赤点対策 3
ー選抜会が干渉してる?ー
様子からして、ほぼ間違いない。
「とりあえず。座る?」
慎吾は、もじもじと立っている彼女に、声をかけた。
「はっ。はい。わかりました。」
パッと、顔を上げた彼女は、赤ら顔のまま、横にあった椅子を掴むと歩き、立っていた場所から、一番遠い、葛西と慎吾の間に椅子を置いて、当然よろしく座り込む。
「お願いします。」
微妙な色香のせいか、大人びた雰囲気を纏う彼女が、思いのほか可愛く頭を下げると、
「うん。こっちこそよろしくね。」
「よろしく。」
ギャップに打たれたらしい立石と葛西は、少し頬を赤くした。
「頑張ろうな。」
「頑張ろうぜ。」
「「、、、。」」
男子達が声を掛け、彼女が答える中、静奈に目をやると、気が付いた静奈の目が、剣呑な色を見せるが、すぐに、諦めたように肩を竦める。
それを確認した慎吾が、
「頑張ろ。」
最後に声を掛けた。
そして、切りが付いたところで立石と葛西は、少し目を合わせると、
「それで、、、。」
「これを、、、。」
持っていた、小テストらしいプリントを、手にした。
その時。
「待って。」
静奈の制止。
突然の制止に、全員が驚いて顔を上げた。
「静奈ちゃん?」
「えっと、どうして?」
戸惑う二人に、にっこりと、清楚な笑顔を向ける静奈。
慎吾は、
ー悪魔笑い。ー
嫌な予感に、背筋が凍えた。
「とりあえず、二人は、それをしまって。」
「えっ?」
「でも、、、。」
「二人のじゃあ、点数が良すぎるのよ。ここは、しっかり現状がわかるのを見ながらやったほうがいいと思って。」
「静奈、まさか、、、。」
顔色を変えた慎吾を、上から目線で見降ろした静奈は。
「そっ。慎吾、赤点のを、とりあえず二枚、出しなさい。」
ガサガサと、宗久と颯太が、出してあった小テストをしまい込む。
「しっ、静奈ちゃん、別に、私のでも、、。」
「そっ、そう。大丈夫だよ、、。」
「大丈夫よ。現状把握は重要だから。」
「「、、、。」」
黙った彼女達の、戸惑った目が、こちらを向いていて、他の五人は、我知らずと、むこう目線。
ーくっ。ー
奥歯を噛み締める。
「あの。大丈夫だよ。無理しなくても。」
「そっ、そう。無理しなくても。しっ、静奈、、、。」
二人の目線が、静奈にむこうとした時。
「慎吾様、よろしければ私が出しますが、、、。」
全員、沈黙。
闇野、と、呼ばれている彼女は、こちらを向いていた。
ー様?ー
呼ばれたのはわかった慎吾だったが、名前の後に続いた一言に理解がなく、呆然と、綺麗な笑みを浮かべている、闇野、と、呼ばれている彼女を眺めてしまう。
「慎吾。」
宗久。
とりあえず、そちらを向く。
と。
男子達の目の色に気が付いた。
ーわかってるよ。ー
「慎吾様?」
闇野、と、呼ばれている彼女の確認に、慎吾は、手を上げ、
「大丈夫だ。」
決意した。
「俺の恥一つで、全員の赤点がなくなるなら、安いものだ。」
持っている、赤点の小テストを、そっと、机の上に置く。
「慎吾、、、。」
「藤原、、、。」
机の上に置かれていた男子達の拳に、親指が付き立つ。
もちろん、男子達は、書かれた点数は、気にしていない。
が。
立石と葛西は。
「えっ、と、その、、、。」
「がっ、頑張ろうね。」
苦笑をして見せた。
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