26.228番 ふたりのご機嫌書店さん
ふたりのご機嫌書店さんは、その名の通り2人の棚主さんで管理されている。
シークレット本は青い包みがKAHOさん、ピンクがAMANEさんのセレクトで、お客さんも好奇心をそそられるようだ。
棚には表紙が見える本も並べておき、「こういう本を置く人が選んだものなら、きっと面白いだろう」と思わせるうえ、シークレット本の表面には、文中で刺さったセリフなどが書かれている。
常連のお客さんは新しい棚があるとさりげなく、しっかりチェックされるから、ふたりのご機嫌書店さんの本はすぐ人気になった。
渋谷〇〇書店の入り口からみえる右側の壁には、棚主がBOXから選んだ1冊を置く選書棚になっている。
いわば書店の代表選手で、初めて来店されたお客さんにはまず、ざっと棚を眺めてもらい、気になる本が見つかれば、その棚のBOXを案内する仕組みだ。
4人ぐらいのグループで来店されたお客さんは、本好きな方たちのようで、棚を眺めながら盛り上がっていた。
そのうちのひとりが、壁に置かれたふたりのご機嫌書店さんの本を買われた。そのままBOXのほうも、気になったのかチェックされている。
その日の店番が棚主さんのBOXから、新たに本を選んで、壁の空いた場所に置くことになっている。
グループなので、私は声をかけてみた。
「選書棚に置く1冊を棚から抜くのですが、せっかくですから選んでみませんか?」
「いいんですか!」
棚の中からこれ、と思う1冊を選ぶのだ。やはり本好きらしくお客さんはノリノリで、めっちゃ真剣に選んで下さる。まず手を伸ばして直感で取った2冊のうち、どちらにするか迷われた。
「え、これもいいし……でもこっちはセリフが気になるし……」
「あぁ、なんかいいよねー」
ワイワイとグループで楽しそうに選び、お客さんは本を棚に置かれてからニコニコされた。
「これを見て、また誰かが『面白そう』って思ってくれたら、めっちゃ楽しい!」
こうして『面白い』は伝わっていく。









