仲良し 1
静奈と夢見が、こたつに入る。
「明日はどんな予定ですか?」
夢見が、虚空から、ノートとペンを出しながら、静奈を見ると、
「明日は、予定なしよ。」
静奈も、虚空からノートとペンを出した。
「え?そうなんですか。」
変わらずに、大人びた雰囲気を壊しながら、可愛く目を大きくして驚く夢見。
静奈は、可愛さを打ち消す、大人びた雰囲気で、ため息をついた。
「あのねぇ。忘れてないと思うけど、明日は本当のテスト前なのよ。」
夢見は、あー、と、言い出しそうな表情。
「そう言えば、そんな話でしたね。」
「ちょっと、大丈夫なの?」
曖昧な顔で、夢見が、肩を竦める。
「まぁ。大丈夫だと思います。」
「いいけどさぁ。」
「静奈様こそ、全く勉強していないですが、、、。」
不思議そうに、静奈を見る夢見。
静奈は、当然と、顔に書いた。
「私?大丈夫に決まってるでしょう。」
「はぁ。」
「まっ。考えてみたら、テストの点数なんて、私達には関係ないから、どうでもいいけどね。」
「そうですね。」
二人は、同時に、ノートにペンを走らせた。
朝、三人が並んで、バス停に向かっている。
慎吾が真ん中で、右に静奈、左に夢見で歩いていく。
「慎吾。まだ調子悪いの?軟弱ねぇ。」
ちょっと体を倒して、静奈がこちらを見上げてくる。
「誰のせいだよ。誰の。」
「あら。誰のせいでしょうね。知らない人じゃないかしら。」
クスクス、素直に可愛く笑う静奈。
慎吾が息を吐くと、夢見が袖を引いた。
「慎吾様。スタミナドリンクの効果はどうでした?」
「あー。あれな。えーっと。なんだ、効果はあったぞ。目が覚めて、たぶん、勉強がはかどったぞ。たぶん。」
ーそれもあって、調子が悪いんだけど。ー
「ねぇ、ちょっと、私の時と、答えが違う気がするんだけど。」
体を起こした静奈が、目を細くして、覗き込むように、綺麗な顔を近づけてくる。
「そんなことはないぞ。」
思わず目を逸らすと、なんとなく気が付いたらしく、静奈が不機嫌そうになり、
「全く、覚えてなさいよ。」
ーやべっ。ー
「慎吾様。気に入ったようでしたら、会社ごと用意いたしますが、どうしますか?」
夢見が、ニコニコと袖を引いている。
「おいおい。何言ってるんだ。」
「大丈夫ですよ。ちゃんと交渉して買収します。」
「夢見の小遣いは、俺と同額だ。と、言ったはずだぞ。」
「私のはそれで構いませんが、慎吾様のサポートに使う分は、糸目がありませんので、十分に準備できます。」
胸を張って、当然、と、夢見がほほ笑む。
「いや、違うから、サポート分も、小遣い額に含むから。」
「、、、。魔王たる慎吾様をサポートするのに、糸目をつけるわけには、、、。」
「含むから。」
「、、、、、、、、。」
可愛く頬を膨らませ、むこうを向いてしまう夢見。
「夢見!」
「慎吾様をサポートするのに、、、。」
「相変わらず。出力主義ねぇ。私なんて、慎吾より少ない予算でサポートしてたのに。」
静奈が、ニヤニヤ顔になっている。
ー何もしてねーけどな。ー
「それは、、、。」
むくれていた夢見が、真剣な顔で、こちらに向き直った。
「わかりました。含めてやらせていただきます。」
「そ、そうか。頑張ってな。」
「はい。」
「まっ。そこまで真剣に考えなくてもいいわよ。どうしてもなら、こうすればいいんだから。」
静奈が気楽な態度で出した手に、いつの間にか、昨日、静奈が慎吾に選んで渡した物と同じペットボトルが握られていた。
「まて。何処からそれをだした?」
「んん。何処だと思う。ま、私はいらないから、慎吾にあげるね。」
「いらんし。いや、そう言う問題じゃない、さっさとあった場所に返せ、面倒くさいことになるぞ!」
「あのねぇ。私がそんなミスするわけないでしょ。出荷データとかも書き換えてるから、絶対ばれないわ。大丈夫よ。」
「いいから返す!」
「静奈様。」
「、、、。何よ?」
「よくないと思います。」
「、、、。」
「いいから、返しておきな。」
「わかったわよ。」
明らかにむくれた静奈は、手に持っていたペットボトルを消した。
「全く、戻す方がめんどくさいのに。」
「いや、なぁ。最初から、そんなことをやらないでくれると助かるんだが。」
肩を落とす慎吾の横で、口を尖らせながら、むこうを向いてしまう静奈。
「慎吾様。」
「おー。まだ何かあるのか?」
夢見は、笑顔を消して、真剣な表情。
軽く身構えた。
「今のことから、やはり、慎吾様のサポートに糸目をつけるのはよくないと判断しました。ですので、今から魔界へ行って、資金を、、、。」
「悪いが、言った通りだ。サポートの経費も含めて、俺の小遣いと同額だ。」
黙って、真剣な眼差しで慎吾を見つめる夢見だったが、慎吾が黙って首を振ると、また、頬を膨らませてむこうを向いてしまう。
慎吾は、さらに肩を落とした。
三人は、離れる様子もなく、ゆっくりと、バス停に向かった。
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