安息日とは何をすべきか
時刻は0900。朝の光が眩しい部屋で目が覚める。そう、ここはアリエルの部屋である。うーん、と一度伸びをして『おはようアリエル』と言うと、まだ眠たそうに起きて来て『おはよう芙美』と返してくる。あぁっ!また忘れてしまった。今日の朝昼晩飯を買ってくるのを!『アリエル、ゴメン!今日も忘れちゃった!』『忘れちゃったって何を』『いや、ほら朝昼晩飯を買ってくるのを忘れちゃった』『あら、大丈夫よカップラーメンはまだまだあるんだし。それに昨日みたいに朝御飯を作って貰えたら十分よ』参ったなぁ。あんな簡単なので本当に良いのかなぁ。思いつつ、ヒロバドリの卵で目玉焼きと卵焼きを作る。『アリエル、生活魔法で火をお願い』『分かったわ。任せて』ヒロバドリの卵焼きと目玉焼きを完成させるとポムと言うこっちの世界で言うパンを添えて出してやる。すると『凄い凄〜い!日本人って美味しいものに対する執念が凄いよね』いや、こっちの世界がメシマズなだけだよとは言えなかったがまぁ良い。ただ、こっちの世界にも美味しい食べ物屋さんもあるんだってのは昨日の学びだった。女性って美味しい御飯屋さんとかに詳しい。だから、こっちの世界がメシマズってのは考えを改めなければならない。兎にも角にも食べよう。『頂きまーす』2人して言う。『ん~美味しい。芙美の作る目玉焼きの半熟加減ったらないわ。アタシ好みで美味しい』『そう言ってくれてありがとう』因みに俺は固くなるまで焼く方が好きなんだけどね。さて食べ終わり『ごちそうさまでした』2人して言う。『さて今日は何しようか。安息日だから、お店も閉まってるよね。もちろんギルドも』『とりあえずドラゴンの卵の様子を見に行きたいわね』『あっ!そうだね。とりあえずはそれだね』そう言って2人で部屋を出るひと通りのモノが入ってるマジックバッグを背負い歩き始める。15分後、アリエルの研究室に到着すると助手のティタちゃんが卵を暖めていた。『ご苦労様、ティタ。卵はまだ、大丈夫そうね』『はっ!アリエル先輩、おはようございます』と、今迄寝てました感が半端ない。『大丈夫?疲れてない?』俺が尋ねると、『全〜然、大丈夫っす。ちゃんと眠れてますから』『オイオイ、本当かよ?目の下のクマがヒドイよ』『はっ、これはたまたまですよ。たまたま』『たまたまでそんなにクマは出来ないわ。何があったかはキチンと報告してもらわないと…』アリエルがそう言うと、あきらめたのか、観念したのか、話し始めた。『だってドラゴンの卵の中身が蹴って来るから卵が孵化するのかって気が気じゃなくて…。先輩代わって下さい』そう言うと、卵をアリエルに押しつけて来た。そのまま走る去ろうとする所を何とか俺が引き留めた。『おっと危ない。』逃げ出そうとするティタちゃんを抱きかかえて逃さない。『いやぁ~、もうアタシ嫌ですぅ!』何を言い出すんだ、この娘は!『ティタ!何を言ってるの?あなたがやりたがってた仕事でしょ!』『そうなんですけど〜!アタシ一人で暖めてるからめっちゃ不安なんですよぅ!うぅ〜!』うぇ〜んと泣き出してしまった。何だか可哀想になって来た。アリエルもそう思ったのか、『分かったわティタ。ゴメンね!今日からアタシも卵についてあげるから!許してくれる?』『本当ですかぁ?』おいおい、寝る時はどうするんだ?流石に一緒には寝れんぞ。『今日からアタシも卵についてあげるから、芙美暫くは一緒に寝れないわ』『マジかぁ!?』え〜っ!マジでぇ!?と思ったがアリエルがそう思ったのなら仕方ない。って事は寝る前のエッチもなしかよ。辛いなぁ。ティタちゃんが卵に戻る。暖め直す。どうやらドラゴンの卵はいつ生まれてもおかしくないらしい。ドラゴンの卵が生まれて約1週間が過ぎた所であるが、早いのか遅いのかは分からない。ただ、もうすぐドラゴンが生まれる歴史的な瞬間に立ち会えるのは、少し嬉しい気もする。研究者としてのアリエルはもっとそう言う感情が強く出てるに違いない。午前中は研究室で暖めてて、お昼になった。『お昼御飯どうする?』俺が聞くとティタちゃんは『干し草があるからそれを食べる』と言う。『ティタ。もっとマシなモノ食べなよ!アタシが暖めてあげるから、どっか食べておいでよ!』アリエルが優しく声をかける。『いやぁ~、面倒臭いから、イイっすよぅ。これで!』と言って卵を暖めたまま、干し草を食べ始める。食事に無頓着な娘なんだろう。『じゃあ、アタシ達は食べに行って来ても良い?』アリエルが言う。すると『必ず帰って来て下さいよぅ!?』『分かった、分かった。必ず帰って来るから大丈夫よ!』アリエルはそう言い残し、俺を連れて研究室を後にする。『さっ、芙美何処で何を食べようかしら?』『アリエルの部屋に帰ってカップラーメンを啜るか?それともどっか良い店があるか?』『うーんカップラーメンは、昨日のつけ麺食べた後だから、あまり良い気はしないわね。良いお店…』アリエルが思い当たるフシを探してるのだけどあまり浮かんで来ない様子。『そう言えばアソコのお店』そう言って連れて行ってもらったお店が一昨日も来た、喫茶ルナ・ラテ。ここでポムサンドのカフワセットを注文した所、実に美味しそうなサンドイッチらしきモノが出て来た。ボア肉のカツサンド的なものから野菜のシャキシャキサンド的なモノまで、美味しそうな匂いを醸し出してる。『頂きまーす』2人して言う。『ん〜、美味しい』『確かに美味しいね、アリエル』『どう?この店仲々良いでしょ?』『うーん、最高!良く知ってたね』女性はこういうお店に詳しい。ティタちゃんの様な例外もあるものの、概ねそうだ。『ここはね、雑誌でも紹介される程有名なのよ』『その割には行列が出来る訳でもなく良いね!』『雑誌で紹介されたと言っても1年も前の事だし、やっと最近落ち着いて来た所なのよ』『へぇ~、そうなんだ』そうだったのか、成る程ねぇ良く知ってるなぁ。おかげで洒落てて美味しい昼飯にありつけた。『ごちそうさまでした』2人して言う。研究室に戻る。『ただいま〜、ティタ』『先輩、もぅ遅いですよぅ!』プンプンしながらティタちゃんが言う。『あら、ゴメンなさい』そんなに遅れたとも思わないんだけどアリエルが謝る。きっとティタちゃんに気を遣ったんだろう。午後もひたすら卵を暖めて1700時。アリエルが『ティタ、アタシ達は晩御飯食べて来て良いかしら?』と聞く。すると『良いですよ。アタシはまた干し草食べて凌いでますから』と返して来た。『じゃあ行こうか、芙美』俺を連れてまたどっかいい店に行くのかと思いきや、アリエルの部屋に行く。『晩御飯はどうするの?』聞くと『もぅ、面倒臭いからカップラーメンでも良い?』と来た。『全然良いよ』と返すも、意外だな。昨日のつけ麺がきいててカップラーメンじゃあ物足りなくなってると思ったのに。生活魔法でお湯を沸かし3分待つ。さぁ出来上がりました。『頂きまーす』2人して言う。ズ、ズゾゾー。音をたてて食べる『相変わらず、お湯をかけただけなのに、このレベルの高さといったらないわ。出汁が効いてる。この謎肉とか言うのと卵と海老も美味しい。具沢山で温まるわ〜!』やっぱりカップラーメンでも感動せずにいられなかった様子。嬉しい気がする。『ごちそうさまでした』2人して言う。研究室に戻るとティタちゃんが相変わらず卵を暖め続けていた。すると意外な事を言って来た。『先輩、夜はアタシに任せて部屋に帰っても良いですよ。夜は一人になりたいんで』『夜は一人になりたいなんて大丈夫なの?』『大丈夫っす。先輩は部屋に帰ってそこの彼氏さんとニャンニャンしてて大丈夫っすよ!』『ちょっ、そんなんじゃ無いわよ』『いーや、隠しても仕方ないっすよ先輩!』ニヤついてちょっとだけムカついてしまったが、アリエルと一緒に寝られるのは有難い。アリエルの部屋に戻ると時刻は1900時。エッチしてたら軽く2000時は超えてしまう。泣く泣く添い寝だけにしようか。明日、月曜日の朝0700時に目覚めるために。




