協力作戦 1
元の場所に戻って、こたつに入った静奈が、自分のノートをひろげた。
「さてと。まさか、慎吾達の方から声を掛けるとは思わなかったから、焦っちゃったけど、上手くいったから、結果オーライよね。」
ノートの立石 柚羽と葛西 咲舞のところにチェックを入れ、状況を書き込む。
「先ほどの、放課後の勉強会のことですか?」
「そうよ。夢見にも手伝ってもらうから、て言うか、どこから見てたの?」
「慎吾様が、声を掛ける少し前からです。」
「じゃあ、説明はよさそうね。今回は、柚羽ちゃんと咲舞ちゃんがターゲットなの。」
「慎吾様のハーレムの一員としてですか?」
「それなんだけど、クラスの女の子がいい子ばかりで選べなくてね。まず、相手が決まっている子をくっつけようと思ってるの。」
「相手がいる方をくっつけるのは、わかりますが。そのー。」
見ると、夢見が不思議そうに静奈を見ていた。
「どうしたの?」
「そのー。慎吾様のハーレムですから、いい子でいいと思いますが?」
ふっ。
静奈が笑う。
「あんまりいい子を選んで、魔族の綺麗どころよりよかったら、魔界に来てくれなくなるわよ。」
「そっ。それは、、、。ですが、慎吾様のためには、、、。」
「まぁ、そうなったら、夢見が選ばれる確率が、かなり下がるのは確実ね。」
「、、、。確かに、いい子の中から選ぶのは大変ですね。」
「でしょ。で、明日は柚羽ちゃんがメインで、相手は河本よ。咲舞ちゃんは進藤で明後日。ちなみに、柚羽ちゃんも、咲舞ちゃんも、もこっちが協力することは知ってるから。」
慎吾達がぞろぞろとコンビニへ入っていく。
「今日は、五郎だったな。」
慎吾の言葉に、頷く五郎。
「おう。任せとけ。好きなのを選んで、こっちに入れてくれ。」
籠を手にした五郎が、葛西と立石に声をかけると、
「ありがと。」
「ごちそうさま。」
二人が、それぞれに答えて、店内へ散った。
「俺らも選ぼうぜ。」
「おう。で、何にするんだ?」
「昨日はオレンジだったから、今日はグレープだな。」
「炭酸、練習しなって。」
「うるせー。」
「ブラックは、やっぱ駄目だ。今日はミルクティーにする。」
「俺は、ブラックだけどな。」
「ふんっ。」
騒ぐ男子達を横目に、静奈と夢見が、立石の後ろを歩いていく。
立石は、店内を見回すと、見つけた河本に、何気なく近づき、、、。
「今!」
小声の静奈の指示で、夢見が力を使うと、
「えっ?」
思いもよらなかったのか、声を上げた立石が、いきなり足を滑らせ、河本にむかって、しがみつくように倒れこむ。
「なっ?」
二人は、河本の声を残して、重なるように通路に倒れた。
「ご、ご、ご、御免ね。だっ、大丈夫?」
真っ赤になって、慌てて、両手をついて体を放し、座り込む立石。
河本も、真っ赤になって、体を起こし。
「だっ、大丈夫だ。その、けっ怪我は?」
「わっ、私は大丈夫。」
少し離れたところで、静奈と夢見が、小さくガッツポーズ。
したところに。
「おい。どうした。大丈夫か?」
慎吾が顔を出した。
「俺は大丈夫だ。」
「私も。」
「ん。」
二人の答えを聞きながら、様子を確認した慎吾。
「怪我もなさそうだし、いいみたいだな。それなら、そろそろ立った方がいいんじゃないのか?」
「確かに。」
「そっ、そうね。」
あたふたと、立ち上がろうとする二人。
その、立ち上がろうとしている立石に、慎吾が手を出した。
「あっ。ありがと。」
あまりにいいタイミングに、立石は、思わず慎吾が差し出したその手を握ってしまう。
「えっ?えーっと。」
自分でも握ってから気が付いたのか、立石は、焦った表情で声を上げる。
「どうした?」
「なっ、何でもない。あっ、ありがとう。」
慎吾に支えられながら立ち上がった立石。
再び、真っ赤になり、ぺこりと、頭を下げる。
慎吾は軽く、それに頷くと、河本にも目を向けた。
奥では、静奈は、微妙に青筋を額に浮かばせ、夢見は、頬を膨らませている。
「二人とも、棚の方に倒れなくてよかったな。」
「それは、そうだな。」
「ごめんね。私が転んじゃったから。」
「いや、怪我もないし、気にしないでいいよ。」
「でも、、、。」
「おーい。そう言うのは、店を出てからにした方がいいと思うぞ。」
我に返る二人。
「えっ、とっ、おぅ。とりあえず、選ぼうか?」
「そっ、そうだね。」
並んで歩いていく二人を見送った慎吾は、
「慎吾。」
静奈の声に振り返る。
思いっ切り、怒り顔の静奈がいた。
「おっ、おぃ。何だよ。」
「今日は、慎吾のおごりね。」
「何言ってんだ。昨日ちゃんと、、、。」
「何よ。」
どすの効いた言い方に、静奈が突き出している飲み物を手に取ってしまうと、
「ふんっ!」
と、歩いて、いってしまう。
「慎吾様。」
夢見も、頬を膨らませて、機嫌の悪い顔をしていた。
「私も、今日はおごってもらいます。」
「おいおい。ちゃんと用意した、って。」
「それが?」
こちらも、受け取ってしまう。
ドスドスと歩いていってしまう二人の後ろで、
ーなっ。何で?ー
呆然と、慎吾は立ちすくんだ。
「絶妙なタイミングでしたね。」
「あいつ、私にはあんなことしたことないのに!!」
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