夢じゃねーのか! 2
慎吾は、部屋に入ると、中で、どうするの?、と、待っていた静奈を部屋の隅に待たせ、こたつを準備した。
「いいわね。これこそ、私の理想とするこたつ!」
ー何が理想なのか、わからん。ー
後ろで肩を竦めていると、静奈が振り向いた。
「ねぇ。もぅ入ってもいい?」
相当期待しているのか、目が輝いている。
「いいぞ。と、言うか、お前が、、、。」
「お前じゃなくて、静奈ね。」
「へいへい。じゃあ、静奈が使うために用意したんだから、好きにしろ。」
「わかったわ。私のほうは、慎吾でいいでしょ。」
「あぁ。」
「じゃあ、遠慮なく。」
と、こたつに飛び込み、微妙な表情で、慎吾を見た。
「あったかくないんだけど。」
「電源が入ってないんだろ、スイッチ入れな。」
「ん。と。」
静奈は、こたつ布団をパタパタしながら、スイッチを探す。
「これね。」
カチッと音がして。
「変わらないけど。」
また、慎吾に目を向ける。
「コンセントを入れな。コンセント。」
今度は、静奈は無言で、電源コードを慎吾に突き出した。
「何だよ。」
「コンセント入れて。」
「おい、そのくらい、自分で、、、。」
「出るのやだから、入れて。」
慎吾は、ため息をつくと、電源コードを受け取った。
ーいきなり、こたつにハマってやがる。ー
「あっ。ちょっと、あったかくなった。けど、、、。」
また、微妙な表情になる静奈。
「もう少し、あったかくならないの?」
「すぐにあったかくなるわけじゃない、少し待て。」
「いいけど、多少、不便ね。」
「しょうがないな。それに、いきなり熱くなる熱源なんて使ったら、足が焦げるぞ。」
「ふうん。」
わかっていない返事を返した静奈は、中があったまってきたのか、両手もこたつに押し込む。
「流石はこたつ。これだけで、日本人に化けた価値があるってものよね。」
慎吾は、この時、確信した。
ー間違いない、こいつ、静奈は、夢に出てきた、、、。ー
軽く深呼吸して、覚悟を決める。
「おい、静奈、確認したいんだが、、、。」
くー、これこれ、などと、おっさん臭いことを呟いていた静奈が反応して、顔を上げた。
「なによ?私、こたつをゆっくり堪能したいんだけど。」
「時間はかからない。」
機嫌を損ねた様子だったが、何も言ってこない為、了承ととらえた。
「お前は、その、、、。」
流石に、違っていた時のことを考えると、かなり、言いにくいが、慎吾にしてみれば、違っていた方がよかった。
もう一度、覚悟を確認して。
「夜、俺の夢に出てきた、て、、天使なのか?」
静奈は、少し、目を丸くした。
「えー。もしかして、今頃気が付いたの?とっくに気が付いてると思ってた。案外鈍いのね。」
先日の夢の内容が頭の中で繰り返され、慎吾は、あまりの事実に膝をつきそうになる。
が。
こらえて叫んだ。
「普通、神に推薦されるなんて、信じられるかーーーーーー!」
息が続く限り叫んで、終わったところで、はっ、として後ろの部屋の扉を確認する。
まぁ、古い家の為、扉が閉まっていても、叫べば下の階まで聞こえるのは間違いない。
ーくっそ。めんどくさいことになりそうだぜ。ー
「大丈夫よ。とっくに結界が展開してあるわ。外の音は聞こえても、中の音は、扉を開けていても漏れないわ。」
何を今更、と、静奈が肩を落としている。
「そっ、そうか。てっ言うか。結界?!」
静奈が普通に言ってくるため、聞き流しそうになるも、驚いてしまう。
「そうよ。」
面倒そうに、静奈。
「も、、。もう一度、確認するけど、静奈、お前、本当に、夢に出てきた、てっ、、、天使なのか?」
ため息をついた静奈の体が、薄く輝き、、、、、、。
「これで、信じる気になった?」
金髪を腰まで伸ばした、エメラルドグリーンの瞳を持つ美女。
その背に、純白の羽、頭の上に、金色に輝く輪。
こたつに入った状態の為、ちょっと、威厳は欠けているが、それでも。
「天使、、、。本物なのか。」
「ちょっと。本物に決まってるでしょ、失礼ね。」
気が付くと、姿が、黒髪、黒目の静奈になっている。
慎吾は、次の言葉を、慎重に、本当に、慎重に発した。
「じっ、じゃあ。俺を、神に推薦するって言うのは、、、。」
静奈は、軽く、両肩を竦めた。
「事実よ。書類もギリで間に合って、審査もオーケー、かなり忙しかったわ。誰かさんが夜更かししてくれたおかげで、さらに大変だったわ。」
区切って、ニヤリ。
「どぅ?私に感謝して、謝りたくなったでしょ。」
「なるか!しかも、押しつけてくることからしても、悪魔じゃねーか!」
慎吾は、限界突破で叫んだ。
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