静奈と夢見 1
ふわりと、浮かんでいたこたつが、そっと、床に下りた。
「むーー。」
こたつに入り込み、顎を天板にのせている静奈がうめき、夢見が一言。
「静奈様、熱いと思うんですが。」
はぁ、と、静奈がため息。
「わかってるわ。もぅ。」
こたつ布団をパタパタと煽って、こたつの中の熱気を抜くも。
「熱いです。」
「駄目ね、これは。」
と、こたつのスイッチを切った。
「まさか、私の究極おサボりアイテムの一つのこたつに、気温が高いのに弱いと言う欠点があるなんてね。」
「当然だと思いますが、、、。」
静奈の正面に、静奈と同じように、夢見がこたつに入って座っている。
「言ってみただけにきまってるでしょう。」
静奈は、再度、こたつ布団をパタパタと煽る。
「さて。くだらないことを言っていてもしょうがないげど、どうしようかな。このままだと、夏には、普通の座卓になっちゃうもんねぇ。」
はぁ。
また、ため息。
「静奈様、こう言う時にこそ、、、。」
「はいはい。魔法で中の温度を調節すればいいのよね。」
早速、目を閉じて集中する静奈。
「ん。」
バァブン。
こたつ布団が、抜けるような妙な音をともなって、めくれ上がった。
「静奈様。」
音に目を開き、めくれ上がった状態で、パタパタしているこたつ布団を見て、静奈が頬をかく。
「ちょっと、力が大き過ぎるみたいね。」
「私がやりましょうか?」
「これは、私のだから駄目。」
深呼吸して、再び、目を閉じる静奈。
こたつ布団が、ゆっくりと、下がっていく。
半分ほどになったところで、目を開け、
「もうちょっとね。」
確認して、また、目を閉じる。
さらに、こたつ布団が下がっていき、もう少し、で、目を開ける。
「まだ、微妙に浮いてます。」
手で、こたつ布団を押さえて確認していた夢見だ。
「範囲が小さすぎて、意外に面倒ね。」
また、目を閉じる。
今度は、完全に下りきったところで、目を開けた。
「大丈夫だと思います。」
夢見の声に、静奈も、再び、手で、こたつ布団を押さえて確認。
「いいわね。」
ふふっ。
「やったわ。間違いなく、こたつの弱点、夏に使えないを解決したわ。限界突破ね!」
バァブン。
「しっ、静奈様。」
「とっ。落ち着いて、落ち着いて。」
静奈は、もう一度、目を閉じると、また、めくれ上がっていたこたつ布団が下がっていき、やがて、下がりきった。
目を開ける。
「いいわね。」
「流石です。」
「まぁね。と、言ったところで。」
静奈は、肩ひじをついて、頬を手にのせた。
「夢見と同室になるとはね。」
「私としては、慎吾様との同室が希望なんですが、、、。」
ニコニコと微笑む夢見に、静奈が反射的に言い返す。
「そんなこと、できるわけないでしょう!」
ー私だって、出来ないのに。ー
「ですが、全身全霊をもってサポートするためには、同室でないと、、、。」
「夢見。」
「静奈様。私は、今からでも慎吾様を説得してですね、、、。」
「今日の、帰りのバズでのことだけど、、、。」
ボンッ。
音が聞こえそうな勢いで、夢見が赤くなった。
「あっ。あの、あれは、何度も言っていますが本当に偶然で、慎吾様が、む、私のむ、、、、、、。」
ーどう見ても、本当のラッキースケベよね。しかも、こっちの。ー
頭から湯気を上げて止まっている夢見を眺めながら、静奈は、こたつの隅を、コツコツと指でたたいた。
「まっ。とにかく、そんな、お子ちゃま、じゃあ、とてもじゃないけど、慎吾との同室は無理よ。」
「うっ、、、。静奈様だって、、、。」
「何よ。」
「いぇ。」
夢見は、赤ら顔のまま、ちょっと、頬を膨らませて、むこうに目を向けてしまう。
「全く。諦めなさい、私だって、我慢してるんだから。」
「では。恵理子様が言っていた、むこうの物置部屋が片付くのを待つしかない、と、言うことですね。」
「それも、永久にこないわ。」
「え?なぜです?恵理子様が、そんな嘘を言うとは思えませんが、、、。」
信じられない、と、目を丸くしている夢見に、ため息をついてみせる。
「あのねぇ。選抜会の奴らが動いてるにきまってるでしょ。私に夢見を監視させようとしてるのよ。」
「、、、。納得しました。では、以降、よろしくお願いします。」
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