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テストが終わって 5

 静奈と夢見を先に部屋に入れ、慎吾は、自分の部屋の扉を閉めた。

 静奈が、軽く腕を振って結界を張り、腕を組む。

 「どう。私の力、思い知ったかしら。」

 どうよ、と、ふんぞり返る静奈に、慎吾は、ため息。

 「それはわかってる。だが、ニュースでメチャクチャに混乱してる、って、やってたじゃねーか。」

 静奈は、肩を竦めた。

 「混乱はともかく、私の力は、精神には反応するけど、物には影響がないわ。だから、あんなものよね。」

 「こらっ。あんなものよね、って、大丈夫、って、言ってたじゃねーか。何で混乱してるんだよ!」

 「だから、精神には影響するけど、物には影響がないの。」

 「わかるか!」

 はぁーーーー。

 思いっ切り、息を吐いた静奈は、あやすように答えた。

 「あのね。結婚した証の結婚指輪があるでしょ。」

 「あぁ。」

 「私が書いたあの絵。」

 ー落書きね。ー

 「一言、言いたくなったけど、まぁいいわ。あの絵は、結婚指輪みたいに、付き合うようになった証として、渡される絵なの。」

 「で?」

 得意顔になって、静奈が指を立てた。

 「つまりね。記憶に私の力で影響を受けて、あの絵を証として受け取った記憶があっても、物には影響がないから、当然、物はないことになるわ。そりゃぁ。ちょっとは混乱するわよね。どう?わかった?」

 

 「、、、。」


 慎吾は、鼻を高くしている静奈を少しの間、眺め、息を吐いた。

 「つまり、最初から、こうなるのはわかってた、と。」

 「何言ってるの、この程度の混乱でおさめたんだから、褒めてもらいたいんだけど。」

 静奈が腰に手をあてて、口を尖らせると、慎吾は、もう一度、大きく息を吐いた。

 「戻せ。」

 「えっ?」

 「さっさと戻す!!」

 何を言ってるの?と、言いたげに、静奈の目が丸くなる。

 「戻す!!!」

 「慎吾様。」

 「夢見。悪いが、却下だ。」

 「まだ、何も言っていませんが、、、。」

 夢見のむこうで、静奈が肩を竦めているのを見ながら、荒くなった息を整えようと、間をおきつつ、

 「そうだな。何だ?」 

 夢見に答えると、

 「はいっ。私でしたら、あの絵を混乱することなく、確実に、付き合うようになった証として広めることができます。実行しますか?」

 「しない。」

 「この国を買い取った後に、新たな指針として、、、。」

 「実行しない。」

 可愛く、夢見が頬を膨らませたのを確認して、むこうの静奈に、

 「とにかく、戻す!」

 静奈は、もう一度、肩を竦めた。

 「いいけど、もっと混乱するけど、いい?」

 「何だよ。ちゃんと戻せないのか?」

 「だから、物には影響がないの。つまり、既にあの絵を手にした人は、記憶にはないけど、あの絵が手元に残るの。」

 「、、、。」

 慎吾は、あの絵を思い出す。

 ー確かに、あの絵が覚えもなく手元にあったら、かなり怖そうだ。ー

 半眼になった静奈。

 「ねぇ。怒っていい?」

 「いらん。じゃあ、どうすればいいんだよ。」

 「ほっとけばいいのよ。」

 「おぃ。」

 「だって、そうでしょう。単純に、付き合うようになった証が増えただけよ。渡すイベントが増えて、絵が描かれたプレートを作る仕事が増えて、付き合う二人には、心に残る思い出と、その品が増えるのよ。万々歳じゃない。戻す必要は全くないわ。ほっとけばいいの。」

 「あのなぁ。そう言う問題じゃあ。」

 「じゃあ。どんな問題なのよ。」

 静奈が、腰に手を当て、仁王立ちに慎吾を見上げ、消えた。


 「しっ、静奈様?」

 「ほっとけ。選抜会に怒られれば、反省するだろ。」

読んでいただき、ありがとうございます。


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