通学トライアル 3
校舎が近づき、もう少しのところに来ていた。
「そろそろ時間が危ないな。」
慎吾が、スマホをポケットから出してチラ見し、すぐに、ポケットに押し込む。
「まだいるかしら。」
「多分。カメラを持っている奴が来てなかったからな。」
「めんどくさいわね。」
「全くだ。」
同時に、二人はため息をついた。
「でも、どうするの?」
「カメラの集団だけだったら、走って抜けれる気がするんだよな。」
「いいけど。じゃあ、他にいたら?」
「見てからだな。」
既に、学校を囲っているフェンスは目の前にあり、慎吾は、黙って肩を竦める静奈を背に、そっと、裏門の方を見た。
「増えてない?」
「増えてるわね。」
代わって見た静奈も、頷く。
「どうするの?」
「どうする、っても、時間も無いし、、、。」
「あっ!見つけた!神威さん、今度は逃げないで下さい。時間、取らせないんで!」
考えていると、いきなり聞こえる声。
そちらを見ると、最初に声をかけてきた、動画配信者のユリアだ。
ハイヒールのせいで、走れなかったのか、今頃、最初に出てきた路地から歩いてきている。
「そっちか!」
「おいっ。俺が最初だぞ。」
「神威さん。少しだけでいいんで!」
「、、、、、、!」
ユリアの声で気が付いた、裏門に集まっていた配信者達も走り出す。
「えっと、、、。」
戸惑うように、下がり気味になる静奈。
ーこうなったら、一か八かだ。ー
慎吾は、静奈を正面から見た。
「静奈、俺の言葉に、説得力を加えてくれ。」
「えっ?えっ?説得力?」
「そうだ、頼んだぞ。」
意味が分からず、目を白黒させている静奈に背を向け、ポケットからスマホを取り出し、正面に構えた。
「止まってください!!」
声を上げるが、止まらず、走ってくる配信者達。
ー駄目かっ。ー
とっ、一斉に止まった。
後ろで、静奈が息を吐いている。
間に合ったようだ。
ゆっくりとスマホを強調するように見せてやる。
「申し訳ないですが、それ以上近づいたら、警察に電話します。」
顔色が変わる配信者達。
だが、、、。
「待って!」
ユリアだ。
「私はただ、神威さんと話がしたいだけ、危害を加える気はないわ。だから、、、。」
「そうだ、俺だって無いぞ。」
「俺だって。」
再び騒ぎ出した配信者達。
「聞いてください!」
もう一度、慎吾が声を上げた。
すっ、と、静かになる。
そして。
黙ったところに、
「皆さん、警察に連れていかれるところを、ライブで発信されたいですか?きっと、信用ガタ落ちで、炎上間違いなしですよ。」
「、、、、、、。」
押し黙る配信者達に、わかりやすくスマホのカメラを向けると、次々に横を向いていく。
「学校に行きたいので、道を開けてもらえませんか?」
静かに、配信者達が割れるように道を開けた。
裏門のところから動かなかった、カメラを持っている一団も、同時に、道を開けている。
「静奈、行くぞ。」
「ん。」
二人は、慎重に、その間を抜けて、裏門から、学校に入った。
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