何やってんだ 5
慎吾が、スマホに表示された、五郎と宗久が送ってくる画像を、指で送りながら確認している
「やっぱり、結構、酷いな。」
正門はともかく、バス停の周辺にも、それらしい人影が立っている。
ーこれは、フェンス越えでも難しそうだな。ー
「様子はどう?」
顔を上げた慎吾は、静奈に肩を竦めて見せた。
「えっ?ほんと?」
小走りに窓際によって、外を見る静奈。
「変ねぇ。誰もいなくなるはずなのに。」
「カメラを持ってた奴らがいなくなってるから、テレビ局の奴らはいなくなってるみたいだけどな。」
納得がいかないのか、不満そうに、静奈は眉をひそめた。
「昨日みたいに、五郎と宗久に様子を送ってもらったけど、バス停にもいるみたいだな。」
慎吾が、スマホをポケットにしまいながら立ち上がり、静奈は、ため息をついた。
「本当に、面倒ね。」
「どうする?」
「仕方がないわ。」
「なら、ちょっと寄りたいところがあるんだ。」
慎吾が、前を歩いた。
二人は、飼育小屋の後ろ、フェンスが低くなっているところに来ていた。
よく見ると、ここにも出入り口があったようで、それを潰して、フェンスを立て、隠すために、飼育小屋を作ったように見えた。
飼育小屋には誰もいなかった為、簡単に裏に入ることができた。
フェンスは、慎吾の背より、少し高い程度。
ーこのくらいなら、越えれるな。ー
「これが、言ってた、フェンス越えの場所ね。」
「あぁ。そうだ、五郎と宗久には、これを越えて出入りしてることになってるから、見ておいた方がいいと思って。」
「ふぅん。」
静奈も、フェンスの高さを確認するように、フェンスの上を見ている。
「私は余裕だけど、慎吾は?」
横を見ると、静奈が、からかう笑みになっていた。
「静奈にそのまま返すよ。」
言ってやると、静奈は、スタスタとフェンスによって、、、。
飛んだ。
殆ど身を屈める様子もなく、体を捻るように飛んだ静奈は、片手をフェンスの上について、両足を横に、フェンスを越え、、、。、
降下し始める。
驚きで集中力の上がっていた慎吾の目には、多少ゆっくりと、その動作が映っていた。
彼女の身に着けているものが、全て、ふわり、と、浮き上がる。
ことはなかった。
静奈は、普通に立っているだけの時と変わらない姿で、ストンと、フェンスのむこうに着地した。
「ふふん。どぅ?まぁ。私、飛べるから、こんなことする必要はないんだけどね。」
フェンスのむこうで、鼻を高くた静奈。
「、、、。」
「ちょっと。」
何故か、フェンスのむこうで呆然と止まっている慎吾に対し、目を細くし、
「何で私がスーパーパフォーマンスをきめたのに、残念そうな顔してるのよ。」
と、にじり寄る。
慎吾は、フェンスのむこうとは言え、静奈の綺麗な顔が勢いよくアップになったことで、我に返った。
「いっ、いや、残念な顔なんてしてないぞ。」
「どう見ても、思いっ切り、、。とっ!結界に誰か入ったわ。」
「生物部の奴らか。」
「どいて!」
慎吾が、静奈の声に従って下がると、綺麗に静奈がフェンスを飛び越える。
もちろん、一切のふわりはなく、普通に立っているだけの時と変わらない姿で、ストンと、こちら側に着地した。
「だから、何で、残念そうなの?」
細くなった静奈の目が、慎吾を射抜く。
「いや、単純に、凄いなって、、、。」
「ふぅん。」
明らかに信じていない目で、静奈が、こちらを見ている。
焦る頭で、言い訳を考えていると。
「移動した方がいいと思うけど。」
「そっ。そうだな。」
二人は、急いで飼育小屋の裏から出た。
移転するために、倉庫の裏へ歩く。
「ねぇ。もう一回聞くけど、何で、私がスーパーパフォーマンスをきめたのに、残念そうな顔になってたの?」
納得がいかない静奈は、半眼になっている。
「いゃ。だから、その。」
ー考えろ。考えろ。考えろ!ー
「ほら。と、そう、凄いパフォーマンスだったろ。俺には絶対、、、。そうそう、絶対無理だとわかったから、それが残念に思えてさ。」
「本当?」
「本当だ。俺には絶対出来ない、スーパーパフォーマンスだった。間違いない。」
「まぁ、一応、私のスーパーパフォーマンスはわかってるみたいだから、いいけど、、、。」
まだ、納得できないらしい。
「言っておくけど、単純に飛び越えただけじゃないのよ。下がるときに魔法で物が浮かないようにしてるのよ。鞄とか、スカー、、、、、、。」
静奈の目が、再び半眼になって、こちらを向いた。
そして。
ニヤリ。
「ねぇ。」
「なっ。何だよ。」
ーヤバい。もしかして、、、。ー
「もう一回、聞くけど。」
「だから、絶対無理だとわかったから、それが残念に思えたからだって。」
「本当?」
「本当だ。」
「下がるときに、あるものがふわっと、めくれなかったからじゃなくて?」
ー気づかれてるじゃねーか!ー
「なっ。何だよ、あるものって。」
体を倒して、見上げるようにして、両手で、自分のスカートを摘み上げてみせる静奈。
「詳しく、はっきりと、説明してほしい?」
「そっ、それはっ、、、。」
「なんなら、こうなるはずだった、の、実演付きで。」
ーくっ。実演、、、。ー
答えがわからず、黙っていると。
「ふふっ。とりあえず、今は、このぐらいにしといてあげる。ただし。」
いつの間にか、倉庫の裏に着いていた。
静奈が、数歩、前に出て、移転の為に手を出し、
「私の気分が良くなるように、この手をとってね。」
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