通学トライアル 2
「それは助かる。」
体を起こして、息を整えるために、数回深呼吸。
「この後はどうするの?全く、どこだかわからないんだけど。」
静奈が、人通りのない通りを、きょろきょろとしているが、思い思いに、好きなところに家が立ち並ぶ住宅街の通りでも、わかっていれば、それほど難しくはない。
「こっちだ。」
慎吾は、静奈の前を歩き出した。
幸い、時間はまだある。
「正門から離れてない?」
家々の向こうに見える校舎の向きか、少なくなっていく家のせいか、静奈が、心配そうにしている。
「大丈夫だ。正門に戻っても、間違いなく待ち構えてるだろうから、裏門に向かってるだけだ。」
「そう言うことね。入れるの?」
「それも大丈夫だ。バスが時間通りに着いて、時間があるときに、何回か入ったことがある。」
「それで、道も知ってるわけね。」
「まっ。そうなるな。」
細い路地から、ポツリポツリと、学生が歩いている、少し広い通り出てた。
むこうにある、裏門を見ると。
「いるな。」
「ほんとね。どうする。」
表のように、コメンテーターらしき誰かが喋っている様子はないが、テレビカメラらしきものを持っている一団と、バラバラと、配信者らしい者が、立っていた。
スマホを確認する。
「まだ、時間はあるな。」
その時。
「いたぞ!」
「神威さん。是非取材をさせてください!」
後ろにある、二人が出てきた路地から、表で向かってきた配信者達が飛び出てくる。
「げ。早い。」
「どう言うこと?」
後ろにいる配信者が、スマホをいじっているのを慎吾が確認する。
「たぶん。スマホのナビで抜けてきたんだ。」
「神威 静奈さんですか、こちら、、、。」
今度は、裏門の方から、声を掛けられる。
「走れ!」
裏門にいた集団が気が付き、走り出ていたのだ。それを見た慎吾は、静奈に声をかけると、向かいにある路地に走りこんだ。
雑木林の中に、ぽつぽつと家が出てくる通りを走る。
住宅街と違い、道はほとんど一本道、静奈には、追いつかれるのが時間の問題に思えた。
「ねぇ。これだと。」
「こっちだ。」
静奈が、不安を伝えようとしたところ、慎吾が、道をそれて、雑木林に飛び込んだ。
「えっ。ちょっと!」
思わず声を上げると、慎吾が立ち止まって、
「いいから、早く。」
一言。
「わっ。わかったわ。」
静奈も、雑木林に飛び込んだ。
少しして。
「あっと。」
蔓延る枝などを払いのけながら進むと、すぐに、通りに抜ける。
静奈は、思わず、声を出していた。
慎吾が、後ろ、雑木林の奥を確認する。
「流石に、これは、読めないだろ。」
人影もなく、雑木林を走る音もしない為、上手くまいたのは間違いない。
「怪我は?」
「私は大丈夫。」
静奈の答えに、慎吾は頷くと、歩き出す。
「さっきの道は、奥に、離れていくだけだから、当分は、大丈夫だろ。」
静奈も続き。
「変な抜け方知ってるのね。」
「あー。遊び半分で、さっはの通りに入ったことがあるんだけど、遅刻しそうになって、戻るのも癪だったから、ナビで、他の戻れる通りが一番寄っているところを抜けてみたんだ。」
「今のところが。」
「そうなるな。」
静奈は、思わず手を頬に当て、呟いた。
「男の子ねぇ。」
「うるせ。」
ふてくされたように、慎吾が横を向き、
「大体、それのおかげで上手くまけたんだぞ。」
「そうね。男の子の冒険心って、大事よね。助かったわ。」
にしし、と笑う静奈に、ため息をついた。
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