24.お盆休みを捧げた
さて8月。世間にはお盆休みというものがある。私はそこにどーんと店番を入れた。
そう、ひとりブックフェアの開催だ。
コミカライズを控えて、著作の『魔術師の杖』をアピールする。もともと祝日などは店番のなり手があまりいない。シフトもばっちり空いていた。
お盆休みということで、都内はどこもすいているけれど、ゆったり休日を過ごす人はそれなりにいる。ちょうどすぐ上の9階は『スイミー』などの作者の、『レオ・レオ―ニ展』を開催していた。
ヒカリエ全体がにぎわっているし、棚主さんたちも絵本を多めに並べていて、来客はそこそこ多いだろうと予想した。
数日間まとめてシフトを入れるのは、持ちこむ荷物が多いからだ。
店頭に並べるのは本だけでなく、イラストレーターのよろづ先生が描かれた、キャラクターや書影の展示パネルに、マッグガーデン様から送って頂いた、コミックガーデンの見本誌などもある。
これらを店番が終わるたびに持って帰るのは大変なので、数日まとめてシフトに入り、荷物を置きっぱなしにさせてもらう。
しかも書店の扉は鋼鉄製で、マグネットシートが貼れる。家庭用のインクジェットプリンターでも、印刷できるシートを東急ハンズで見つけた。
店番が自由にディスプレイできるのは、入り口にある二段になっている棚と、中ほどにある平台だけだけれど、扉も使えばしっかりとした展示ができる。
よろづ先生が描かれたキャラクターと、出版社にも提出したキャラクター設定シートを印刷し、まわりのギャラリーを真似して、作品や著者、よろづ先生の紹介文も作った。
『魔術師の杖』著者・イラストレーター紹介
著者:粉雪
小説を書いたことはなく、白衣を着て働く理系人間だった。
仕事を減らして趣味を持とうと『魔術師の杖』を書き始め、元気がいい錬金術師ネリアと個性豊かな登場人物が人気に。
連載開始3ヵ月目で『小説家になろう』異世界恋愛ランキング1位達成。
「創刊レーベルの中核となるシリーズを育てたい」
インプレス社より書籍化の打診を受け、レーベル躍進の立役者に。
小説7巻を上梓し、マッグガーデン社よりコミカライズの打診。
「物語冒頭から引きこまれる。これを漫画で見てみたい」
シリーズが10冊となり、仕事を辞め執筆に専念。
両社初顔合わせのメディアミックスが現在進行中。
イラストレーター:よろづ
モニターの透過光を生かした光の表現や色彩感覚が素晴らしく、電子書籍の特性を存分に生か、背景にも3Dソフトを使うなど、卓越した画力と技術を誇るIPイラストレーター。
主にゲーム業界で名前を出さずに活動。漫画家のアシスタント歴もある。
ライトノベルの表紙は最初、断るつもりだった。
ところが試しになろう版『魔術師の杖』を読み、ページをめくる手が止まらず徹夜して2巻部分まで読破。
以来シリーズの表紙・挿絵・キャラクターデザインを手がけ、コミカライズへのアドバイス等でも活躍。
こういうのは、きちんとアピールしないといけないと、ギャラリー展示のためにヒカリエへやってくる、クリエイターさんたちからも教わった。









