休みか、サボりか
ー話を聞けーーー!ー
飛び起きると、朝になっていた。
「夢、、、。夢か、、、。」
慎吾は、がっくりと項垂れ、安堵の息を吐いた。
ピッピッ
電子体温計の音が聞こえた。
慎吾がそれを取り出すと、恵理子が取り上げる。
「37.8。寝てなさい。」
「うぃ。」
赤い顔をした慎吾は、素直に席を立つと、部屋へ向かった。
「まだ冷えるのに、髪を乾かさないで、いつまでも起きているからよ。」
後ろに聞こえる声に
ーあいつらのせいで。ー
昨日のアンケートの女の子と、たっぷり冷や汗をかかせてくれた女性を思い出し、悪態をつきながら、慎吾は、布団にもぐりこむ。
窓の外は、スッキリと晴れた、雲一つない青空が広がっていて、のどかな田舎の雰囲気を強調していた。
解熱剤に、しょうが湯を飲まされ、いつの間にか夕暮れ時になり、慎吾は、まだ怠い体を壁の方へ向けた。
ドバン。
後ろで、勢いよく部屋の扉が開く音がする。
同時に。
「ちょっと、何で学校サボってんのよ!」
この部屋で、絶対に聞くことのない、知らない女の子の声が聞こえた。
驚いて、体を起こし、声の方へ顔を向ける。
「誰だ。って、言うか、お前は!」
ー昨日のアンケートの女!ー
「お前は、じゃないでしょう。何で学校サボってんのよ!」
よっぽど、慎吾が学校を休んだのが気にくわないのか、かなり怒っている。
「て。何で、俺ん家にお前がいるんだよ!」
慎吾も、勢いよく、言い返す。
「何で?そうよね、私が一生懸命、必死に準備したサプライズを、サボって台無しにしてくれたもんね。知るわけないわね。」
「全くわからねーよ!」
「とにかく、そっちが学校をサボったせいで、私が準備したサプライズが台無しになったの、先ず謝って!」
「知るか!」
「じゃあ、何で学校サボったのよ!」
「熱が出たから休んだんだよ!」
「、、、。」
彼女は、半眼になって、慎吾を睨んだ。
「何で、熱なんてだしてるのよ。」
あの場面が、一瞬。
「お前が変なこと言うからだ!」
彼女の半眼が、さらに半眼になって。
「それこそ、わからないんだけど。」
ふんっ。
慎吾が顔を背け、彼女が、、、。
「静奈ちゃん、慎吾の様子はどう?」
下から、祖母の声が聞こえた。
「あっ。大丈夫みたいですよー。」
彼女、静奈が、全く怒気を感じさせずに返すと、
「じゃあ、下に来るように言ってね。」
疑う様子もない、祖母の声が返ってきた。
「わかりましたー。」
「と、言うことで、下に行くわよ。」
ちゃんと、怒気がでている。
「お前、猫被り凄いな。」
祖母の声に、顔の向きをなおしていた慎吾が感心していると、チラリと、静奈が犬歯を見せた。
「どうでもいいでしょ。下に行くわよ。」
「俺、まだ調子悪い。」
大袈裟に布団をかぶりながら、壁の方を向いて、慎吾が横になる。
実際、慎吾は、熱がまだ残っているようで、頭が痛く、身体も怠かった。
ちっ。
舌打ちが聞こえる。
と。
ー何だ?ー
慎吾は、再び、驚いて飛び起きた。
一瞬で、頭痛と怠さが消えただけでなく、いつも以上に体が軽くなったのだ。
驚いた表情で、原因らしい静奈を見と、
「特別だからね。」
静奈は、隠す様子もなく肯定した。
「お前、、、。」
慎吾が、言葉を続けられないでいると、静奈が、薄く笑う。
「これで、休みじゃなくって、サボり確定だから。後で謝ってもらうからね。」
「おぃ!」
「さっ、体調は大丈夫でしょ、下に行くわよ。起きなさい。」
慎吾の抗議の叫びは無視した静奈は、謝らせる算段がついた、と、見て、機嫌が回復し、ニヤニヤとご満悦。
慎吾は、ため息をつきながらも、体調が良くなっているのは事実の為、布団から出ようとして、全く動く様子のない静奈に気が付いた。
「おぃ。もういいぞ、先に行っててくれ。」
静奈の目が丸くなる。
「は?何言ってんの、わざわざ待ってるのに、それはよくないんじゃない?」
「着替える。」
どうなるかわかったのか、すこーし、頬に赤みが差し、目が泳ぎ始める静奈。
ちょっとして。
「なっ、なに言ってんのよ。お子ちゃまじゃあ、あっ、あるまいし。」
慎吾は、思いっ切り、目を尖らせた。
「早く行け!」
「わかったわよ。」
一瞬、口を尖らせるも、静奈は、大人しく部屋を出ていく。
慎吾は、盛大にため息をついた。
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