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夢じゃねーのか! 1

 「慎吾、静奈ちゃんを、二階の空いてる部屋へ案内して、布団は、物置部屋から出して。」

 「わかった。」

 それなりに話をしながら、晩飯が終わると、祖母に言われた慎吾は、大きめのバックを背負った静奈を、二階の、慎吾が使っている部屋の隣の部屋に連れて行った。

 部屋の扉を開け、電気をつけると、部屋の隅に段ボールの空箱がいくつか。

 慎吾は、その段ボールを重ねて持ち上げた。

 「とりあえず、荷物はその辺において、待っていてくれ。布団を持ってくる。」

 「わかったわ。」

 静奈が、背負っていたバッグを降ろしながら背を向けるのを見てから、慎吾は部屋を出ると、

 ドスン。

 妙に重い音が聞こえたような気がしたが、慎吾は、そのまま、荷物が詰まっている物置部屋に入った。

 部屋から、来客用の布団を引きずり出し、静奈のいる部屋までずっていく。

 「おい。どこに敷く。」

 それ程大きくない窓から外を見ていた静奈が、一方の壁を指さす。

 「そっちにお願い。」

 「ん。」

 慎吾は、指した方の壁にそって、適当に布団を敷いていく、すると、静奈が覗き込んできた。

 「ねぇ。こたつ、ってないの?」

 体を少し倒して、上目遣い。

 慎吾は、その、あざと可愛い仕草に、目を奪われそうになりながら、惹かれるのを誤魔化す為、適当に答えた。

 「こたつ?」

 「そっ。」

 自分が言った内容を、もう一度、頭の中で繰り返す。

 「あー。あるにはある。確か、この布団を出した物置部屋にあったぞ。」

 静奈の目が輝く。

 「じゃあ。それ、お願い。」

 置いてある場所は、隅の方で、いろいろと他が置いてあったのを記憶している。

 「片付けないと出せないから、手伝ってくれ。」

 「えーっ、と、言いたいけど、しょうがないわね。」

 「おぃっ。そっちがだなぁ、、、。」

 「はいはい。手伝えばいいんでしょ。私的サボりを極めるための、究極アイテムの一つだしね。」

 「なんだそりゃ?」

 「説明するね。」

 「要らん。」

 喋りながら、物置部屋に入って明かりをつけると、隅の方に、机の足が見えていて、前に、それなりに重そうな箱が二つほど重なって置いてある。

 「どれ?」

 慎吾の横を抜け、物置部屋の真ん中に立った静奈が、周りを見回す。

 「そこの隅にある机の足が、こたつのはずだ。」

 示す先に、静奈が歩いていき、その、こたつの足に手を置いた。

 「これ?」

 「あぁ。」

 「前の箱が邪魔ねぇ」

 「前の箱が邪魔だろ、そっちを、、、。」

 慎吾は、自分の目が信じられない時がくるとは思わなかった。

 「あ、、、。」

 呆けた表情の慎吾の目には、それなりに重そうな箱を、苦も無く、簡単に持ち上げた静奈が映っていた。

 「退く。」

 狭い荷物部屋の真ん中付近で立っていた慎吾は、慌てて隅へ。

 「これも、どかしたほうがいいわね。」

 と、静奈は、下にあった、もう少し重そうな箱も、軽々と持ち上げて、今しがたの箱の上に置いた。

 そして、取り出せるようになった、立てかけられたこたつの前に立つ。

 「これで、間違いないわね。」

 振り向きもせず、こたつの前に仁王立ちの静奈。

 「あぁ、そうだけど、、、。」

 我に返って答えると、後ろから見ていても、ニヤリと笑ったのがわかった。

 「ふふっ。これが、私の野望達成のための必須アイテムの一つ、こたつ。やったわ。」

 ーそこまでの物とは思えないけどな。ー

 「一緒に立てかけてある板もいるぞ、一緒に持って出られるか?」

 静奈は、無言で、本体と天板を摘み上げた。

 ーうおっ、と。重いとは思わないけど、そこまで軽いか?ー

 本当に、紙でも持つかのように摘み上げている。

 と。

 「ちょっと、そっち、ボーっとしてるだけにしか見えないけど。」

 眺めていると、不満そうに目を向けてくる。

 「いゃ。そーだけど、お前、もしかして、滅茶苦茶力あるのか?」

 静奈は、はぁ?、と、顔をしかめた。

 「力は、あるだけあった方がいいじゃない。何が悪いのよ。」

 「そーかもしれないけど、明らかに異常に力がありそうでさ。」


 止まった静奈。


 ゆっくりと、慎吾の後ろになった、自分が移動した重そうな箱と、摘み出してきたこたつの本体と天板を見る。

 「もしかして、重いの?」

 「軽くはない、と、思うけどな。」

 後ろに向くと、今は上になっている、もう少し重そうに見えた箱に手をかける。

 「んっ!」

 全身に力を入れ、箱を持ち上げていく。

 一人で持ち上げれないわけではないが、軽く上がる重さでは、絶対にない。

 少しの間、考えるように慎吾を見ていた静奈が、寄ってきて、

 「重そうね。手伝うわ。」

 「いゃ。そっちの箱を、、、。」

 「手伝うから。」

 反対側に手をかけた。

 箱が、一気に軽くなる。

 「重いわ。どう見ても、私一人では無理ね、流石ね。」

 「お前。、、、。」

 静奈に睨まれ、黙る慎吾。

 それを確認して、静奈が横を見る。

 「どこに置くの?」

 「一度、あった場所に降ろして、壁の方に押そう。」

 「わかったわ。」

 二人は、もう一つの箱も、一緒に運んだ。

 「後は?」

 「俺が、こたつ布団をずっていくから、そっちの本体と板を頼む。」

 静奈は、こたつの本体と天板に向くと、二つを数回、つまんだ後、二つを一緒に持ち上げた。

 「全く、こんなのを女の子に持たせるなんて、よくないわよ。」

 ーそれなら、二つ、一緒に持つなよ。ー 

 重そうな表情をしながら、全く、よどみのない動きで部屋に向かう静奈を、慎吾は、こたつ布団を引きずりながら追った。

読んでいただき、ありがとうございます。


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