32.ZINEを作ってみた
今、ZINEと呼ばれる自費出版の小冊子が人気だ。ヒカリエでもZINE作りの体験イベントが開かれ、印刷機を持ちこんでその場で印刷、製本までやって盛況だった。
渋谷〇〇書店にもZINEコーナーがある。
「ふつうの書店で売ってない本がほしい」
そういって、書店に来たお客さんはZINEコーナーをじっくりと見て、お気に入りの一冊を選ばれる。
残念なことに、そういうお客さんは『魔術師の杖』を素通りされる。
「マンガかと思った」
今はコーヒー一杯飲む間に読み終えるような本、バッグに入るような小さな本をカフェで読むのがおしゃれなのだ。
ライトノベルを読むのは、どうやらオシャレじゃないらしい。
「読むのに時間がかかりそう」
冷めた目つきでチラッと表紙を見て、「自分が読むものではない」と判断される。
そうおっしゃいますけどね。みなさん読みだしたら、アッという間に読破されるんですよ!
まぁ、徹夜はお勧めしないので、読むときは軽食かお飲み物を用意して、温かくして読んで頂きたい。
で、ZINEコーナーに置かれている本を、パラパラとめくってみた。短い!
そりゃそうだ。自費出版でページ数たっぷりの超大作なんて、制作費がかかってしょうがない。
(でもこれなら気軽に作れるなぁ)
しかも10年前に作られた本でも、みなさん喜んで買われていた。商業出版と違い、創作活動が作家さんのライフワークになっていて息が長い。
それに19話『本が持ち主を選ぶ』で取りあげた『My Little Buddies』のように、誰かにとってお気に入りの1冊になるのは、商業も同人も関係ない。
でもひとりで創るのは嫌だ。
そんなわけで9月に「キャンセルがでた」と連絡があり、10月はNovelJam2025というイベントに参加した。
ジャムセッションのように即興で小説を書き上げる。その場でくじ引きによりチームを組み、3日間で3千~1万字の短編を仕上げて出版を目指すというもの。
できた本は電子書籍の販売サイトで配信されるほか、POD出版として紙の本を買うこともできる。
3日間で1万字ぐらいなら、なろうでいつもやっているし、チームには編集さんも表紙を作るデザイナーも参加するという。
それについては『NovelJam2025に参加してみた』というエッセイに書いている。
大変ではあったけれど、制作現場のスピード感はラノベに似ていたし、ワイワイやりながら作るのが好きなので、書いていて最高に楽しかった。
自分が書いた文章を、すぐに編集さんが見てくれる。実にいい!
できた『七日目の希望』はやっぱり宝物で、私にはキラキラして見える。
書店ではこの本も、ちょこちょこ売れている。いきなり170万字の大作はハードルが高くても、8千字でサクッと読める短編なら手が出しやすい。実際にこれを読んでから、『魔術師の杖』を読まれる方もいらっしゃる。
しかも10月発売だから、今のところこれが最新作だ。11月の文学フリマでは、「次回も楽しみにしています」と声をかけられたし、12月に参加したみちのくコミティアでも購入された方がいた。
そしてこちらの表紙もやっぱり美しく、手掛けたのはなんと高校生だけれど、しっかりデザイン賞を獲得した。
シンプルで力強く、それでいてタイポグラフィーなど細部に渡って細やかな気配りがしてあり、とてもいい表紙だと思う。
また宝物が増えてしまった。自分の本を眺めていると、ホクホクした気分になる。そんなわけで店番じゃなくとも、渋谷〇〇書店に行くのは楽しい。









