赤点対策 1
担任の佐原がプリントを手に、教団に立っていた。
「テストの詳しい予定が決まったから、配るぞー。」
一番前の生徒に、プリントの束を渡し終えると、それが、最後の生徒までいきわたるのを待つ。
「見たか?ないと思うが、聞きたいことはあるか?」
一通り見回す。
「いいな。それから、先日の小テストで、悪かった奴、そいつをしっかりやっとけ、理由は言わないぞ。今日は終わりだ。」
教室の後ろの隅っこ。
慎吾、五郎、宗久、が、集まっていた。
「かなり不味いと思うが、、、。」
五郎が、慎吾を見る。
「わかってるよ。俺に言うな。」
慎吾は、肩を竦めた。
「このままだと、赤点で、夏休みが補習になるぞ。」
宗久も慎吾を見た。
「だから。俺に言っても解決しないぞ。」
はぁーーーー。
三人は、同時に、ため息をついた。
「どうする?」
「それを考えるために、集まってるんだぞ。」
「結果は、どうしようもできない、だな。」
はぁーーーー。
三人は、また、同時に、ため息をついた。
「文殊の知恵なんて、嘘だな。」
「文殊?」
「集まれば、何とかなる、みたいなやつだ。」
「なってないぞ。」
「「言うな。」」
はぁーーーー。
そして、また、同時に、ため息をつく。
「けどさぁ、人数が少ないだけかもしれないぜ。」
「確かに。」
「やってみる価値はあるな。」
三人は、教室の前の隅に座っている三人に、目を向けていた。
「行くか。」
慎吾が立ち上がる。
「そうだな。」
五郎も。
「夏休みのために。」
宗久も。
で。
二人が、慎吾の肩を叩いた。
「「頑張れ、慎吾。」」
「おい。」
二人を振り返ると。
「だって、なぁ。」
「神威ちゃんの勇者だし。」
はぁ。
慎吾だけが、ため息をついた。
ー何で、忘れてないんだよ。ー
先日の、静奈の短距離走タイムの騒ぎは、選抜会に消されているはずなのに、何故か、静奈を勇者よろしく助けたことだけが残っていて、勇者扱いされるのだ。
何で、勇者になったんだ?と、確認すると、さぁ?気にすることじゃないだろ、と、なり、それ以上進まないため、慎吾は既に諦めていた。
「まぁいいや。行こうぜ。」
「「おぅ。」」
慎吾を先頭に、三人は、教室の前の隅に座っている三人に向かった。
「いいか?」
慎吾の声に、むかって右に座っている河本 理仁が、顔を上げた。
「藤原か、いいぞ。」
「何の用か、なんとなくわかるけどな。」
むかって、左に座っている進藤 颯太だ。
「気休めにもなれない、と、思うけどな。」
真ん中に座っている中里 律希も、こちらを向いた。
慎吾、五郎、宗久の順に、適当に持ってきた椅子を置いて座る。
「それで、どうすればいいと思う?」
律希。
「とりあえず、そっちは、どうするつもりだったんだ?」
慎吾。
理仁、颯太、律稀が、互いに顔を見合わせると、肩を竦めた。
「お互い様か、、、。」
五郎。
「聞くが、これがあってた奴、いるか?」
宗久は、自分の小テストを机に出しながら、選択問題を指した。
無論、そこに書かれた点数に突っ込む者はいない。
「あっ。俺、確かあってたと思う。」
颯太が、自分の小テストを出した。
点数は、誰も見ない。
「おっ。本当だ。やるな。」
「鉛筆を転がしただけなんだけどな。」
静かになった。
「鉛筆、凄いな。」
「文殊より確実みたいだな。」
「文殊で正解できるなら、この人数で集まった時点で、赤点はあり得んな。」
「「確かに。」」
「今、思ったけど、選択問題を全部正解できれば、赤点は免れるんじゃないか?」
「「マジ?」」
全員が、机の上にある小テストに注目した。
点数は、無視。
「ありえそうだな。」
「確かに。」
「じぁあ、選択問題の正解を覚えておけば、赤点は、なし。」
「おぉっ。」
「よーしっ。」
はぁ。
慎吾がため息。
それが、他、五人の静寂を呼んだ。
五人の視線を集めた慎吾。
「聞くが、、、。選択問題の正解は、どうやって調べるんだ?」
「「、、、、、、。」」
「鉛筆か。」
「赤点は確実だ。」
「あんた達ねぇ。いいから、こっち見て。」
静奈の声に、全員が、反応した。
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