何やってんだ 8
「見つけた!!あなたが神威 静奈さんでしょ!」
再生し始めた動画は、配信者の中で、最初に静奈を見つけた、ユリアのもののようだった。
画面に、間違いなく天使にしか見えない静奈が映っている。
ー確かに、これを見たら、騒ぎになるよなぁ。ー
慎吾ですら、魅入ってしまう可憐さ。
黙って、見ていると。
「ちょっと、私の動画に魅入るのはわかるけど、本物の本人が目の前にいるんだからね。」
どうやら、長く魅入っていたのか、両手を腰に当てた静奈が、呆れ顔で立っていた。
「とっ。そうだな。」
我に返って、あらためて、前にいる本物の静奈を見る慎吾。
その静奈は、外観しか映っていない動画の中の彼女が、別人に見えるほどに輝きを放っていて、可憐。
慎吾は、また、止まってしまった。
「何よ?」
動かないこちらに、静奈が目を細くなるも、
すぐに、何かに気が付いたようで。
ニヤリ。
「もしかして、私の可愛さに見惚れちゃった?」
ニヤニヤニヤ、と、上機嫌。
「いいのよ、可愛いって、言ってくれて、わかってるんだからさぁ。」
その小悪魔な、可愛すぎる笑顔に、思わず、、、。
「かっ、可愛いぞ。」
「えっ?」
自分が言った言葉に気が付き、今度は、完全に我に返った慎吾。
代わって止まっている静奈を前に、頬だけでなく、全身の温度が上がる。
「ねえ。」
そこに、再起動した静奈が、完全な悪魔の笑い顔で、見上げてきた。
「さっき、よく聞こえなかったから、もう一回、言って欲しいんだけど。」
慎吾の体温が、さらに上がって。
「知るか!何にも言ってねぇ。」
横を向く。
「駄目よ。私の高性能イヤーが聞き間違えるわけないじゃない。」
正面に回り込む静奈。
「間違えないなら、聞こえてるだろ、知らん!」
反対に首を振る。
「高性能でも、限界はあるの。さっ。もう一回。」
また、正面に移動する静奈。
よっぽと楽しいのか、悪魔笑いに、超がついている。
ーこれさえなければ!ー
とうとう、キレた慎吾は、静奈に背を向け、
「知らん!」
腕を組んだ。
「しょうがないわねー。」
気が済んだらしい、静奈の声。
「今回は、この辺にしといてあげる。私のスマホ、返して。」
一旦、後ろの静奈の様子を確認して、向き直り、握っていたスマホを渡すと、彼女は、スマホに人差し指をあてた。
待って。
「はい終わり。見て。」
渡されたスマホを受け取ると、動画を再生する。
「見つけた!!あなたが神威 静奈さんでしょ!」
ユリアの声が流れ、、、。
「マジかよ。」
慎吾は、目を見張った。
静奈が映っているはずの動画、そこには、全く違う誰かが映っていた。
「正直な話、紙に書いてある文字を消すより簡単なのよね。デジタル、って、便利ね。」
「便利、って、普通は、こんな簡単にできないぞ。」
「天使の普通は、できるの。」
「そうは言っても、数だってあるだろうし。」
「そんなの、天使モードで一気よ。朝には終わるわ。」
「、、、。すげーな。」
「でしょう。」
ポロリと出た、素直な感想に、静奈は、上機嫌で胸を張った。
「と、言うことで、部屋でこたつに入って片付けけるから、扉を開けない、聞かない。いいわね。」
「はいはい。」
「明日から、ゆっくりのんびり、楽しみだわ。」
ステップ調で歩き出した静奈が、慎吾の部屋を出ようとして、扉のノブに手をかけ、いきなり表情が変わった。
「えっ?今からですか?私、今、もの凄く忙しいんですけど。」
そして、虚空を見て話し出す。
「おい。どうした?」
慎吾が、異変に気が付き、声をかけると、静奈は、手を上げてそれを止めた。
「ですから、、、。えっ、強制、、、。」
静奈が、消えた。
読んでいただき、ありがとうございます。
よければ評価をお願いします。




