がゴブリンジェネラルの腕に着弾していた。
リアの魔法の衝撃でゴブリンジェネラルの腕の力が少し弱まる。
マリーはその瞬間を見逃さず、
「やぁぁぁぁぁ!」
ナイフをゴブリンジェネラルの胸に突き刺していた。
ゴブリンジェネラルはしばらくの間苦しみ悶えていたが、やがて大人しくなる。
「疲れたー。」
マリーがその場で座り込む。
「死ぬかと思った。」
「本当油断大敵。」
リアがマリーの側に近づいて言った。
「相手が寝てたからいけると思ったんだけど力負けしちゃった。」
「私の魔法が無かったらーー」
その瞬間リアは気づく後ろに気配がある事に。
そして後ろの気配が何かを振りかぶったのを感じてとっさにマリーを庇う。
「マリー、危ない!」
しかし、いつまで待っても2人に衝撃が来ることはなかった。
恐る恐る後ろを振り返るとゴブリンジェネラルの上半身がくり抜かれたようになくなっていた。
「これは?」
「ソラ、ありがとう。」
「これはソラがやったの?」
「ええ、ソラの完全誘導弾よ。」
リアが俺の方を向いて来る。
「油断大敵だな。」
「むっ。」
俺の周りには4つの完全誘導弾が浮かんでいた。
現在俺はこれを5つまで同時に出せる。
銃魔法でも良かったのだが、一応リアはちゃんとした働きをしたので見せる事にした。
「それは何?」
「今マリーが言っただろ。敵を完全に追尾する弾だ。」
「そんな事、魔法で出来るわけない。」
「出来ているんだから信じろ。」
「むっ。」
「信じれないのなら信じなくていい。お前が信じようと信じまいとどうでもいい。」
「ソラ、そんな言い方しなくても良いじゃない。初めてボス倒したんだから明るくいこうよ。」
マリーが近づいて言う。
「勝手にやってくれ。」
俺達はボス部屋で少し休み先に進む事にした。
11階層からは敵が変わり、ダークウルフの他にサラマンダーというトカゲが出るようになった。
このトカゲが厄介で火を吐く。
どうやら炎魔法では無いので読解でコピーは出来ないようだ。
俺達は12階層まで進み、帰る事にした。
「今日は疲れたね〜。」
来た道を帰る途中でマリーが言う。
「ボスを倒したからな。」
「次はもっと強い魔法を使う。」
リアが張り切っている。
これからは11階層に行くために倒さねばならないので何度も戦う事になるだろう。
そんな話をしていると俺は気配を感知する。
俺が立ち止まるとマリーとリアは不思議そうに俺の方を向いて来る。
「どうしたの?」
「どうかした?」
「おい。出てこいよ。そこにいるのはわかっているんだ。」
俺は迷宮の壁によって死角になっている場所に声をかける。
「おーおー中々高い索敵スキルだな。よく俺の隠密が見破れたもんだ。」
そう言って影から男が出てくる。
そして、男が出てくると同時に後ろからも2人に人影が出る。
「あっ!あなたは!」
「お、久しぶりだね。可愛い嬢ちゃん。」
影から出て来た男はマリーが迷宮初日で出会った若い男だった。
と言うことは後ろの2人は連れのおっさん達だろう。
「俺たちはね。いわゆる冒険者狩りって奴なんだ。新米の希望に満ち溢れた冒険者を殺すのが楽しかってね。ククク、こないだの奴なんか恋人が居てな、恋人の四肢を切り落とした時の絶叫なんて最高だったぜ。」
「酷い……。なんて事を。」
「だからさ。お前達も良い悲鳴を聞かしてくれよ?」
「マリー、最悪の場合だ。逃げろ。」
「嫌よ!ソラを置いて行くなんて!」
「駄目だ。足手まといだ。リア、マリーを連れて逃げてくれ。」
「…………わかった。マリー、行くよ。」
「ダメよ!私はまた大切な人を……。」
「私達がいてはソラの足手まとい。ソラなら大丈夫。あなたの方がソラの実力を知っているはず。なら、信じる。」
「……わかったわ。ソラ、絶対助けを呼んでくるから、生きててね!」
そう言ってマリー達が走り出す。
「へへへ、そんな簡単に逃すわけーー」
男の顔の横を高速の何かが通り過ぎる。
男は自分の頬を触ってみると血が流れていた。
「何をした?」
「その位置から動くな。動けば殺す。」
そうして、戦闘が開始された。
今回は少し短めです。
ボス攻略はもっとじっくり書いても良かったのですが、一度攻略しているソラがいるので、手こずることは無いと思ったので、簡単に書く事にしました。
次回はVS冒険者狩り戦です。
次回投稿は土曜から日曜です。




