テストが終わって 4
土曜日。
慎吾達は、ファミレスで集まっていた。
「ご注文は?」
「とりあえず、フリードリンクでいいか?」
案内してくれたウェイトレスに聞かれ、慎吾が、みんなを見渡す。
「いいぞ。」
「ついでに、ランチ。」
「お子様ランチか?」
「違うわ。」
「私も、ランチで。」
「私は、、、、。」
座りもせず、メニューを見ていた静奈が、ウェイトレスを見たところを、手で制した慎吾。
「静奈と夢見はランチな。」
「ぶー。」
静奈が、わざとらしく頬を膨らませ、横を向く。
「私は、慎吾様が選んでくれたもので大丈夫です。」
静奈とは反対側の慎吾の横で、夢見が笑顔でこちらを見上げる。
「俺もランチで。」
「全員、ランチでよくね。」
「そぅだな。ランチでいいか?」
「「おー。」」
「じゃあ、全員、フリードリンクとランチで、お願いします。」
「かしこまりました。お待ちください。」
頭を下げ、さがっていくウェイトレスを見送って、席に着こうとすると、
「てっ。」
見ると、横にいる静奈が足を踏んでいる。
「おいって。」
「ふんっ!私、別に欲しいのがあったのに。」
「とりあえず、今度にしとけ。」
パっと、何を思ったのか、静奈の目が輝く。
「もしかして、奢ってくれるの?」
「付き合うだけだ、精算は別。」
「ふんっ!」
「慎吾様、その時は、私もいいでしょうか?」
袖を引いてくる夢見に向いて。
「勿論。いいぞ。精算は別だぞ。」
「いぇ。私が特別にランチをご用意させますので、清算も全てこちらで、、、。」
「小遣いの範囲をオーバーしてるから、却下。」
「むぅ。」
ふくれっつらになりながらも、慎吾の横に座る二人を、立石と葛西がクスクスと笑いながら見ていると、ウェイトレスが、フリードリンクのグラスを持って来て、皆の前に並べていく。
そのグラスを持って、ドリンクを全員が用意すると、
「何でこっち見るんだ?」
その目線が慎吾に集まった。
「何か言ったら?」
「慎吾様、頑張ってください。」
「いや。何で俺。」
「つまらんこと言うなよ。」
「面白い必要、ねーぞ。」
「面白いことの方が、面白いぞ。」
「うるさい。」
「いや、、、。」
「うるせー。わかった。赤点なしに乾杯。」
「「乾杯。」」
長くなりそうだと判断して、区切って、慎吾が手を上げると、全員があわせた。
「つまらん。」
「笑えねー。」
「うるせーぞ。」
ランチが運ばれ、慎吾達は、適当に話をし始めた。
暫くして、河本がグラスを持たずに立ち上がる。
と。
静奈の目が、細められた。
少し、河本を目で追って、慎吾のむこうに座っている夢見に、その目を向けると、同じく、河本を目で追っていた夢見が頷き、男子達へ、何気なく目を向ける。
静奈が、横の立石を小突く。
怖気づいた顔で静奈を見る立石に、しっかり、静奈が頷くと、意を決したように、立石が席を立った。
静奈は、横目にそれを追って、店内の半分を見回す。
むこうでは、夢見が、残りの半分を見回している。
少しして。
「おい。」
様子のおかしい静奈と夢見に慎吾が声を掛けるが、無視する二人。
「おいって。」
そこに、顔を真っ赤にした立石と河本が戻ってきた。
立石が赤い顔のまま、俯き加減に席に着き、呟くと、静奈がその背をポンポンと叩く。
「で?」
その様子を慎吾ごしに見ていた夢見に、慎吾が声を掛けると、夢見は、極上に微笑み、
「後をお楽しみにしてください。」
グラスに口をつけた。
静奈と夢見は、進藤が立ち上がると、葛西を立たせて、同じように、あたりを見回し、その後、顔を赤くして戻ってきた二人。
落ち着いたらしい立石が、葛西の背をポンポンとしていた。
明らかに上機嫌になった静奈と夢見を見て、慎吾は、ため息をついた。
帰り。
ファミレスを出ると、外は、そろそろ赤みを帯びていた。
「今日は、ご馳走さま。」
「ありがと。楽しかった。」
別れ際に、頭を下げる立石と葛西。
「こっちこそ、助かったよ。」
「マジで、助かった。」
「、、、。」
二人に、適当に男子達が答えていると、静奈が前に出た。
「四人にこれ。」
鞄から、四枚の丸いプレートを出す。
「あっ。」
「しっ、静奈。」
「えっ?」
「あーっと。」
立石と葛西、河本と進藤が、真っ赤になって俯き、その、静奈が手に持っているプレートを覗き込んだ中里が、
「それは、、、。マジかよ、いつの間に、、、。」
と、四人を見た。
「神威ちゃん、それ、、、。」
「どう言うこと?」
「まてっ、それは、、、。」
ーあの時の落書き?ー
一面いっぱいに、バスの揺れに合わせて歪んだ線で、丸のようなものが書かれ、その中に、同じく、歪んだ線で四角のようなものが二つ、その四角の中は、歪んでいるかもわからない何かが書いてある。
ー確か、門、とか、言っていたやつ。ー
「それっ、し、、、。」
夢見が、前に立った。
「大丈夫ですよ。」
「いゃ。そう言う問題じゃあ。」
ニコニコと笑っている夢見は、答えてくれそうになかったため、近くにいた五郎に顔を向ける。
「五郎。あれが何だか知ってるのか?」
「何を言ってる。慎吾こそ、知らないのか?」
「あれ、付き合うことになった二人に贈る、門出の絵だぞ。」
宗久が答えた。
「はぁ?」
「、、、。慎吾、本当に、知らないのか?」
「いゃ。絵は知ってるけど、、、。」
五郎と宗久が、そろって肩を竦める。
「いつの間に、、、。」
「悪いけど、中里の知らない時よ。」
「しっ、静奈、こんな時に、、、。」
「えっと、その、、、。」
「いいじゃない、どうせ、月曜日にはバレるのよ。それとも、月曜日に、教室で盛大に渡した方がよかった?」
「静奈の馬鹿。」
「もぅ。」
「ふふふっ。」
夕日以上に真っ赤になっている四人と、呆然と立ち尽くす慎吾、五郎、宗久と中里だった。
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