現代社会に適応するエルフさん
ピピピピピッ朝のいつものアラームが鳴り響く、うーんもう少し寝たいけど、昨日ズル休みしたから今日は流石に行かなくっちゃだよね〜。そう昨日はアリエルを連れてきてしまったので朝から大忙しだった。今日は金曜日だから明日は休み。それだけで頑張れる俺って凄い?ってか皆そうなのかな?まぁいいやそんな事。カーテンを開けて朝の太陽光を浴びる。うーん、いい朝だ。『おはよう芙美』『えっ!来てたのかアリエル』『うんアタシあなたの国に興味があるの。暫くお世話になるわ』『マジかよ』なんかとんでもないことになったぞ。とりあえず服はあるから良いとして、朝御飯にするか。昼飯は昨日食いそびれた夕飯があるからそれを食べてもらって夕飯は何か簡単に作ってみるか!そうと決まればまず朝飯だ。『アリエルは朝はパン派?それとも御飯派?ってこちらの世界の事だったねゴメンゴメン』『またおにぎりが食べたいわ今度はあなたが食べてた具で!』おにぎりかぁ。レンジでチンして作るか!さっそく冷蔵庫をチェックすると、ご飯はある、海苔もある、梅干しもあるが、昆布がない。あとは、シャケのほぐし身があるのでそれを使おう。『アリエル、昆布がないから梅干しとシャケでも良い?』『構わないわ。初体験が一つでもあるなら』『初体験?なんかエロいな』『芙美、あなたの心が汚れているわ』などと他愛もない事を話しながら作ってみた。『はいどうぞ。めしあがれ』『いただきまーす』アリエルが梅干し
おにぎりを一口食べる。予想通りの反応『くぅ~、でも甘みがあります』『そりゃあハチミツ漬けの梅干しだからね。梅干しは本当は酸っぱいんだよ。これは酸っぱいのが苦手な人の為に作られた?でいいのかな?』『よく分からないけど美味しいわ、次は鮭おにぎりね。美味しかったのよね〜、これ』アリエルがまた一口食べる。すると『この前のシャケとは別の感じがするんだけど、どういう事かしら?』『昨日のはシャケの身が入っていました。今日のはシャケのほぐし身が入っています。ほぐし身とは、シャケの身を更に加熱してほぐして調理したのがほぐし身です。だから同じシャケでも違う味になるんだ。こっちはこっちで美味しいでしょう?』『確かに美味しいわね。でもほぐし身よりシャケの身の方が好みだわ』そうかぁ、まぁ〜、しゃーない。『さて朝御飯も済んだところで俺は仕事に行かなきゃならんから行ってくるね。昼飯は昨日の夕飯にしようとした天丼をレンジでチンして食べて。チンのやり方はこうだから…』『分かったわ。そしたら温かくなるのね?』『そう。あとはDVDがいくつかあるから好きなの見てて』そう言ってテレビをつけるとアリエルはビックリしてしまう。『は、箱の中に人が…人がとじこめられているわ〜!』『そうじゃない。これは映像を映し出してるだけだ』説明も案外難しい。何とか納得してくれた様で改めて出勤する。『行ってきまーす。』『行ってらっしゃーい』隣の奥様が出て来て言う『何だか新婚さんみたいね尾崎さん♡』うっバレてる何もかもが『いや〜、そんな事無いっすよ!』そそくさと出勤する。はぁ~やっぱり奥様方のネットワークって凄いよな。そして違う奥様から『あら尾崎さん、昨日見たわよ〜!綺麗な女の子連れてどこいってたの?』『いや〜ちょっとそこまで?』タジタジである。やっとの事で出勤完了。第1中隊幹部室へ荷物を置いて中隊事務室へ。運用訓練幹部の席へ着く。『おはようございます』中隊長伝令の岡本士長が運用訓練幹部にも珈琲を毎朝淹れてくれる。美味い。『今日の豆は何処のを使ってるんだい?』『今日の豆はエクアドル産の奴です。キレがあってスッキリする味ですよ。』そんな細かい事までは分からんが美味い事は確かだ。さぁ今日も1日が始まる。まずは朝礼からだ。いっくぞ〜。一方その頃官舎のアリエルは戸惑っていた。『DVDを見とけって言われても言葉がさっぱりだからどうしょうもないのよね〜』映画トップガンを見始めたは良いがせっかくの吹き替え版もエルフ語とその他数言語も理解出来るアタシでも分からないわ。『日本語を勉強しなきゃ!こんな良い作品が多数あるのに理解できないなんて悲しすぎる。芙美に言って日本語を勉強する良い教材がないか教えて貰うしかないわね。それにしてもテレビって不思議よね〜。チャンネルってのを変えると色々な番組が見れるのね』するとたまたまNHKのEテレ日本語で遊ぼの始まりにたどり着いた。『これはもしかして日本語を学ぶ人達用の番組ではないかしら?見ているうちにやっぱりそうよ!アタシに必要なのはこれだわ!』ひと通り見終わったアリエル。今回覚えた日本語は猪突猛進!なんか猪が走ってる映像と一緒に現れたからきっとそういう意味なのよね。うーん間違っちゃあ居ないけどね、エルフさん!そうこうしてる間にもうお昼の時間。言われたとおり冷蔵庫から天丼を出してレンジでチンしてみる。グォーンと音が鳴り響く。するとたちまち天丼の良い香りが辺り一面を覆い尽くす。『あぁ駄目。この香り抗えないわ。きっと天丼というのも美味しいに決まってるわ』チンと音が鳴り響く。『終わったようね』アツアツの天丼を取り出して机の上に置いてさぁ、いただきます。』まずはカボチャの天麩羅を一口食べる。『美味しいわ、ホクホクで』続いて獅子唐『これも美味しいわ、辛旨い』更に続いて穴子を食べる。『何これフワッフワ美味しい』最後に海老を食す。『うーん、最高!海老最高!!』エルフさんの好物がまた一つ増えました。『美味しすぎておかわりしたいわね。もう一つ残っているのを食べても良いかしら?芙美ならきっと食べても文句は言わないわ。食べてしまいましょう』再びレンジでチンして食べ終わると同時に眠気に襲われるエルフさんでした。
さて尾崎芙美の方はどうなっているでしょうか?『駄目だ駄目!こんなんやり直し!!』『はぁ。具体的に何処が悪かったのでしょうか?ご教授頂けませんか?』『駄目だったら駄目なんだよ。そんな事もわかんねぇーのかテメェはよ!1等陸尉にもなってよ?あぁ?』ブラック中隊長にこってり絞られてる最中であった。『ったく最近の部内幹候も質が下がったな!』酷い言われ様である。来週に迫る中隊訓練、その計画が頓挫しているのである。『はぁ~、仕方ない。一からやり直すか』『運幹、よぐ我慢さしてるねぁ、あんな奴東北方面隊だったらソッコーっすよ』そう言って語りかけてきたのは、この夏に転入してきた敦賀1曹だった。『おいおい怖い事言わないでくれよ』『アイツの指導ってネチッコイんすよ』確かにそれは俺も思う。が、幹部自衛官たる者おいそれと他人を批判できないものである。『仕方ないよ。俺の能力不足が原因なんだから』『いやいや、運幹はよぐやってくれてるっす。アイヅが悪いんです。アイヅさえいなぐなれば』本当に怖い事を言う。そのうち殺人事件でも起こっちゃいそうな感じがする。まぁ起きたら起きたでいっか、と軽く考える俺もいて冷静になると怖いよな。12時昼飯のラッパが鳴り響く。今日はステーキの日、独身幹部にとって自衛隊の食堂は、1日の中で唯一まともな飯にありつけると言っても過言ではない。幹部自衛官でも隊員食堂で喫食出来る。そもそも幹部食堂なんてものがあるんだから驚きだ。そして何故に本日のメニューがステーキなのかというと給料日だから!そう今日は金曜日で給料日、何があっても耐えられる日。たらふく食った尾崎芙美もまた、事務室に帰った途端睡魔に襲われるのであった。ふと目を覚ますとそこは長屋の芙美の部屋だった。ああそうか、昼寝しちまったんだな。こっちは夜中の12時を回った所で、なんだか眠い再び睡魔に襲われるのでまた現代社会に戻ってくるのであった。ふと目を覚ますと13時、午後の課業開始のラッパが鳴り響く。午後は15時から体育訓練。これには必ず参加するようにしている。何故なら陸曹時代は首から下つまり体育訓練、体力で中隊を引っ張って来た。その自負があればこそたとえ事務作業が頓挫してようが、15時からの体育訓練だけは外せないルーティンとなっていた。そして17時国旗降下のラッパと共に1日が終わる。と言っても残業が待ってるんだけどな。訓練計画が進まないのでやるしかないんだけど、19時には切り上げて帰らないと飯風呂で30分は消費するし、帰り道にスーパーにも寄りたいからそこでも20分はとられる。すると就寝までに残された時間は10分しかない。アリエルも待ってるし、今日は金曜日だし、もういっか。17時ポン(ごじぽん)しちまえ!帰り道スーパーに寄ってあっちの世界用の朝昼晩飯を調達する。そう言えば今日は給料日だったな。金曜日で給料日だから何があっても耐えられるって朝礼で誰かが言ってたな。誰だっけ?まぁいいや。とにかく給料日なので奮発して寿司とうなぎにしようかな。ちょっと値段は張るけど、美味しいものには投資する価値があるよね。朝御飯はおにぎりが食べたいって言ってたよな。あとはそう今日の晩御飯はどうしよう?何が食べたいっていうかなアイツ?ふと鮮魚コーナーで鯖と目が合った。そうだ鯖の塩焼きなんてどうだろう。生は抵抗があったけど焼く分には問題は無いはずだ。そんなこんなであっちの世界へ行く準備を整える事が出来た俺は急いで官舎へ帰る。『ただいま〜』『おかえりなさ〜い』『今日の晩御飯は鯖の焼き物と御飯とお味噌汁にするよ』早速着替えて手洗いうがいをしてお米を研ぐ。並行してお湯を沸かす。更にさばを出してフライパンで焼く。お湯が沸いたので味噌を溶かして豆腐やらワカメやら具材をいれる。サバの方もいい焼き色が付いてきたので皿にあげる。くぅ~、美味そうだぜ。最後にご飯がたけたら、本日の夕飯、鯖の焼き物が完成。おかずが一品じゃさみしいと思い漬物を出す。『いただきます』2人そろっていただきますを言う。日本人だなぁ。『そう言えば芙美、今日テレビを観てたんだけど全然日本語が分からなかったのね。でね、日本語を勉強できる教材って何かないかしら?あと2チャンネルで日本語で遊ぼって番組があって、あれって日本語を教える番組なのかしら?あたしみたいなよそから来た人に対するっていうか?』『そうだね日本語であそぼは2歳〜小学校低学年までの子を対象としてるみたいだから外人さん向けっていうのはちょっと違うかなぁ。でも日本語知らない人が見る分にはちょうど良い番組だと思うよ』スマホ片手に解説する『ねぇ、芙美はエルフ語はどこで習ったの?』『ん~~習ったと言うよりは独学で学んだって方が正しいかもね。ほらエルフさんって気難しい人が多いじゃない?中々仲良くなって教えてもらうってのは難しい状況だったよ』『それは申し訳ないわ。エルフ族を代表してお詫び申し上げます。でもアタシはそんなに気難しく無いわよ』『そうだね。アリエルは特別な存在だよ。俺にとっては。こんなに仲良くなったエルフ族は初めてだよ』そんな会話をするうちに芙美は『ごちそうさまでした』と食べ終わってしまう。『はやっ。前から思ってたけど芙美って食べるの早いよね』『早食いは自衛官のお家芸ですから』ホントは早飯早グソ芸のうちと言いたかったがやめた。食事中にクソの話はないなと思ったからである。そうこうしてるうちにエルフさんも食べ終わって芙美が自分の分とアリエルの分の皿を洗い終えて風呂を掃除し始めた時『キャアー』と突然の悲鳴。何事かと行ってみるとトイレで悲鳴が聞こえている。『大丈夫か?アリエル入るぞ』するとウォシュレットのお尻洗浄に驚いた様子のアリエルが…。『水が出てくるのコレどういう事かしら?』『それはお尻を洗浄する時に使う機能でして…』『はぁ?お尻を洗浄するですって?』もう一度座り直してお尻洗浄機能を使用する。するとどうでしょう『はぁぅっ、これは…これは駄目ね、駄目になるわアタシ、便座も暖かいし…』どういう感想だ?ひと通りお尻洗浄を終えた彼女が次に目にしたのはお風呂であった。『キャー、何これスッゴイ、日本にはお家にお風呂があるのね』浴槽を洗い終えて風呂自動ボタンを押す。すると何処からともなく「お湯張りをします。浴槽の栓は閉まっていますか」と声が聞こえたかと思いきやジャバーっと大量のお湯が出てくるではありませんか。『キャー、凄い凄い。あっという間にお湯が溜まっていくわ』シャワー時の注意を説明すると、『フムフムこのシャワーってのを使って体を洗うのね。その時使うのがこのシャンプーというのとボディーソープってやつなのね了解!』理解が早くて助かる。明日は女性用のシャンプー、リンスを買ってきてあげよう。待っててねエルフさん。さて2人ともお風呂に入ってサッパリした所で時刻は1830いつもより大分早いけどあっちの世界へ行く準備が全て整った。さぁいくよエルフさん『おやすみなさい』そしてまた僕らはあっちの世界へ旅立っていった。




