闇野 夢見(やみの ゆめみ) 2
夢見は、少し考えると、空いている腕を広げ、
「この義体はどうでしょう?」
笑って見せる。
さらに、静奈の目が鋭くなった。
「どうやって、手に入れたの?」
「普通に、選抜会の神々から、渡してもらいました。」
夢見の笑みに、少し苦笑が加わる。
「信じられないわ。」
「ですが、このカスタムメイドの義体は、静奈様も知っていると思いますが、本人以外が入っても動かせません。」
「だから?」
「つまり、この義体を持って動かしている私は、選抜会の神々、いえ、この義体は、天界からの命によって、選抜会の神々から渡されたものになりますので、天界の承認を得て、ここにいる証になります。そして、それは、害意がない証明になります。天使に害意を持つ者に、この義体を渡すことは絶対にないでしょうから。違いますか?」
「、、、、、、、、。」
「何故、天界なの?」
「わかりませんか?では、今の魔族の状態と、静奈様が慎吾様をどういった神の候補として推薦したかを思い出してください。」
「、、、、、、、、。」
暫く黙り、静奈は、ギリギリと、音が聞こえるほどに、歯軋りをした。
「あ。」
「あ。」
「あ、、い、、つ、ら、わぁ!」
「クレーム、ぶち込んでやる!!!!!!」
「待てって。」
「無駄ですよ。」
黙っていた慎吾と、夢見の声が重なり、同時に、慎吾に手を掴まれた静奈は、移転を止める。
「ちょっと、邪魔しないでよ!」
毛を逆立てる静奈に、慎吾は、
「全く、話が見えないんだが。」
「慎吾が知る必要はないわ!」
きっぱりと言い放ったようにしているが、慎吾ば、一瞬、静奈の目が泳いだところを見逃していなかった。
ー何かある。ー
「静奈。」
呼ぶと、さっと、さらに目線を逸らす静奈。
「とにかく、慎吾は知らなくていいから!」
ふむ、と、横に立っている闇野 夢見に目を向けた。
「闇野。」
「夢見でお願いします。」
「わかった。夢見は、何で、俺のことを魔王みたいに言うんだ?」
ぎくりと、逃げないように握っている静奈の手が反応した。
夢見は、ニコニコと笑みを絶やすことなく、
「それは、慎吾様が魔王だからです。」
迷う様子もなく答えた。
「ちょっと。まだ、魔王になるとは、、、。」
「静奈は、黙る。」
ぶう、と、再びそっぽを向く静奈。
慎吾は、もう一度、夢見を見た。
「質問の仕方が悪かったな、どう言う経緯で俺が魔王になったのか、説明してもらうことはできるか?」
「はい。もちろん、納得いただけるまで説明します。まず、今の魔族の状態について、、、。」
嬉々として、説明を始める夢見。
慎吾は、慌ててそれを止めた。
「待て待て、細かいことはいいから。」
「あっ。はい。では、どのくらいの説明にしましょうか?」
「そっ、そうだな。さっき、俺を推薦するときの話をしてたよな。何で、それが関係あるのか、簡単に。」
「わかりました。」
また、静奈の手が、ぎくりと、反応した。
「簡単に言ってしまうとですね。静奈様は、慎吾様を、サボりを冠する神の候補者として申請されたんですが、それによって、慎吾様に、怠惰を冠する魔王としての素質があることが判明、魔王として準備をすることになり、私がサポートとしてつくことになったんです。」
「、、、、、、。静奈。」
「知らないから。魔族のことは、選抜会、て、言うか、天界が勝手にやったことで、私は、知らないから。」
相変わらず、こちらを見ることはない。
「どう考えても、静奈が原因にしか見えないんだが?」
「そっ、それは、、、。どっ、どうせ、慎吾は神になる気がないんだから、関係ないでしょ。」
微妙に、反応するも、静奈は、さらに顔を背けた。
はぁ。
「夢見。」
「はい。」
「まず言っておくが、俺は、神になる気はない。」
「はい。大丈夫です。魔族総出で、怠惰の魔王、慎吾様を歓迎いたします。」
「で。魔王になる気もない。」
気のせいか、夢見が、一瞬、止まった。
「、、、。魔王になれば、魔界の全てが手に入りますが、、、。」
「いらん。と、言うか、必要ない。魔王も、めんどくさいからやらん。」
「、、、。」
何故か、夢見の顔から、笑顔が消え、目を大きく見開いた、感嘆の表情に。
ー喜んだ?ー
「さっ、流石ですね。怠惰を冠する魔王、慎吾様、私、闇野 夢見、全身全霊をもってサポートさせていただきます。」
「おい。待てって、話を、、、。」
嬉しそうにしながら、話を聞く様子がない夢見に、何とかやる気がないのを聞かせようとした時、後ろから、静奈の声。
「めんどくさいなんて、怠惰、そのままじゃない。余計に、魔王だ、って、証明したのよ。」
「あ、、、。」
「慎吾が悪いんだからね。だから、私に任せておけばよかったのに。」
「慎吾様。不束者ですが、宜しくお願い致します。」
慎吾の座席についている取っ手を放し、両手をそろえて、綺麗にお辞儀をする夢見。
「待て。とにかく俺は、、、。」
説得しようと、身を乗り出す慎吾。
ガタン、と、バスが揺れて、、、。
「「あっ。」」
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