演習状況開始!
ピピピピピッいつものアラームで目が覚める。時刻は0620。『おはようアリエル』『おはよう芙美』『まずは現金とカードを渡しておくね。いや、面倒だから俺の財布を持ってて。クレジットカードはこれ。VISAにMaster、JCBと揃ってるから。俺は迷彩の小銭入れがあれば、演習状況には十分だから。あと洗濯機の使い方なんだけど蓋を開けて洗濯物を突っ込んて、洗濯洗剤をこんな感じで入れて後はスタートボタンを押すだけ。これですすぎと脱水までやってくれるからあとは干すだけ』簡単でしょ。なんて思いながら説明したけど、寝起きで色々と言われて訳わかんなくなってなきゃいいけど・・。『さぁ、朝御飯にしよう。今日の茶漬けはたらこですよ』『頂きまーす』2人して言う『恐らくだけど、たらこの強い塩気がお茶や出汁によってマイルドになって御飯の甘みと絶妙にマッチする点がクセになりそうな旨味となっているわね』『凄いね。そこまで分析出来るって凄いよ』『ごちそうさまでした』また2人して言う。『芙美、もう一回だけ洗濯機の説明良いかしら?』『あぁ、何度でも良いよ』ひと通りもう一度説明してやる。ついでに風呂掃除の説明もする。『このスプレータイプの浴槽洗剤をシュッシュして、このタワシでこするだけだから。あとは風呂自動ボタンを押すだけ。その時に浴槽の栓を閉まっているか確実に確認すること』『分かったわ』『じゃあちょっと早いけど俺はもう行くね』時刻は0700出勤すると取り急ぎ演習準備を始める。装具類はもう作ってあるので背嚢入組品を用意して途中コンビニで買って来た水やおやつも背嚢に詰めていく。背嚢が出来上がると今度は演習バッグに替えの戦闘服やら替えの下着、風呂道具等を詰め込んで完成。あとは寝具。簀巻きとも呼ばれるこの寝具は寝具覆いと呼ばれるデカい布に毛布、スリービングと呼ばれる寝袋を組合せて作るもので廠舎や野外ベッドに敷いて眠る為に作る演習の必需品だ。それらを資材車に指定した3トン半と呼ばれるデカいトラックに積み込んだら終わり。30分で終わらせた。今回使用する東富士演習場は11月と言う時期的特性もあって一言で言うと「寒い」のである。風が強く吹き荒び下手したら初雪が観測されてしまう。そんな所にわざわざ何しに行くんだって話だが、そこは自衛隊。訓練しに行くのよ、今回は夜間の50キロ行軍に始まって防御陣地構築から防御戦闘実施と割と厳しめな状況付与となっている。本日の流れは演習場到着後、行軍準備。事後1800出発50キロを行軍した後、防御陣地構築。金曜日に防御戦闘をやって終わり。ざっとこんな流れ。さぁ0810朝礼だ。国旗掲揚に敬礼する。運用訓練幹部たる俺が乗車編成やら経路の最終確認をする。そして異常が無いことを中隊長に報告する。中隊長の有難い訓示の後に『乗車用意、乗車』の掛け後と共に乗車して行く。全員が乗車したのを確認して出発。最後尾を行く中隊長車に同乗して運用訓練幹部も前進する。車に揺られて約2時間、東富士演習場に到着する。すぐさま次の指示をだす。そう行軍準備。とりあえず、廠舎に個人の荷物やら寝具やらを並べて自分の空間を確保したならば、あとは思い思いに背嚢をセッティングする。背嚢は肩で背負うのではなく腰で支えるのだ。腰巻きが重要なのだ。と言う事を幹部候補生学校で知った。それまでは肩で背負っていたのだが、疲労感が半端なかった。だが、幹部候補生学校で行なわれる100キロ行軍に耐える為には工夫が必要だった。その時に知ったのがこの腰巻の重要性である。腰巻をしっかり巻いて肩の負担を軽減するだけで疲労感が全然違うのだ。もっと早くにこの事を知りたかった。ま、若い頃は体力に物言わせて凌ぐタイプの人間だったからな。それはそれで良かったのかも。しかも部隊じゃ100キロの行軍なんて滅多な事じゃやんなかったからな。精々が50キロ行軍なんてもんだった。
さて俺も腰巻の調整は終わったしあとは、時間までゆっくりしよっかなっとその時である。田中正夫一等陸士が運用訓練幹部たる俺に話しかけてきたのである。『運幹、実は…』『どうしたんだ?』『実は足が痛くて歩けません』キターッ、コレ。まさかの歩けません宣言!どうしたもんかと思案していた所、鬼の最先任上級陸士長の石破士長がやってきて。『テメェーッ、嘘つくんじゃねーよ!足が痛ぇだと?フザケンナ!』と言って田中一士をどっかに連れて行った。あぁ大丈夫かな田中一士。まぁ面倒事がは入ってきたけど、石破士長が持ってってくれたと思って。ラッキー位に思っておくか。行軍出発は1800時。まだまだ時間はたっぷりある。ひと眠り出来そうだが、ここで寝てしまって俺が消えてしまってもマズイ。仕方無しに起きている。周りは皆、ひと眠りしている。その時である。石破士長と田中一士が戻って来た。しかも田中一士の顔が腫れている。声をかけたかったが、色々と察してそっとして置く事にする。そして遂に1800、行軍出発時間である。先頭にはコンパスマンとして優秀な神田3曹を指名しているので、道を間違える事は無いであろう。今回は民間地を歩く計画にしているので、道を間違えたりしたらたまったもんじゃない。『第1中隊、前へ』のかけ声とともに、中隊は前進を始めた。約50分後、最初の休止点に到着する。すかさず、戦闘靴の紐をゆるめ、休憩する。10分と言う僅かな時間だがこれをするのとしないのでは、疲労度が全然違う。『出発3分前』のかけ声で慌てて戦闘靴の紐を直す。更に行軍は続く。もうかれこれ5時間は歩いたろうか?『大休止』のかけ声とともに到着したのはデカい駐車場のあるローソンだ。昼はトラックでいっぱいだが、夜の夜中ともなると、さすがに駐車している車両は少ない。ここで炊事班が炊き出しを行なう手筈になっているのだが…。あっ、いたいた、野外炊具2号がいた。その野外炊具で作られたうどんがまた美味い事。人生で一番美味かった飯はと問われたら、迷いなく陸曹教育隊での夜間行軍の際、大休止点で振る舞われた素うどんだと答える。それ位に、疲れていたのだろうし何よりタイミングが良かったのだろう。あれは本当に美味かった。なので、今回の夜間行軍でも大休止点でうどんの炊き出しを計画した。皆美味そうに食ってる姿をみると、計画して良かったと思う。さて大休止も終わりここからは後半戦。あと20キロ強と言った所。頑張ろう。と、ここで岡本士長がビッコ引いてるのが目に留まる。『どうしたんだい?岡本士長。足を痛めたのか?』聞くと『いえ、マメが潰れて痛いんですよ』『無理すんなよ。アンビもあるんだからな』アンビとは、自衛隊の救急車の事である。行軍の最後尾からついてきてる。怪我人が出ても大丈夫な様に。しかし岡本士長は『いいえ、歩けます。痛いのを我慢すれば良いだけですから』と普通科魂丸出しの発言。なんと頼もしい。『分かった。でも無理はするなよ、体壊すことが目的じゃないからな。次の休止点で衛生陸曹に診てもらえ。いいな』『分かりました』そんな会話をしてる一方、田中一士が『もぅ、歩けません。置いていって下さい』となんとも情けない声を出すではないか。どうしたもんかと頭を抱えていると、また、石破士長が来て『オラ!田中〜!歩けボケッ!』と言って田中一士をボコり始めた。『おいおい、待て待て』そう言って石破士長を止める。が、しかし『止めないで下さい。コイツは自分に甘いだけっすから。こうでもしないと歩きゃあせんのですから!』そう言ってひと通りボコった後に仕方無しにまた、歩き始める田中一士がいて、やっぱ先任士長って凄ぇわ。と思った。そして0800遂に夜間行軍は演習場に帰って来た。やったー俺達はやり遂げたんだ。そんな感動もひとしおに、今度は防御陣地構築が始まる。自分で計画したにも関わらず鬼だなって思う。まずは各小隊長を集め、工事の全般を説明する。事後は各小隊毎に防御陣地の構築を進めて貰うのだが、行軍に慣れてない若い奴らは、既にフラフラで可哀想な気がするんだけど仕方無い。こればかりは早く行軍に適した体を作って貰ってマメが出来にくい歩き方を早く習得して貰いたいもんだ。そんなこんなで陣地構築が始まるわけだが、一つ問題がある。それはあのハゲもとい、我らがブラック中隊長である。阪梨3佐は最後尾のアンビの更に後をパジェロでついてきただけでなく、陣地構築の指導もしないもんだから、全部運用訓練幹部たる俺にかかってくるのだ。まぁ、好きにさせてもらってると言えばそうなんだが、ちょっとは演習に参加して欲しいよな。
陣地構築し始めて1日が経過した、今日は木曜日。曜日感覚が曖昧になって来た頃、第3小隊長石原3尉から工事の遅れが報告されてきた。仕方無しに工事が順調に進み過ぎてる第1小隊長小笠原3尉から人員を何人か抜きたいと話をすると強硬に反対された。『何言ってるんすか、運幹!そんなの第3小隊長の責任でしょ!ウチは関係ない』よくそんな事が言えるもんだ。『第1小隊長、アンタの言いたい事も良くわかる。だが、中隊として見た時に、第3小隊の工事の遅れは中隊の防御戦闘に於いて大きな影響がある。ここはグッと堪えて貰えんだろうか』『あ〜、ハイハイ。運幹がそこまで言うんなら仕方無い。で、何人ご入用ですか?』『助かる10名程良いかな?』『10名も!?石原第3小隊長にはしてやられるわぁ~!』第3小隊長はぐぅの音も出ない。『とかなんとか言いつつ出してくれる小笠原第1小隊長には頭が上がりません。ありがとうございます!』そう言うと渋々ながら人員を割いてくれた。ありがたい!第1小隊長は叩き上げの小笠原3尉が上番していて、SLCだけあって経験も豊富、陣地構築もスムーズだ。対する第3小隊長石原3尉は去年来たばかりの一般大学卒のU幹部で、3尉ではあるものの経験も少なくまだ24と若い。この差は自衛隊に於いては天と地程の差となって結果に響く。仕方がないんだ。SLCとU幹部じゃあ。SLCってのは叩き上げの陸曹長がなる幹部の事で3尉でありながら実力十分な幹部の事を言うU幹部とはUniversityの頭文字で一般大学卒の若い幹部の事。若い以外は取り柄がなく、部隊で育てられてる幹部の事。まぁ第3小隊長には良い経験になったろう。これで陣地構築のイロハを学べたろう。
そして金曜日遂に防御戦闘の日がやって来た。敵の攻撃開始時刻を0900に設定してあって、左翼に第1小隊、中間に第2小隊、右翼に第3小隊を配置して敵の攻撃に備える。まずは砲弾落下の状況を出す。隊員がちゃんとタコツボと呼ばれる人員豪に退避してるかを見て回る。うんこれは完璧、続いて突撃の状況付与。まずは左翼の第1小隊に対して第2小隊から引き抜いた人員で持って突撃をかける。するとなんだかんだで良い防御戦闘をしてる。流石は第1小隊長小笠原3尉だ。続いて右翼の第3小隊に突撃をかけさせる。すると左右の連携がうまく取れずあまり良い防御戦闘とは言えない感じになった。何というかもう少し小隊長が指示を出してやれば上手くいったのになんて思いながら第2小隊を防御陣地に戻す。んで、最後は第3小隊を引き抜いて中間を守る第2小隊に突撃をかけさせる。するとなんかフニャフニャな攻撃になってあまり良い攻撃とは言えず、防御戦闘の錬成にならないなと判断した。急遽、第1小隊を引き抜いて攻撃させようと第1小隊長に話かけると『嫌です』とつれない返事。いやいや、このままじゃあ第2小隊の錬成になんないから!それでも『嫌です』まぁ、そうだよな。行軍から始まって防御戦闘までして、更に攻撃までやれって言われたら嫌だよな、仕方無い。第3小隊長石原3尉を呼ぶ。『石原3尉、あのさ、攻撃なんだけど何ていうか、疲れてんのはわかる。けども小隊長が疲労感だしてたら、部下達も疲労感出しちゃうから元気出していこう、ないても笑っても次の攻撃で最後にするから。頑張って!』そう言ってもう一度攻撃させた。すると若いだけあって元気に攻撃をし始めた。良い突撃だ。さぁ第2小隊長川邉3尉はどう防御戦闘するか?左右の連携がチグハグになって来たと思ったその時、的確に指示を出して良い防御戦闘をした。これなら我が中隊は行軍に引き続く2日準備1日防御戦闘と言う任務を果たす事ができると、確信する。良し!成果ありだ、『状況終了!』大声で言うと歓声が沸いた。バンザイの声も聞こえる。皆嬉しいんだろう。時刻は1200。もう飯の時間だ。今日の昼と夕は温食だからな。我が計画ながら、ナイス!温食はカレーライスだった。美味い。ずっと冷えたレトルトの戦闘糧食だったから温食のありがたみが胃に染みるぜ。ふぅ食った、すると岡本士長が、『運幹、食器下げますね』と俺の食器を下げてくれた。『俺のは良いよ。それより中隊長のを下げてくれよ』と言うと『中隊長はとっくの昔に食べ終わりましたよ』あんのハゲ〜、演習に参加しねぇわ、飯は先に食うわ、なんか腹立ってきたぞ。かと言って何もしないけど…。廠舎に帰って来て戦闘靴を脱ぐ。すると3日間履きっばなしの靴下は汗で湿っていて、靴下も脱ぐとしわしわの足裏が現れた。うわぁ、梅干しみたいなシワだな、コレ、いつ見ても慣れないっつうか何と言うか。簀巻きを広げてゴロンと寝る。マジで寝るのはいなくなっちゃうから駄目だけど横になるのが心地よいと感じる。皆それぞれに行動している。装具類の手入れをする者。簀巻きの上で横になって寝てる者。あぁ、俺も装具類の手入れでもするか。起き上がり、装具を持って洗い場へ。丁度、岡本士長もいたので、話かけると『運幹聞いてくださいよ。あのハゲなんすけどね』おいおい聞こえるぞ。どこで聞いてるか分かんないんだからと思ったが、あえて突っ込まなかった。『あのハゲ行軍の出発直前に歩かないとか言い出してすね。俺にドライバーやれって言うんすよ。で、俺も歩きたいから歩きましょうよって言ったんすよ。したらあいつよりによって田中一士にドライバーやれってその場で命じてっすね。で、田中一士がドライバー暫くやってたんすけど田中が途中で居眠り始めたらしくて、途中で俺に変われって言って来たんすよ』『ほぅ、田中一士がもぅ歩けませんって言って石破士長にボコられたな』『そうなんすか!?まぁそれは仕方無いっす。今までドライバーやっててもう歩けませんは無いっすから。で、俺もマメが潰れて痛かったし、ドライバーやれって悪魔の囁きに負けてしまってですね。恥ずかしながら行軍途中でリタイアしちまったっす。あのハゲの誘惑にまけたっす』『負けたってそんな事ないよ。岡本士長は良く頑張ったよ。あのハゲの誘惑が無ければ行軍完歩してただろうし』『ですよねぇ!?俺も完歩できてましたよねぇ!?』『所であのハゲのその後の行動が知りたいんだけど』『防御陣地構築中は廠舎の中隊長室に籠ってましたよ。皆が冷たい戦闘糧食を食ってる間にも、自分は加熱剤で温めた戦闘糧食を食ってました』『マジで!?』『マジっす。そんで今日の温食も一番に食ってましたからねぇ、もうマジ何なのって感じっすよ』やっぱりそうか〜、聞くまでもなかったなぁ。岡本士長と中隊長の愚痴で盛り上がる中、装具類の手入れもおわり、背嚢の手入れにはいる。おやつが出てきてつい食べてしまう。背嚢入れ組品を出して背嚢自体を洗って干す。多分乾くまい。でも良いんだ。帰るまでに乾けば良いのだから。そうこうしてるうちに1700一応結節という訳で終礼をする。ここでも中隊長は不在する。フザケンナ!。そして夕飯はカツ丼が出た。美味かった。そして待ちに待った風呂に入る。この瞬間をどれ程心待ちにしたか。風呂の浴槽の湯は汚れていて、顔をバシャっと洗おうとお湯を両手ですくうと、必ずチン毛が入ってくる有様。でもやっぱ風呂って良いもんで、体が温まると心も暖かくなる。風呂から上がると各小隊毎に宴会が始まっていた。第1小隊は流石SLC出身なだけあって小隊長が中心に宴席が広がる。第2小隊も小隊長がI幹部(部内幹部)なだけあって小隊長を中心に宴会している。第3小隊はと言うと小隊本部、各班とに分かれて宴会をしている。まぁ、まだまだそこまでの求心力はないか。仕方無い。さて、俺はと言うと中隊本部の面々と宴会をしている。東北方面隊からこの夏に異動して来た敦賀1曹は、もう日本酒を呑んでいる。酒のツマミは増加食で出されたポテトチップと中隊長の愚痴である。『ホンットなんとかなりませんかねぇ。あのハゲは』だから聞こえるって!『運幹もそう思うでしょ?』だから聞こえるって!!『まぁ俺はもう慣れたよ。しかも悪い面ばかりじゃないよ。今回の訓練も俺の思った通りに出来たんだから、そこは感謝しなきゃなって思ってる』『運幹、アンタって人はなんて素晴らしい!それに比べてあのハゲだきゃあ!』だから聞こえるってーの!上司の愚痴を肴に夜は更けていく。
一方、アリエルはと言うと、火曜日、午前中は大人しく日本語の勉強をしていた。が、お昼御飯の時間となり冷蔵庫を空けてみると、冷凍食品のピザが目に入った。何コレ美味しそうじゃない?今日はコレにしましょう。ピッツァマルゲリータって書いてあるわ。どう言う意味かしら?説明書きをよんでレンジで5分までは理解したエルフさん。早速チンしてみます。5分後、なんだか良い香りがするわ。熱っ鍋つかみが必要ね。何とか皿に乗せたエルフさん。さぁ頂きまーす!『うわっ何コレ外はカリカリ中はモチモチとして美味しいわ。トマトソースの甘みとこれはバジルというのかしら。これらが良い働きをしてるわ』説明書きを読んてトマトソースとバジルを知ったエルフさんなのでした。午後も引き続き勉強、日本語で遊ぼをみる。今日は、自由自在と言う4文字熟語を覚えた。何ものにも邪魔されず、自分の思いのままに振る舞う事、万事を思う通りに動かせる事を意味してるのよね。午後も時間が過ぎていきあっという間に1900。ちょっと遅くなったけど夕ご飯にしましょう。冷蔵庫をあけると、ピッツァシーフードなるものがあるではないですか。これにしましょう。説明書きを読む。レンジで5分と言う事がわかる。5分後またまた、良い香りがするではありませんか。『何これ!?マヨネーズベースになっていてクリーミーで美味しいわ。エビやイカが乗ってて独特の風味だけど美味しいわ』ごちそうさまでしたを言い皿を片付ける。さてお風呂にしましょう。確かこのスプレーをシュッシュしてたわしで擦るのよね?で、風呂自動ボタンを押してっと「お湯張りをします。浴槽の栓は閉まっていますか?」あぁっと危ない危ない。浴槽の栓を忘れるところだったわ。それにしても日本の道具たちって賢いわねぇ。危うく忘れる所だったわ。お風呂に入る。ふわぁ。ポカポカで気持ち良いわねぇ。冬場の暖かいものってホンッとありがたいわぁ。お風呂をでてパジャマに着替える。ふとテレビをつける。明日の天気予報がやっていた。明日は冬型の気圧配置で関東地方は広く晴れ間が出るでしょうですって。明日は晴れなのね。なら思い切って外出してみようかしら。芙美から預かった財布もあることだし。そうと決まったら今日はもう寝ましょ。
火曜日が終わり水曜日が始まる。朝の0800うーん、と起きる。おはようを言う相手はいない。天気予報通りに晴れ。良い感じの朝だ。朝ご飯は梅茶漬にした。前に食べてみて美味しかったのよねコレ。スルスルとお茶漬けを食べた後しばらくテレビをみた。朝の情報番組は街のグルメ情報を紹介していた。コレ美味しいそうねぇ、ここから近いのかしら?朝の情報番組で紹介していた甘み処のお店。その店の名前は「たい焼きわかば」と言う店だった。四谷駅から徒歩4〜5分の場所にある。しかし日本語がまだ不十分な彼女には店名を覚えるくらいしかできなかったのである。着換えを済ませ耳隠しのニット帽を被ってさぁ出発!ちょっとした冒険気分だ!とりあえず宛もなく市ヶ谷駅方面に歩いていく。駅についてさぁどうしよう?とりあえず一駅分の券を買い一駅だけ移動する事に。ここでまさかの四谷駅で降りたアリエル。まさかのたい焼きわかばに行けるのか?四谷駅で降りたアリエル。宛もなく歩いているとなんと偶然にも朝の情報番組で見た景色に遭遇する。あれ?ここはどこかで見た様な?するとたい焼きわかばが目の前に。朝の情報番組で紹介していただけあって混み始めていたが、難なくたい焼きをゲット、『何これ〜見た目が可愛いわね。お魚の形をしているなんて』一口食べる『外はカリカリ中はもちもち豆が甘いなんてどうかと思ったけど食べてみるとパンケーキの様な生地とマッチして意外と美味しいわね。お土産にいくつか買って帰りましょう』思いがけず、朝の情報番組で紹介していた甘み処のお店を見つけたアリエル。嬉しさは半端ない御様子。そうして次のお店を求めてまた宛もなく歩いていると、スーパーを見つけた。ここはスーパーマーケットってやつじゃないかしら?今日明日の食料品を買い込んで帰りましょう。まず向かったのはお惣菜コーナー。美味しいそうなのがいっぱいあって目移りしちゃうわね。その中で目に止まったのがソーメンチャンプルーであった。コレ何か美味しそうな気がするわ。もう一つは牛ステーキ弁当ね。コレはボリュームが半端ないわ。今日の昼・晩御飯は決まりね。明日はどうしようかしら?と次にむかったのが冷凍食品コーナーです。何々、餃子に焼売に春巻?美味しそうじゃない?買いね。明日は御飯を炊いて味噌汁を作ってこれらのおかずで、くぅ〜想像したらお腹空いてきちゃった。明後日はと考えてるうちにカップ麺コーナーへ。あらこれは何かしら?袋麺?そんなのがあるのね?面白いわ!買ってみましょう。日清の出前一丁とチキンラーメンをカゴに入れてさぁ、こんなもんで良いでしょう。レジへと進む。お会計を済まして、袋を片手に家路を急ぐ。ふぅっただいま〜。おかえりを言う相手はいない。時刻は1230だ。あぁ〜、お腹すいた。まずはソーメンチャンプルーから頂こうかしら。『何かしら?炒められたソーメンの食感がツルツルとしてて新鮮ね。鰹節や出汁の効いた味付けがたまらないわ。ソーメン自体が優しいから炒めても重くなりすぎないのねコレはよいわ!』ごちそうさまでした。昼からはまた勉強、今日は日本語で遊ぼを見逃してしまった。夕飯時、遂にこの時が来たわね牛ステーキ弁当、午後いっぱい勉強してお腹ペコペコにしたのが良かったわ。さぁ頂きまーす。『んっ?このお肉柔らかいわ。っていうか口の中で溶けちゃう。和風の甘辛タレと御飯がまた最強ね。レンジでチンして正解だったのかも』冷えた弁当をチンする事を学んだエルフさん。また一つ日本食にやられていくのでした。そしてデザートにお土産で買って来たたい焼きを食べる。『芙美にも食べさせてあげたいけど、土曜日までもつかしら?もたないわよねぇ、仕方無いわアタシが全部食べてあげる♡』こうしてデザートまで堪能したエルフさんなのであった。
明けて木曜日今日の天気は雨。仕方無いわね。1日引き篭もるしかないわね。と言う事で午前中は勉強してお昼時。まずは焼売から食べてみましょう。まずは御飯を炊いてっと。味噌汁はっと。このインスタント味噌汁ってお湯かければオッケーなのよね?確か芙美がそう言ってた気がする。あとは焼売をチンしてっと。さぁ出来上がり。エルフさんの特製お昼御飯。焼売定食よ。『もちもちぷりふりとした皮と餡のしっとりとした食感の組合せが最高ね。豚肉のジューシーさと玉ねぎの甘みが凝縮されている点も高評価ね』ごちそうさまでした。午後の勉強に入る。今日も集中しすぎて日本語で遊ぼを見逃してしまった。夕飯時、夕御飯は餃子春巻にしましょう。御飯はお昼に炊いたのが残ってるからお味噌汁作るだけでオッケー。春巻をチンして、完成。エルフさんの春巻定食よ。美味しいそ〜頂っきまーす。『うーん、パリパリサクサクと言った食感が最大の特徴ね。豚肉や野菜の入った中身の美味しさに感動するわ。揚げているのよね?その割には油っぽ過ぎ無い所がまた高評価ね』夕御飯に満足したエルフさん今日もお風呂に入って1日が終わるのでした。
金曜日。明日で芙美が帰って来る。そう思うと特に出掛る気にはならなかった。午前中は勉強してお昼時、今日は袋麺を食べてみましょう。チキンラーメン卵ポケットってのがあるのね。卵は無いか…。スーパーで買って来ましょう。官舎近くのスーパーへ行く。出掛けるつもりもなかったので、サッサと帰って来る。何々、お湯をかける前にこの凹みに卵を落とすのね。それからお湯をかけて3分待つ。『えっ?本当にお湯をかけただけで完成したわ!香ばしいチキンの風味と醤油のコクが新鮮ね。途中で卵を溶かして味変になるのも良いわね』ごちそうさまでした。午後からはまた勉強、今日は日本語で遊ぼを見れた。今日は大器晩成と言う四文字熟語を覚えた。本当に偉大な人物や才能は、若い頃は目立たず、時間をかけて努力を積み重ねた後、晩年になってから真価を発揮し大成するという意味ね。夕飯時、今晩は餃子定食にしましょう。御飯は昨日の残りをチンして、味噌汁はお湯を沸かしてっと餃子はフライパンで焼かなくちゃいけないのね。前回は芙美がやってくれてたからよく分かんないだけど説明書きを読んだからなんとなくだけど、作り方は理解したわ。油をしき凍った餃子を並べて1分加熱、お水を少々入れて蓋をする。5分程まって水の音がパチパチと変わってきたらハイ完成!焼餃子!美味しそう。前回は酢コショウで食べたけど微妙だったのよね〜今回は醤油にゴマ油を足してみましょう。『うん〜美味しいわ。このタレをつけて食べるのがたまらないわ。外はパリパリなのに、中はジューシーな肉汁が出て来て美味しい。相変わらず美味しいわね~餃子さん!』ごちそうさまでした。さてお風呂に入って1日がまた終わるのでした。明日は芙美が帰って来る日。楽しみだわ~。
さて金曜日、夜の尾崎芙美はと言うと、大分酒が回って来たのか酔っ払っていた。演習の不眠不休の疲れもあってか。眠たくて仕方ない。しかしまだ消灯前。今眠るわけには行かなかった。消えるからである。さて消灯時間となり電気を消そうと田中一士がスイッチに手を触れると第1小隊長からもう少しだけと指導があった。フザケンナ!何がもう少しだもう俺は眠るんだよと思い俺が自ら『消灯』と言って電気を消してしまった。すると第1小隊長も素直に簀巻きの中に入って寝てくれた。あぁ〜疲れたな。もう寝よう。コレ位真っ暗なら消えさってもバレはしない。簀巻きの中に入って眠るのであった。ふと目が覚めるとそこはアリエルのベッドだった。たった一人でこっちの世界に来ちまったのでおはようを言う相手もいない。2300消灯したからこっちは1100である。とりあえず朝御飯兼ねて昼御飯にすんべぇと思い街へ出る。するとティタちゃんと偶然出くわす。聞けば彼女も同じ御用だったので御一緒させてもらう事に。オシャレなカフェでモーニングを食べる。驚いた事にこっちの世界にもモーニングがあったのだ。内容も似たり寄ったりで、ホットカフワにパンの様なもので何かをサンドしたものだった。味は…まぁ普通かな。特段美味いというわけではない。かと言ってマズイってわけでも無い。ティタちゃんと話ているとどうもひっかかる、『好きな人はいるんですか』とか『じゃあアタシが立候補しようかな』などと、明らかに俺を落としに来てる。最後に『アタシってそんなに魅力ないですかぁ?』と涙目で聞かれおかしくなる前に先に店を出た。なんだったんだ!?あの娘は?ヤバイヤバイヤバイとにかく頭を冷やそう。アリエルの部屋に戻る。するとティタちゃんも追いかけてきた。『ヒドイですよぅ。置いてくなんて』『あっあぁ、いや、その』そのままティタちゃんに押し倒されてしまった。『アタシじゃ駄目ですか?』目をウルウルさせながら聞いてくる。『いや、駄目じゃ無いけど』『けど?』アリエルが頭によぎる。いや、確かにアリエルとはまだ恋人でもなんでもないからティタちゃんとネンゴロになっても問題は無い。無いはずなんだが…。『んもぅ、芙美さんはアタシの事どー思ってるんですか?』そう聞かれてとっさに『もうそろそろアリエルが帰って来るから、ねっ?』と嘘をついた。するとあら不思議、さっきまで押し倒してたティタちゃんがすっかりしおらしくなったじゃないですか。更に畳み掛ける。『今のうちに外に出てた方が良いよ』すると意外な程に素直に出ていった。ふぅ〜っ、なんだったんだ。あれが人の物を欲しがる妹キャラって奴かぁ。クワバラクワバラ。その後は部屋から出ずに1730俺は眠る。あっちの世界で0530に目が覚めるはずだ。
ふと目が覚めると0530起床まであと30分ある。がしかし目が覚めてしまった以上は起きてゴソゴソし始める。水場へ行って顔を洗い歯を磨く。状況中には出来なかった事なので凄く気持ちいい。そうこうしてるうちに0600起床時刻である。『起床』と大声で叫ぶとともに電気をつける。皆が眠たそうに起きてゴソゴソし始める。今日土曜日は帰るだけなので楽勝だ。0800朝礼をして事後、出発。市ヶ谷駐屯地には1000過ぎに帰り着いた。帰ったらまずは洗車、時間外の給油申請もしてあるので燃料補給もさせる。即応態勢の保持が目的だ。あとは物品の整備をしつつ昼御飯は食堂喫食を申請してるので幹部食堂へ。オムレツだった。非常に美味かった。そうこうしてる間に1500全ての整備が終わったのを確認して終礼。あとは個人の物品整備だが…。まぁ背嚢自体は洗って来てるし装具類も洗ったし。あとは簀巻きの中身を干すだけか。これは干しっぱなしでは帰れんからな。干して暫くいよう。2時間も干せば問題ないだろう。事務室で待ってると岡本士長が入ってきた。運幹、簀巻きなら俺が撤収しときますよ。どうぞ帰って下さい。なんて気が効く子なんでしょう!『えっいいよ。悪いから』そう言うと『幹部の方に何時迄も事務室にいられると落ち着かないんすよ、後はやっときますから』と促されて家路についた。
ガチャリ『ただいま〜アリエル』『おかえりなさい芙美』『いやぁ~長かった。疲れたよ』『本当にお疲れ様、ゆっくり休んで。夕飯はアタシが作るから』『えっ!マジで!?助かる〜。アリエルありがとう』『どういたしまして。と言ってもラーメンに餃子、焼売、春巻なんだけどね』そう言ってアリエルはキッチンに立つ。出前一丁を今日の昼御飯に食べて美味かったので夕御飯にも食べてみましょうと言って作っている。ラーメンを作るのと並行して餃子を焼く。更に春巻と焼売をチンして皿に盛り付けて完成。ラーメンセットの完成だ。『頂きまーす』2人して言う。『美味しいよアリエル』『まぁね、日本の食材は誰でも作れる様にできてるから素晴らしいわ』『そんな事無いよ。アリエルは料理上手だよ』『あら、では良いお嫁さんになれるかしら?』ぐほっと喉につまる。『あら日本ではこういう時に言うセリフじゃなくて?』『確かにそうだけど…』『けどなぁに?』昨夜の事を言うべきか否か。いや、言っちゃおう。言って楽になろう。『実はねアリエル。昨夜は2300消灯で眠れたから1100からあっちの世界に行ってたんだ。そこでティタちゃんと会って一緒に御飯を食べに行ってたんだ』アリエルは何も言わずにただ聞いている。『そこでティタちゃんにね「好きな人はいるんですか」とか「じゃあアタシが立候補しようかな」などと言われて明らかに俺を落としに来てるって思ったの。最後に「アタシってそんなに魅力ないですかぁ?」って涙目でいわれてね、ヤバイヤバイヤバイとにかく頭を冷やそうと、アリエルの部屋に戻ったんだ。するとティタちゃんも追いかけてきて、「ヒドイですよぅ。置いてくなんて」って言われて、そのままティタちゃんに押し倒されてしまったんだ。「アタシじゃ駄目ですか?」って目をウルウルさせながら聞いてくるから、「いや、駄目じゃ無いけど」って言ったのそしたら「んもぅ、芙美さんはアタシの事どー思ってるんですか?」って言われて。仕方無しにアリエルがもうすぐ帰って来るからって嘘ついたら部屋を出てくれたんだけどね…』そこまで聞いてアリエルは『やっぱりね。あの娘は昔からそうなのよ。人の物が欲しくてたまらないわけ、アタシと芙美が付き合ってるとでも思っているのよ』『そんなっ!どうしてそうなるの?』『客観的に見てよ。アタシ達って傍目には付き合ってるとしか写らないと思います。いつも2人で一緒にいるし。寝るトコも一緒だし。』『はぁぁ~。そうか、そうだったんだ。だったら話は早い。アリエル。俺達、本当に付き合っちゃう?』アリエルは顔を赤らめ『なっ何言ってんのよ!』『実は昨夜ティタちゃんに迫られてる時、アリエルの顔が浮かんで来たんだ。やっぱり俺はアリエルの事が好きみたいだ』アリエルは暫く沈黙した後『実はアタシも気になってたんだ芙美の事…』『って事は?』『えぇ、お願いしますわ。宜しくね、芙美』ヤッター人生で初めて彼女が出来ました。その夜、お風呂も済ませて2人でベッドイン。これはやっちゃた方が良いのかな?いや、付き合ってすぐヤルのも紳士でないよな?あぁどうすれば良いのか?オドオドしてるとアリエルがベッドに入って来た。アリエルから熱い口づけをされたが、演習の疲れもありチュッチュしてるうちに眠ってしまった…。時刻は2200あっちの世界では1000に目が覚めるはずである。




