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渋谷〇〇書店日誌  作者: 粉雪@11月1日コミカライズ開始!


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6.1番ビーナイス書店さん

5月に棚主になったばかりの棚。とりあえず本を並べただけだった。

挿絵(By みてみん)

 130名ほどいる棚主のなかで、1番のビーナイス書店さんは、2021年の開店当初からいる棚主さんだ。


 私が棚の説明をするときに、お決まりの口上がある。


「1番のビーナイスさんは出版社の本棚で、ご自分のところで出している本や、全国のブックフェアで見つけた面白そうな本を買いつけて、新刊を中心に揃えています。おとなりは宗谷さんという作家さんの棚で、ご自分で書かれた推理小説と本棚にあった本、という風に並べています」


 古くからやっているだけあって、ビーナイス書店の棚は常連さんに人気なのだ。入店してすぐにビーナイス書店の写真を撮り、本を吟味して購入されるお客さんを何人も見た。


 実際、全国各地の文学フリマを回って、めぼしい本を見つけては仕入れておられるらしい。人脈も広そうだ。


(そんな人に『魔術師の杖』はどう見えているんだろう?)


 ちょっと思った。


 そもそも、たいていの本好きの人にとって、電子書籍は()()()()()()


 紙の本だとかさばるし、電子書籍は持ち運びできて、どこでも読めるから便利。


 絶版になった本が、データとして復活することもあるから、電子書籍は便利。


 とはいえ私も逆に、渋谷〇〇書店に棚を持つまで、ZINEと呼ばれる自費出版の小冊子のことなんて、まったく知らなかった。


「ふつうの書店では手に入らない本がほしい」


 インスタか何かで情報を拾うらしい。お客さんは探して本を見つけたら、その写真を撮って、インスタかSNSにあげている。


 10年たっても読み継がれているZINEがあるくらいだ。


 カフェでラノベを読むのはオシャレじゃなくて、コーヒー一杯を飲むあいだに読み終えるような、バッグの中でも場所を取らない、薄い本を読むのが高感度な若者には流行っているらしい。


 それだけでなく、自分で作って売ったりもしている。


 漫画を読む人は多少、なろう系を知っているけれど、そうでなければ興味すら示さない。


 私に手売りのことを教えてくれた、先輩作家さんの言葉を思いだす。


「今はナントカ賞を取った、作家のサイン本なんて見向きもされないのよ。うっすい本が人気なの。うっすい本!」


 たぶん『うっすい本』というのは、このZINEと呼ばれる本のことだろう。


(なるほどなぁ……)


 ビーナイスさんはマメな方で、バイトさんのいない平日を中心に、月2〜3回は店番をされる。


 だからちょくちょくお会いする機会はあって、何回か言葉を交わした。


「ここの本棚の本は品揃えが面白い」と、お客さんが言うだけあって、補充される本はどれも面白そうだ。


 それをさりげなく、店内の目立つ場所に置かれる。


(さすがだなぁ……)


 見守っていたら、ビーナイスさんがサッと本を動かした。


(……お⁉️)


 なんとそれまで目立つ場所に置いてあった本を、あっさりと片づけたのだ。


 もちろんかわりに他の本を置いてらっしゃるが、それまで置かれていた本がイチオシなのかと思っていた私は、意表を突かれた。


(あ、小さくても『書店』なんだ!)


 書店の品揃えはバラエティに富んでいる。もちろん書棚にはきちんと分類された本が並ぶけれど、店頭に置かれた本は季節や流行を取り入れたものが多い。


 売れてほしいから、お店は本を店頭に並べる。けれどお客さん目線で考えたら、ほしくもない本が目の前にあっても困ってしまう。それもいつまでも置いてあったとしたら……。


 だからサッと引っこめる。棚に戻して違う本をだす。


 たとえ棚の前後にある本を入れ替えただけだとしても、目先を変えることで本に動きがでる。するとお客さんの目には、常に新しい本が並んでいるように見える。


(棚ひとつでも手間のかけ方で、集客力が違うんだ……)


 それに気づいたことに私は嬉しくなり、家に帰ってさっそく娘に教えた。娘は目をぱちくりして、こう答えた。


「ママってホント、研究者気質だよね」


 まぁね、理系だもんね。

挿絵(By みてみん)

11月3日の棚。他の作家さんの本も置く一方、数は減らしてスッキリさせている。

(説明も増やしたし、ちゃんと本は2冊ずつ置いている)

コミカライズのお知らせも、目に留まる工夫をした。

『推し本スゴイ!』の看板は、200番サチヲ書店さんが作って下さった。

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