蛇足
ふんふん、と、上機嫌で鼻歌を歌いながら、横を歩く静奈を、慎吾は、頭を押さえながら見ていた。
「もう一度言うけど。変なことはするなよ。」
「わかってるわ。慎吾には迷惑をかけないようにするから。」
「いや。何にもするな!って!」
浮かれている静奈は、こちらの話を聞いているようで、聞いていない、その様子に、再び、頭を押さえた。
「それに、失敗ばかりしていたら、選抜会が迷惑がるぞ。もしかして修正するのをミスるかもしれないし。時間がかかりすぎるとかさぁ。」
ー絶対、何かする。ー
しかも、間違いなく、こちらにも面倒ごとが降りかかるのは確定。
何とか、下手をするのを防ごうと、慎吾は、必死になっていた。
「あのねぇ。選抜会の奴らが、失敗なんてするわけないでしょ。それに、時間がかかる、って、何よ?」
鼻歌を止めて、意味がわからない、と、静奈。
「え?だけど、今回のだって、朝までかかったろ。まぁ、国中の騒ぎを一晩でなおすなんて、神、としか言いようがないけどさ。」
「慎吾。言っておくけど、今回の騒ぎを、なし、にするのにかかった時間は、」
パチンと、指を鳴らす静奈。
「これだけよ。」
「は?」
「だからこれだけ。」
もう一度、静奈が指を鳴らして見せ、
「あのねぇ。選抜会の奴らは、本物の神なのよ、この程度、指を鳴らすのは見せるためで、考えた時点で終わってるわ。朝までかかったのは、私の説教だけ。」
胸に手をあて、静奈がこちらを見る。
「そっ、そうか、んっと。お疲れ。」
「ふん!ほんと、一瞬もかからないで終わることで、朝までネチネチ説教なんて、器がないわ。」
ー神にむかって、言っていいのかね?ー
思わず、誰も聞いてないことを確認してしまう。
「それに、考えてみたら、今回の騒動は、選抜会の奴らにも責任があるわ。」
「こらこら。そんなこと言っていいのかよ。」
「いいに、決まってるわ。だって、この義体のコントロールが悪くて、短距離走のタイムが出たのが原因なんだもん。違う?」
「それは、確かにそうだが。」
「でしょう。何だか、さらにむかつくわ。」
「でも、もうちょっと、出力を下げれないのか?」
「これ以上、出力を下げたら、義体に入る意味がなくなっちゃうの。」
「わからん。」
はぁ。
ため息が聞こえた。
「この義体ねぇ。漏れ出る力が、世界に影響を与えないように入ってるの。でも、これ以上出力を下げるとなると、意識して力が漏れ出ないようにしないといけないから、それなら、天使のままで、意識して力が漏れないようにした方が早いの。」
「あぁ。そう言うことな。」
「そっ。」
「でも、それなら、ブート、と、天使、だったか、みたいに、一時的に出力を下げるモードを作ればいいじゃねーか。アンダーモード、とかさぁ。」
「、、、。流石は、私が選んだ神ね。ちょっと言ってくる。」
途端に、静奈の姿が消えた。
「おーい。学校、どうするんだよー。」
慎吾は、ため息をつくと、バス停に向かった。
ー何だか、すげー寂しい気がする。ー
天気は、晴天で上々。
稀に吹く風は、そろそろ、冷たくはない。
確かに、ポツンと立っているバス停で、一人、立っているだけだが、ここまで寂しく感じたことはなかった。
ーまぁ。数日、五月蠅いのがいたからなーー。ー
と、思っていると、いきなり、静奈が横に立っていた。
「バッチリだったわ。アンダーモードが増えたわ。」
嬉しそうに、声を上げる静奈。
「おー。よかったな。」
「ふふん。聞いて、どうやら、結構問題になってたみたいで、感謝されちゃったわ。しかも、今回の失態は、大目にみてくれるって!」
「そうか。そりゃよかったな。」
「へへっ。慎吾も嬉しいでしょ。」
「俺は別に、て。それだと、失敗して、天使業務を少なくしてサボり作戦、が失敗すんじゃないのか?」
「あっ!」
「「、、、。」」
「どうするんだ?」
フッ、と、笑みを作った静奈。
「大丈夫。時間はたっぷりあるわ。失敗するなんて簡単よ。任せて!!」
ドン、と、胸を叩く静奈。
「いや。何にもしないでくれた方が、俺としては助かるが。」
「任せて!上手くやるから!!」
ふふふ。
静奈の笑い声が、不気味に変わる。
「そうよ、無理難題を押し付けて、説教だけしてくる神どもめ。私の失敗に慌てふためくといいわ!!!」
ーやべー!!失敗だーーー!!ー
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