34.186番 モナミ書店さん
「藤沢駅から有隣堂が消えるんです。大問題だわ!」
初めてお会いしたモナミ書店さんはおっしゃった。
有隣堂とは……関東で展開する大型書店チェーンで横浜駅や恵比寿駅にもある。
本の品ぞろえもよく、学習参考書も充実していて学生にも利用しやすく、ブックカバーやしおり、カードや文房具といった小物も充実している。
なんで詳しいかというと、渋谷〇〇書店で『魔術師の杖』を購入されたお客さんにお渡しするSS入りのカードは、有隣堂で買ったものがけっこう多い。
「書店がなくなるの、痛いですねぇ」
かつて全国に1万5千軒あった書店も、今では8千軒。新規開店も含む数字だから、実際にはもっと多くの書店が閉店している。世知辛い。
なんでそんなことまで気にするかというと、商業作家にとっては『初版発行部数』……これにダイレクトに影響するのだ!
まぁ商業作家さんたちの悲鳴はこの際、置いといて。
モナミ書店さん、棚がスカスカである。
「しばらく家のことが忙しくて。こっちがほったらかしになっちゃった!」
初対面でも棚主同士だと、棚を見てお互いを知っている。お互いの棚を眺めながら、ワイワイと自己紹介。
「この棚主さんて、どんな人なんだろう」という、密かに抱いていた疑問が解消されていく。
「『モナミ書店』の由来は何ですか?」
「エルキュール・ポワロがね、『私の友だち』と呼びかける時に『モナミ』と言うから」
「おおっ、アガサ・クリスティー!」
「ふだんはギャラリーでイベント関係の仕事をしているんです。棚にある本は私のと、父が趣味で集めた本とかですね」
みんな別の仕事をしながら、楽しんでやられている方が多い。
本業が忙しくなれば、パッと抜ける方もおられるし、気負わず楽しめるのが共同書店のいい所だ。
で、モナミ書店さんには別の計画もあるらしい。
「自宅を改装して、ブックカフェをやりたいんです。渋谷〇〇書店と同じように棚貸しにして」
「ああ、銭湯の棚を利用した共同書店とかもありますね」
「そうです。だいそれた事は考えてなくて。みんなが本に親しんで、ゆっくり読書できるような場所にしたくて。店番は父に頼もうかなって」
実は高齢のお父様が自宅にこもりがちなため、その生活に変化を持たせることも考えられていた。
「いいですね。じゃあ渋谷のこの店はやめちゃうんですか?」
「いいえ!始めたらこっちでも宣伝しますよ!お客さん呼びこまないと!」
自分のペースで本と遊ぶ。モナミ書店さんの開業も楽しみだ。











