日曜日は安息日です。そして婚約?しました。
ふと目を覚ますと、そこはいつもの長屋ではなく、アリエルのベッドの上だった。そっか昨日はアリエルの家で添い寝したんだっけ。続けてアリエルも目を覚ます。『おはようアリエル』『おはよう芙美』『さっ、朝御飯にしよう』現代社会から持ち込んだ明太子、おかか、ポーク、天むすの4つのおにぎりを取り出す。『さて今日はアリエルが明太子と天むす。俺がおかかとポークのおにぎりだね。』『さぁてまずは明太子さんからいかせてもらいましょうかしら。』アリエルが明太子おにぎりを一口パクり。『何これ、生の卵…たち?でもこの独特のプチプチ食感がたまらないわ。単なる辛さではなく、しっかりとした塩味と旨味があって魚類と言うよりも海の風味シーフードと言った感じね。美味しいわ』『そりゃあ良かった。明太子は日本でも割と人気な具材なんだよ』アリエルが続けて天むすに手をのばす。『お次はコレ天むすさん。』アリエルが一口パクり。『ん〜っ、海老の天麩羅と御飯の組み合わせが絶妙で美味しいわ。それに、天つゆの味が御飯に染み込んでて超絶美味しい。やっぱり海老の天麩羅は最強ね!』『アリエルは海老天が本当に好きだね。丸亀製麺でも食べてたけど、そんなに美味しい?』『超、超美味しいわ、サクサクの天麩羅とふっくらした御飯の組み合わせが最強。あぁ~ドンドン日本食にハマっていくわぁ~』『嬉しい事言ってくれるじゃない』俺もおかかとポークおにぎりを食べ終わる。2人で『ご馳走様でした』を言う。本当に日本人化が進んでるよなぁって思う。『所で今日は安息日だよね?エルフ族も安息日って大事にするのかい?』『そりゃもちろんよ。週に一度の安息日があるから皆、頑張れるんじゃない』『そっかぁ、って事はエルフの里も今日はどの店もやってないって事だよね』『そうよ。それがどうかした?』『いや、ギルドも休みだしエルフの里も休みだし、今日何しよっかなって思ってさ』『あぁ~、そうねぇ。アタシは抱卵と日本語の勉強があるから暇しないけど、芙美はちょっと可哀想だね。あっそうだ、昨日借りた本は?まだ読んでないでしょ?』『まだ読み終わってないけどあと半分切ったからなぁ。午前中も持たないと思う』『そうねぇ〜。読み終わってから考えるってのはどうかしら?』『う、うんとりあえず読み終わってから考えようかな?』渋々、昨日借りてきた本をだして読み始める。2時間が経過した頃、『アリエル、読み終わっちゃった…』どうしようという表情を浮かべる。プチ絶望と言った表情だ。『芙美、まだ馬は返して無いわよね?』『あっ、そう言えば返してねぇや!』『なら丁度良かったわ。エルフの里から西へ1時間程行った所にポルトガの街があるの。そこなら安息日って概念があまりない街だから、お店なんかもやってると思うのよ。』『ポルトガの街だって?初めて聞いたよ、そんな街があったなんて』『元々はエルフ領土だった所なの。今は色々あって独立しちゃってるけどね。安息日の概念が無いのも、エルフ族に楯突いてるからって部分もあると思うのよ。私はエルフだからポルトガなんか行ったら石を投げられるかもだけど、芙美は同じ人間だから多分大丈夫だと思うよ。エルフ族の服は着替えて行く事をオススメするわ』『へぇ~面白そうな街じゃない。馬で1時間程度ってのも手頃で良い。良し決めた、今日はポルトガの街を散策してくる』そうと決まれば早速、迷彩服に着替えて『行って来まーす』『あっ、芙美お願いがあるのよ。ポルトガの街でしか売ってない真珠のネックレスが欲しいの。見つけたらで良いから買って来てくれない』そう言うと俺のポケットに10万ゴールドをねじ込んで来た。『大丈夫?こんな大金預けて?』『大丈夫よ。芙美はネコババなんてしないでしょ。ちゃんとお釣りも持って返ってくるでしょ?』『まぁそうだけど。あっそうだ。大事な事忘れてた。はい、お昼御飯のサンドイッチ、渡しとくね。夕飯迄には帰るから夕飯は俺が持っとくよ。』『ありがとう。芙美』『じゃ、行ってくるね〜』『行ってらっしゃーい、気をつけてね』こうして1020俺はアリエルの家を出発し、一路西へ。街道沿いを馬に乗って移動する。すると小1時間程で街が見えてきた。あれがポルトガの街かぁ、一体何があるんだろう?街は安息日とは思えない程賑やかな雰囲気に包まれている。『さぁ、兄ちゃん一角兎の串焼きはどうかな?美味いよ〜』ちょっとデカい焼き鳥みたいな串焼きが500ゴールドポケットから1万ゴールドを取り出し1本買った。兎の肉って食った事なかったけど、まぁ想像よりは美味いよ。こっちの世界のメシマズ感覚で味を想像しちゃったから特にね。『お〜っとゴメンよぉ!』ドカンとぶつかって来る輩が1人。ゴロツキみたいな奴がぶつかって来て、そのゴロツキは芙美のポケットに一瞬ではあるが手を入れていた。『悪りぃ悪りい』そう言いつつ男は裏道に消えて行った。ぶつかって来た衝撃で尻もちついてしまった芙美はケツを叩きながらポケットも叩いていた。するとさっきまで札でいっぱいだった右足のポケットが空になっている事に気づいた。やられた。さっきのゴロツキが消えた裏道へ足を踏み入れる…とガラの悪い男達がおるわおるわ。明らかに俺が足を踏み入れて良い場所ではない…
が、アリエルから預かった10万ゴールドを無駄には出来ん。慎重に裏道を進む。持って来てたのは89式小銃だけMINIMIはアリエルの家に置いてきてしまった。念のため89式小銃に弾倉をこめる。槓桿をひいて弾倉を装填する。これで何時でも発射可能な状態、額に汗が滲む。裏道の最奥まで来た。するといた、さっきぶつかって来た輩だ。『おい、返すもん返してもらおうか』『あぁ?何言ってんだテメェ!』周りのゴロツキもなんとなく俺を囲んでしまった。『ふざけんじゃねーぞ!さっき俺のポケットから現金を盗ったろうが!』『あぁん?証拠でもあんのか?』全く持って話にならない。仕方ない。『盗ったお前が悪いんだよ』と呟きつつ89式小銃をぶっ放す。足と手に命中させた。ゴロツキは『痛てぇー!なんじゃこりゃあ?』と状況が飲み込めない様子。周りのゴロツキどもも何が起こったんだか分かってない様子。仕方ない種明かしすっか。『今、俺が持ってるのは89式小銃と言う武器だ。高速で弾丸を発射する。今、お前の足と手に弾丸を命中させた。これを心臓に向けて撃つとどうなるか?分かるよな?』倒れたゴロツキの表情が恐怖にかわる。周りにいたゴロツキどもも半分位は逃げ出した。後の半分は恐怖で動けないといった所か。『でアンチャンよう、どーするんだ?ここで俺にぶっ殺されてぇか?それとも返すもん返して命だけは助かるか?どっちか選べ!』『ひぃぃ~、かっ、返す。返すから頼む命だけは…』なんだよ最初からそう言えよ。足と手の応急処置をしてやる。肩を貸して歩いて行く先にはなんと現金が山の様に積み重なってる。『お前、他でもやってやがったなぁ〜』『いやぁ、すんません。返します。とりあえず旦那の分いくらでしたっけ?』『9万9千500ゴールドだ!』『細かいのがねぇ〜、旦那とりあえず好きなだけ持ってって構わねぇ!』『そんな訳行くか!盗られた分だけで良いんだよ。好きなだけ持ってったらお前さんとやってる事違わねぇじゃねーかよ!』『ひぃぃ~、すんません』ゴロツキがソファに座らされ俺の肩が空いた。改めて89式小銃を構える。『さぁ、出してもらおうか9万9千500ゴールドを!』『ちょっと待った。待って下さい。おぅ誰かいねぇか?細かいのがねぇ!』すると奥から子供たちがワラワラやって来て『お願いします。おじちゃんを虐めないで下さい』等と言う。そう、このゴロツキは盗んだ金で孤児達を育てる義賊であった。『そうか、お前義賊だったのか』『へぇ、恥ずかしながらそう言う事もやらせてもらってます』見逃してくれと言わんばかりの表情が逆にムカついてきた。『だからって誰彼構わず盗っちゃいかんだろう。もっと成金だけから盗るとかよう、やり方考えろやボケッ!』『ひぃぃ~、スイマセンアニキもちょっと小金持ちに見えたんでさぁ、悪気はなかったんだよぅ』俺が小金持ちだと?余計に腹が立ってきた。もう一発撃ちこんでやろうか?なんて考えてると、子供たちが『おいちゃん、オイチャン』と心配そうにしてくる。あぁ~こんだけ子供たちに慕われてるならもういっか。許してやろう。『まぁ、お前も子供たちを食わせてやんなきゃいけねぇってのは分かったよ。許してやろう』『本当ですかぁ、アニキありがとうございます』そのアニキってのやめてくんねぇかなどっかの山賊さんを思い出す。もっともアイツラはカシラァだったけど。手当てをしてやり、子供たちが持ってた細かいお金で何とか9万9千500ゴールドを工面したゴロツキ。『じゃあな。あっそうだ。お前名前何てぇんだよ?』『アッシですかい?アッシはバーガンと言います。アニキのお名前も聞いて宜しいですか?』『俺か?名乗る程でもないが、ここで会ったも何かの縁。俺の名は尾崎芙美だ。しがない幹部自衛官をやってる』『カンブジェーカン?なんか凄い職業なんでしょうね。カッコイイっす』『よせやい。照れるじゃねぇか!』そうして裏道の最奥を後にする。小金持ちに見えるんだな、気をつけよう。時刻は1330丁度腹が減った所だ。サンドイッチでも食べよう。まずはツナマヨサンドイッチ、うん普通に美味い。続けて卵のサンドイッチうん、これも普通に美味い。最後にシャキシャキレタスのサンドイッチ。真ん中にあるだけあってこれも普通に美味い。しかしである。物足りない。これだけでは腹は膨れないのである。しゃーない。買食いするぞ。『ジャイアントボアのステーキはどうかね?そこの兄ちゃん美味いよ。ポルトガに来たならこれを食ってかないと』そう言われると弱い。つい買ってしまった。1500ゴールド。さっきの兎肉の3倍である。どうせ大したことないんでしょ?そう思い一口パクり。あ、案外美味いよ。てか普通に美味いぞコレ。こっちの世界に来てから碌な飯にありつけなかった俺の歴史を覆す一品だ!単に腹減ってるってのもあるかもしれない。けどジャイアントボアってたしか猪の様な?豚の様な?そんな怪物だったと記憶しているが肉質もさることながらこのタレがまた絶妙に美味い。一気に食ってしまった。『あ~っ、美味かった』腹も膨れた所で、アリエルの言ってた真珠のネックレスってどこにあるんだろう?とりま、さっきの屋台のおっちゃんに聞いてみる。『あぁ?真珠のネックレスだと何だ兄ちゃん、結婚するんけ?』『いや、しないけどちょっと頼まれてね』『ポルトガじゃあ婚約指輪の代わりに婚約ネックレスとして真珠のネックレスを贈る風習があるんだよ。だから割とお高い買い物になっちまうな。そこのT字路を右にまがったら宝石店がいくつかあるから行ってみな』『ありがとうおっちゃん』婚約ネックレスだと?アリエルはそれを知ってて俺に頼んだのか?まさか俺と結婚したいのか?イヤイヤそれはナイナイ。だがしかし、俺がコレを買って来てアリエルに渡すって事はそう言う事だよな?アリエルに誘導されているのでは?疑い出したらキリが無い。ええい、とりあえず真珠のネックレスを見に行くのみ。1軒目物凄く高価そうな店構えだな。とりあえず入ってみる。いらっしゃいませすら言わんとは、俺が値踏みされているのだろう。とりあえず真珠のネックレスを見に行くと、100万ゴールドケタが一つ違う。そそくさと退店する。こりゃあ先が思いやられるぞ〜!続けて2軒目に入る。ここでもいらっしゃいませは言われない。で真珠のネックレスを見に行くと50万ゴールドケタは一緒だけど予算の5倍。やってらんねぇ。またもやそそくさと出てきてしまった。最後に3件目の店に入る。『いらっしゃいませ、何をお探しでしょうか?』『あっあの〜真珠のネックレスを見に来ただけです』何を言ってるのだろうか俺は?『ハイハイ真珠のネックレスね、ウチは良心価格でやってるからね』12万ゴールドだ。あと2万ゴールドか。あっ買い食いしたから2千ゴールドたして2万2千ゴールドかぁ。バーガンに借りれば買えるんだが、あんな立派なタンカを切って出てきた手前、今更借金はしにくい。思い切って値引き交渉でもしてみるか?いや、幹部自衛官たる者そんなみっともない真似はできん。『因みに御予算は以下ほどでしょうか?』『あっ今手持ちが98000ゴールドしかなくて、えと。えーっと』『でしたらその金額でお譲り致しますよ。足りない分はご結婚されて稼ぎが増えてから払って貰えれば結構ですから!』えーっと!?何何この人めっちゃ良い人やん。とりあえず真珠のネックレスが買えるって事?どうする買っちゃうか?『こちらへどうぞ』もう話が進んでるーっ!買っちゃうのか良いのかアリエルと婚約とか大丈夫か俺?こちらの書類にサインをお願いします。その書類にはこう記されていた。一つ真珠のネックレスを割引販売する事、一つ金額の不足分は結婚後、暮らしに余裕が出てきてから返済する事、一つこの真珠のネックレスを贈った相手とは何があっても一生添い遂げる事。うぅ、重たいよぅ。でも、ま、いっか成る様に成れだ!書類にサインする。こうして9万8千ゴールドを払って遂に真珠のネックレスを手に入れた。あとはアリエルの本心を確認するだけだ。時刻は1530俺は馬を東に向け移動を始めた。1630アリエルの家に到着した。ふぅっ緊張するなぁ。『ただいま〜アリエル、真珠のネックレスなんだけどね』『おかえりなさい芙美どうだった?かえたかしら?』『う、うん一応買えたのは買えたんだけどね、その俺達まだ出会って数日じゃん?いきなりこういうのは何というかまだ早いと言うか…』『はっ?何が早いの?』『だから…結婚とかそう言う事』『何言ってるの芙美?アタシ達が結婚ってまだ付き合ってもないのよ?』『そ、そうですよね~』あれ?なんかオカシイぞ?もしかして婚約ネックレスって事を知らないのか?イヤイヤ、試されてるだけかも知れない。『所でこの真珠のネックレスってポルトガでは婚約者に贈る風習があるみたいなんだけど知ってる?』もはや単刀直入に聞くのが一番。『えーっ知らなーい』『えーっ?てかえっ?ウソ?じゃあアタシが今もらったって事は?』『うんポルトガの風習じゃあ婚約して下さいって渡してるって事になるね』『えぇーっ、そんなぁ。じゃあアタシが買って来てって頼んだって事はアタシが婚約して下さいって言ったって事になるじゃない』『そうなりますね』『いやぁ~。芙美そんなつもりはなかったのよ、知らなかったの、本当に。』『実はこの真珠のネックレス12万ゴールドしててさ、店の主人が良い人で、足りない分は結婚して落ち着いてから払ったら良いって言ってくれてさ。一つ真珠のネックレスを割引販売する事、一つ金額の不足分は結婚後、暮らしに余裕が出てきてから返済する事、一つこの真珠のネックレスを贈った相手とは何があっても一生添い遂げる事って言う書類にサインさせられたんだよね。』『いやぁ~、やめてぇーっ、何でそんな書類にサインなんかしちゃったのよう』『いやぁ~、俺もアリエルの本気度が分かんなかったし、成る様に成れって思って』『ポルトガじゃあアタシ達は婚約してる事になってる訳?』『そうなりますね』『いやぁ~、もう芙美のバカバカ』『じゃあ返してこようか?真珠のネックレス』『うーっ何でそんな意地悪言うのよ。アタシはただポルトガの名産って聞いてたから真珠のネックレスが欲しかっただけなのにぃ。何で芙美と婚約してるのよぅ、もう芙美のバカバカ』『そんなに言わなくてもいいじゃない?俺だって腹くくったんだから』『うーっもう今日は芙美のことなんか知らない』『あっそう言う事言うんだ。夕飯1人で食べちゃおうかな〜』『うーっ、それも嫌ぁ〜』『まぁ機嫌直してくれよ。俺だってアリエルの事気にはなってきてるんだぜ』『それは女として?』『そりゃそうさ』『うーっ、ズルイよぅ芙美』『まっ晩飯でも食べちゃおうぜ、嫌な事忘れちまおう』そう言ってパスタのペペロンチーノを取り出す。『頂きまーす』2人で言う。『うーんペペロンチーノ美味いなあ。ガーリックチップが良い味出してる』『本当ねガーリックチップが美味しいわ。あと唐辛子も辛すぎないわね。何ていうか丁度良いわ』ペペロンチーノを美味しく頂きました。『ご馳走様でした』また2人で言う。時刻は1700になっていた。『アリエル、明日は仕事だから1800には寝よう。少し早めに起きたいんだ』『分かったわ。じゃあ体拭いてくるわね』そう言って外へ出ていった。この寒いのにエルフ族は良く外で体拭きができるよな。風呂の無い生活とは言え、ここまで苦労せにゃならんのかと思う。アリエルが帰ってきたのと入れ替わりで外へ出る。井戸の所で身体を拭く。しっかし、バーガンとか言ったか、アイツのスリの腕は凄いよな。ドーンとぶつかって来たと思ったらもう金が無いんだもんな。その才能をもっと他で使って欲しいもんだ。身体を拭き終わってアリエルの家の中へ入る。するともうベットで横たわるアリエル。なんだか艶めかしく見えて来た。ヤバイないつ襲ってもおかしくないぞ。そう思いながらもキチンと添い寝してあげる、俺なのでした。時刻は1800現代社会では0600に目覚めるはずである。




