25.ひとりブックフェア
いうまでもなく世間はお盆休みだ。
夏といえば2021年は、必死に2巻の準備をしていた。2022年は必死に5巻を……以下略。
2023年は7巻を6月に上梓したばかりで、スケジュールは空いていたけれど、燃え尽きて灰になっていた。
「かあちゃん、バカやってんな」と、息子にあきれられるぐらい、ガリガリ書いていた。 楽しいからついついやってしまうけど、小説家はワーカーホリックが多い。
プロットは何度も練り直したくなるし、原稿は何度も見直したくなる。公募があれば応募したくなって、ガリガリ書いている人も多いだろう。
私も頭の中では、ずっと異世界を旅しているような気分だったけれど、こればっかりではあかんのでは……と思い、最近はオフの予定も入れるようにしている。パスポートも取得したし、そのうち取材旅行に行くつもり。
2024年は富士急ハイランドへ行くという家族を見送り、必死に8巻の準備を……それでも原稿が終わらず、ぴぃぴぃ泣きながら本を仕上げた。
思い出したくない。書籍化作業怖い。
家族は甲府のワイナリーにも寄り、試飲を楽しんだらしく、お土産にワインを買ってきてくれた。
今年の夏は、家族は夏休みを満喫するため、大阪や箱根へと旅行にでかけた。
そして私はリュックを背負い、バッグをいくつも抱えて、渋谷ヒカリエへと向かう。
まずは掃除機をかけ、棚をひとつひとつホコリを取りながら整えていく。
本が倒れていたり、棚の並びが乱雑なままだと、一気に古本屋臭くなる。
書店はどこも整理整頓が大切なのだ。
売りたい本を置くのではなく、お客さんがほしいと思うもの置く。それを意識した。
めぼしい本や季節物、なかなか売れないだろうけど、パッと目をひく大型本も引っ張りだし、目立つ場所に置く。
ひとりブックフェアの開催だ。
書店の入り口にある棚に『魔術師の杖』1〜9巻と短編集①、作品紹介や著者紹介、コミックガーデンの見本誌を並べる。
店の中程にある平台には書影のパネルや、ポストカードを置いた。
入り口の扉に登場人物紹介や、よろづ先生のイラストをペタペタと貼ると、だいぶ店内が華やかになった。









